家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

そして休業

漉し土を作った事で仕上塗りは進んでいく。もう実験はしない。これを本番として実験面は削り落としてやり直し。その他全面そのまま乾燥を待たずに猛進。 と言いたい所だが、この工程は非常に疲れる。仕上塗りという事だからだろうか。広くもない一面に対して…

中塗仕上塗り本格デビュー

さて、出来た練り直し漉し中塗土は如何なものか。それはもう劇的に塗り易くなった。こう言ったお父さんに対しきょうこは「私のおかげ」と言う。確かにそう、きょうこや皆の成果。 この漉し土を使う事で施工に諸々変化する。 漉し以前の土で塗る場合、小石等…

いつか来た茨の道

ヒビが出ない、かもしれない方策をお父さんなりに考えてみた。 一つは砂を追加する事。泥の粒子の割合を減らすとも言う。泥を減らせば含水量は減る。そうすれば乾燥収縮が減る。感覚的に分かるかと思う。荒壁から仕上げに近づくにつれこれを実行。実際にヒビ…

泥濘(ぬかるみ)

再度練習と実験施工。 二ヶ所目。一ヶ所目に施した寒冷紗を残した状態で再度塗るが不調。 三ヶ所目。泥砂藁水だけで挑むが、水を少な目にして実施。水を少なく、とは何と表現すれば良いだろうか。左官工の持つ鏝板の上のネタの映像を見た事があるだろうか。…

暗中模索号令

ハナから妥協しない。ハナから高みを目指す。そう意気込んで始まった施主施工。漆で頓挫、精神的リハビリにようやく蹴りを付けられたその時に初の左官仕上げ工程。あぁ無理、はい無理。と言ってもいられない。湿式工法はこの先も続く。そもそも本職に頼まな…

中塗り仕上げに don't stay tune

ブランド着てるやつ もうGood night Mで待ってるやつ もうGood night 頭だけ良いやつ もうGood night カッコええわと思う曲のサビの歌詞の一部。「もうGood night」は前後の歌詞から、「うんざりだ、もう寝てしまえよ」と解釈。この曲がラジオから流れて来た…

油紙の贈り物

書院跡の対処施工と並行して、例の亜麻仁油硬化待ちだった小壁の施工も進める。完全硬化とは言えずだったが待ちきれずでの再開。 竿縁天井撤去後の小壁に関する施工は、先に書いた梁束梁貫板や埋め木等の造作、それらと長押等への古色塗装、繊維壁の表層と下…

建材と思い出を再生した工事

枠が出来た、という事で縦板入れて竹木舞を組む。写真を見ると、やはり格子壁はいいな、と浮気心がムクムクする。グッと堪えてそのまま久々の荒土塗り実施。 で、ここからまた寄り道作業発生。保管荒土が微妙に足らずに確保するのだ。これがあるので、当該壁…

横短材回転

はい、次。東半分側の腰壁の横材を入れる施工。こういう材の名称って何と言うのだろう。「腰壁天端材」でいいか。この材についても不甲斐なさに見舞われる。 柱は購入材を使用したが、当材は材確保から。どうにもこうにもストックに良材がもう無い。本当に良…

十字材回転

計画は出来た。いざ実行。毎度ながらの木材回転入れ。素直に普通にガツンと柱等を入れたい所、そうは問屋が卸さん改修工事。あれやこれや考えた挙句、当該箇所の東西を分ける柱は上部をホゾ、下部は雇実とした。 上部を中心として回転差しの上、最後に下部を…

埃の設計

ただ、この方向でずっと検討していたが、決定にはなかなか至らない。それは、どうやって作れば良いのか見えないから。 構造に寄与する木組み方となると精度が求められるはず。その自信が無い。さらに、この格子壁は通風させたくない遮断壁。となるとガラスを…

お父さんの建築嗜好

長々と書いたのは、まだ当該箇所の西半分の壁の事だけ。より時間を要して悩んでいたのは東半分の壁。 お父さんは日本建築が特段好きだったとかでは無い。現代日本建築はよいそうでは無い。どちらかと言えば近代西洋建築が好みなんだな。それを自覚する前で単…

木造軸組工法と木造壁式構造

ターゲットは書院があった所。ここに壁を新たに設ける。 → 初期からある時期までの設計では、当該場所に何かしらの壁は設けるには違いないが、一部用途が違っていた。書院が無くなる事で、南側縁側の西奥が無為の場所となる。よって、書院西半分側は中庭植栽…

なってみないと解らない。

修繕程度や一年程度の短期ならまだしも、長期の素人施主施工では継続力が課題になる。これはお父さんぐらいなのかもしれないが、予想外だったと思う事度々。まぁ、こんな事を事前に考えておけるぐらいの立派な大人じゃなかったわけで。せいぜい数ヶ月先の施…

長期施主施工は勧めない

とここまで書いてようやく思い出した、もう一つの「き」。それは「動機」だわ。 ちょっとした修繕から大規模改修、新築工事や再生工事。建築物に手を入れたり新たに設ける事を考えた場合、一般的にはそれらを手掛ける本職に依頼する事を真っ先に思い浮かぶ。…

お金は必須、の思い込み?

五つの「き」と書きながら四つしかない。一つ忘れたのよねぇ。忘れるぐらいだから大した話じゃないんだろうなぁ。もしかして、その忘れた「き」は「金銭」とか思っただろうか。 これは施主施工に必須かと言われればそりゃそうだ。材料買いにガソリン代はいる…

五つの「き」

唐突ながら語り事を書く。 施主施工二件目とカウントしながらも、一件目はこの家の施工の前では霞む程度の代物。そして二件目のこの家は未だ途中。素人施主施工者の頂点に立つには程遠い。頂点とは何かは分からんが、そんな道半ばのお父さんながら施主施工に…

足場資材が欲しい

もういい加減に高所作業は嫌だ。お母さんならずとしても高所作業が続くとそう思う。今から考えると、足場材を幾つか購入していても良かったかもしれない。施工が進む程、使用箇所が減ってコストパフォーマンスが減っていく。どうしよう、現段階で真剣に検討…

他言無用

梁束梁貫板材加工と平行して行っていたのが、当該施工場所の美装作業。要は清掃。 今までや今回の土壁削りの施工等で見事に砂埃が堆積。中塗仕上施工による中塗土が接する木部は、先行して綺麗にしておかないと後に非常に面倒になる。なので、そこそこ面倒な…

不安定施工

板の加工工程の次は仕上工程へ。要は古色塗装。 まずはヤスリ掛け。いつもの120番からの240番の二回掛け。広い面は特に問題無い。ギリギリ見えるかという木端部は、ベルトサンダーではちと面倒。なので、何枚も重ねて木端部を広くして。 そう思いきやここで…

施工内容よりも注意事項なのだ

板材が出来上がった。本職や一般的施主施工者は多分ここからスタートしている。キャリア試験に合格した官僚も一足飛びの階級でスタートするらしい。ノンキャリアのようにほぼ底辺からスタートするお父さん。人工を惜しんでお金を惜しまない本職や一般的施主…

社会の役割分担による専門化等の有難さ

この年、農家の方から罠にかかった猪肉を分けてもらう機会があった。きょうこは覚えているかもしれないな。 猪は、我が家でスーパーで買うレベルの普通豚と違う。噛み進めると口に入れた最初に感じた調味料の味の向こうに、これが肉だと感じる味がやって来る…

伝統構法長期自然材多用施主施工の特有スキル

単なる家主と違って見れば見る程萎える長押。では残そう、と思うのは施主施工者として自然な心理だと思う。但し、どう残すかがまた検討課題となる。と言うのも長押裏が見える改修だからだ。 それは階段の存在。今までの2m未満の生活視線なら気にならなかっ…

立ち塞がる日本建築様式材

梁束梁貫仕様に決定したとしても、全体的には間違いなく伝統的日本建築様式の破壊中な事には変わらない。破壊話の流れでもう一つしておこう。それは「長押」について。「ながおし」と書いて「なげし」と読む。木地のままで鴨居の上に付いている板材を指す。 …

梁束梁貫仕様の因数分解

では、梁束梁貫仕様にすれば良いではないか、とはならない。それはそれでゾッとする。出るか出ないか分からないヒビと、確実に施工負担増大する仕様変更。なかなか決断に至らない。こういう時は思考の因数分解。 梁束梁貫仕様にしない場合。要は、小壁が大き…

ゾッとする話

さて、話を戻そうか。竿縁天井解体後の小壁施工についてだな。想定よりも長い工期になっている事にも絡むので、寒さや加齢以外の本筋の話をしておこう。 まずは当初計画。当該箇所の施工について、設計段階から繊維面を撤去した後にそのまま中塗土仕上として…

遺産樹についての遺言

ドングリから育てたこのシラカシ。もしかしたらアカカシかもしれないが、多分シラカシ。最樹高のものはとうとうお父さんの身長程になった。なので多分、この手記にてこのシラカシの事を書くのはこれが最後になるのではないか。という事でこの機会に遺言して…

北側傾斜地地盤強化の為の追肥施工

もう一つの合間の「施工」は、北側傾斜地のシラカシについて。植栽について「施工」と書くのはおかしいと思うかもしれない。しかし、お父さんにとっては植栽を楽しんでいるわけでは無い。将来の薪材を作っているのはオマケ要素。主目的は北側傾斜地地盤強化…

現場保守管理

中塗土による仕上げの左官も施主施工。そう決定したものの、予想よりも遥かに長い工期を要している。 着工前で逃亡社長がまだ逃亡していなかった頃。おじいちゃん建築士は、着工は日が長くなってからが良いと言っていた。その方が施工者の一日作業時間が長い…

単独施主施工へ邁進

漆喰採用理由話は残念ながらまだもう一つある。施主施工向け建材と見たからであり、お父さんにとっては結構重要だ。 「当社は施主施工を応援」とか謳って実の所、漆喰を施主に塗らせるだけの施工業者が複数ある事に触れた事がある。これは逆に言うと、ズブの…