家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

見えない事

 この手記では、費用等と違って素人や門外漢ではどう足掻いても分からないだろう、人工数を極力記載するようにしているつもり。だが、作業日報ではない為、二人や子孫に申し送る事の程ではないとして、施工や作業の内容自体を省略している事がかなりある。

 

 例えば、先の中塗仕上げ施工の前段階で触れたマステ養生やネタ作り。前者だけで0.3人工程、凡そ2時間半強を要している。後者だと、舟に中塗土と水を投入し攪拌機で攪拌。それ以外に、不足分の珪砂を購入しに行っている。これら総じて3時間は要したかと思う。

 南側縁側の西側半間壁において、書院造作に掛かっていた付鴨居はその分寸足らず状態になっていた。この付鴨居を、解体材から材を探し出して製材加工、塗装の上で新規取付。柱間に渡るようにした。このような全く記載省略した施工にも1時間強を掛けている。

 

 このような、軽く触れただけや全く触れていない施工や作業は相当数あり、必然、相応の人工数や費用や思考力が掛かっている。施工等に対してのお父さんのボヤキや弱音はそれらも含めたもの。

 自身の施工記録等でさえ省略しまくり。お母さんやきょうこが担った内容も同様、若しくはそれ以上になる事もしばしば。そもそも、基本的に同様の施工内容は意図して省略する自己ルール。そういう事から、お母さん達の記録は施工量と比して少なくなっている。なので、たまには意図して書いてみる。

 

 お父さんに施工意欲が保たれている状態下の現場は進む。現場が進むと手の不足感を抱く。そこでお母さんに出動依頼が出やすくなる。お母さんにとってこれは良い事か悪い事か、その人柄や性格やらで違いそうだがそれには触れない。何にせよこの時期に依頼したのは、以前も施工した事がある為にお父さんの手が取られにくい、床下通気口への金網取付。

 お母さんだけでなくお父さんもした事がある。両方、床捨て板等の塞ぎ物が無い箇所での話。今回は、キッチン予定地奥の食糧保管庫予定地の床下。当該部は既存床のままの予定である事もあって狭小。体格上、施工するには女子供の方がちょいとマシ。

 

 この家には、小鳥だけでなく野良猫も入って来る事しばしば。施工中は特に、原則昼間は玄関戸が開いている状態。食べ物探しに来る不届き者を懲らしめて反省させてやろう、と玄関戸を閉じ空気銃を準備。

 不法侵入するような悪意ある人間に対しては、過剰防衛と認定されようが半殺しのボコボコ、射撃練習の的にしてやる。それで懲役刑になっても上等、家長の男子たるもの、そのぐらいの覚悟が常に必要だと考える。だが、野良猫相手だと流石に可哀そう。それに、当ててしまうと動物愛護法に問われかねず、本物の銃の所持者としては特に洒落にならない内容での違法行為。それで刑罰くらったり銃所持取り上げという事態は嫌だ。なので威嚇発砲を試みる。

 が、この家の現況は逃げ隠れる所が盛り沢山。床下に逃げ込んだ挙句、通気開口部から逃げ出した。その後日も懲りずにまだウロチョロしている。学習不足だったようなので、今の内に塞いでおくのだ。

 

 というのは半分だけ冗談。いつかはやらんとイカン。触れば朽ちるようになっている鉄製金網からステンレス金網へ。漫画の登場人物に出てきそうなお母さんでも、流石にこの施工は出来る様になっている。きょうこと共に恙なく完成。ただやはり、窮屈さからしんどそう。

 その窮屈さから見えない所もあり、開口部下枠と礎石間の隙間には気が付かず。対猫には問題無いが、ネズミやゴキには無抵抗な大きさ。侵入地点から見えていたので、事前に泥土による充填を指示しておいたが不十分、再充填。敢えて書けばそんな程度だけで、他部の充填も含めて概ね恙なく。確か2~3時間。

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 施主施工、特に住みながらの事となると家族の総意は必須。そもそも本職施工であっても大金を支出するんだから同様だが。

 二人は幼かった事もあってお父さんとお母さんの意思次第だな。施主施工者ブログを覗くと、共に励んでいる夫婦、何ならブログ筆者が奥さんというご家庭があった。しかし、感覚的に夫が主であり、奥さんの施主施工に対する姿勢をあまり、何なら全く感じない内容の方が多そうに思う。余談ながら古民家先輩に関しては、古民家に住む事を了承条件に奥さんと結婚されたそう。間違いなく稀有な事例だと思う。そんな先輩も含め男が主導している事が多いんかな、と見る。多数女性の新築信仰からして当然か。

 我が家の場合も、お父さんの趣味が高じて独断専行、お母さんはそれを許容している寛容的な妻、という見方をされる事しばしば。トンデモナイ。普通は世間がそう見る事はよく分かる。だが、世間の他人事への見方は所詮そんなもんだな。前述通り、お父さん自身もそうだし。夫婦喧嘩は犬も食わぬ、とは昔の人は上手い事言う。それが普遍的真実、家庭毎、夫婦毎に何かしらあるもんだ。