家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

10cmの大峡谷

 さぁ、やってまいりました。平成29年の主目的施工、薪ストーブ設置作業。

 

 どこかで書いたかすっかり忘れたが、薪ストーブ本体重量は数百kg。可能分解限界まで分解した本体部重量は、見つけた以前の記載から118kg。何にせよ、怪人級の人以外から見るとどうやっても重い。

 実はズリズリ横移動だけだとお父さんでも何とかなる。だが、問題は障害物。設置場所炉床周りには上框枠があり、これを跨ぎ越えしないといけない。さらにその手前、現況仮置き中の捨て板の床と炉床間には隙間がある。枠と隙間、ざっくり10cm程の距離、そして床と框枠との高低差は1.5cm程がある。

 

 二人、特に、忘れん坊で都合の悪い事はさらに忘れん坊、かつお調子者のお母さんに激似する片鱗が強烈なりょうすけは、たかがそれぐらい、大袈裟な、とか思うんじゃないか。この半分の重量でもどうなのかという所、118kgを馬鹿にするな。ウェイトリフティング選手になった自分には余裕だから、とかでも凡人のオッサン一人だけという事を考慮しろ。

 ならば、オッサン一人以上ならどうか。しかも、この手の事に有能なお人ならば。例えば、探検さんのような方がいれば安心感は絶大。不安なく楽観しか無い。だけど、彼は東方の都。甘え下手お父さんは、万が一近郊におられたとしてもお願いする事は憚られる。この手の事に協力してくれそうな友人は居るには居るが、同じく頼み難い。となるとオバサン一人のみ。不安しか無い。そういう事で、何とか知恵で障害を乗り越えると腹を括る。

 

 あれこれ模索と試行をするも見通しが暗い。最終手段はチェンブロック使用。だが、10cmの大峡谷の上部は丁度小壁有り。よって、かなり手前から長い橋を架けて渡る、とかのとんでもなく面倒臭い方法になりそう。なのでこれは最終手段。

 まぁ、勿体付けても意味無いので書いちゃうが、結局は人類の伝統秘儀であるテコの原理を用いる事で解決。真竹か孟宗竹かを本体底にあてがう事で、持ち上げながらの移動が可能に。知恵とテコの原理により人類は不可能を可能にどれ程してきた事か、と改めて実感。

 

 さて、数値は小さくとも大きな障害を乗り越え設置、となる所で予想外の躓き発生。本体と煙突との接続には煙突の加工が必要、さらに煙突の取り外しが簡便じゃない事を発見。薪ストーブについては色々座学をしてきたつもりなので、前者は覚悟をしていた。しかし、後者についてはその手の記述は見た事が無い。接続部の煙突は伸縮式。故に、伸縮さえさせれば簡便に脱着出来ると想像していたがハズレ。

 

 こうなるともう一つアテがハズレる。煙突内へのダンパー後日設置だ。ダンパー無しで本格稼働をさせてから、必要性を感じたら購入の上取付。そう考えていたが、後日取付は面倒臭い感がお父さん内で急上昇。煙突は筒先棟超えの直管7m。確認せずともドラフトが強いはず。確認せずともダンパーは要るはず。何なら要らなくても付けておこうと思う程、後日別途取付は猛烈に嫌だ。薪ストーブ本設置は延期、ダンパー迅速発注。

  数日後、ダンパー納品。煙突部材加工の上、ダンパー取付、そして薪ストーブ本体の本設置。後日、試験稼働。施主設計の中心の一部であり、長きに渡り吟味と購入計画を行い、だけど長期放置鎮座させ、施工目標とし、そして設置にようやく至った。そりゃ稼働させたいに決まっている。

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 とは成らなかった。試験稼働させたのは、煙突階層貫通部の温度状況と通風具合を見るという、次の部材発注と施工計画の為。後、薪材消費も少しは進めないいけないという事から。 

 我ながら冷めているが、所詮は暖房器具なんだなぁ。床も窓も建具も全部無くてあまり暖を取れず、ゆっくり座って寛ぐ所も無い半屋外状態。暖房器具としてもだし、憩い機能も発揮出来ない。

 

 そもそも物珍しさもロマンも特に無い。薪ストーブを題材にしたユーザーによるブログを複数見てきたが、それらほぼ全部の更新は途絶えていた。そりゃそうだな、趣味が薪ストーブだというような人じゃない限り、導入初期はネタがあるだろうがしまいに書く事が無くなるだろう。だって、やはり所詮は日常品である暖房器具だから。輸入され始めた150年前ぐらいかに灯油ストーブ日記、とかを書くようなもんだな。

 導入初期でこの感じなので、お父さんの薪ストーブとの格闘記は多分これでお終い。本格稼働やら煙突掃除やら薪ストーブ料理やらネタは生じそう。そもそも薪作りでネタは色々持っている。だけども、これを読む頃の二人にとっては何の事は無い日常だろうからな。はい、お疲れさんでした。