家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

設計・施工・伝統構法

柱を建てながら抱く独り善がり

解体材を、丸鋸と鉋と鋸と鑿と新設の柱へと加工していく。既存敷居も撤去し、柱受け材用のホゾ穴と外壁板の嵌め溝をトリマーで掘る。柱先の刻みは見上げ作業。目まいが起こらないような頭の角度を探りながら何とか完遂。これで準備は整った。 寸法をこれまた…

こういう事が改修工事見積が高くするのかね

キッチン新設外壁は、ほぼ十字に木材を組む。これをどうするかで思考が交錯。何案も浮かんでは消えての繰り返し。と言うのも、上下左右が決まってしまっている。縦材だけ、横材だけならまだ良い。だが、横材を入れてから縦材、またその逆となると途端に制約…

キッチン新設外壁計画

この頃、建材消費を進めたくなってきていた。 荒土はもう出来ている。計算上は足りるはずだが、その計算自体が怪しい。足りなければ来年。それを見越すと、消費して量の不足を極力早期に把握したい。解体した木材も溜まっている。この消費も進めないと過不足…

「住みながら施工」の危険性

ゼネコンや一部の工務店の建築現場では、入場者への安全教育が施される。その中で「ヒヤリハッと」「千三つ」というものがあったと記憶している。ケガ等の事故が起きるのは、その前段階で「ヒヤリ」としたり「ハッと」する事が積み重なった結果。その「ヒヤ…

見せない構造

伝統構法の醍醐味の一つかと思っているのが「見せる構造」。構造部分を意匠としてしまう。大工職人の腕や見識やセンスが出る所じゃなかろうか。お父さんの義父であり二人のおじいちゃんの納骨時に行った、四天王寺のお寺のそれはそれは大きな本堂内のそれら…

小屋梁腕木支持施工計画と部材発注心得

引き続き、懸案事項の二階柱を建てる。次は、階段予定位置と絡む箇所。 ここは設計時には分からず二階造作解体で出てきた柱であり、階段動線上大いに邪魔だと判明。と言って前回の柱と状況が異なる。柱を乗せたい床梁と、柱で支えたい小屋梁がズレているのだ…

過信禁物

柱を立てる段取り開始。まずは墨打ち。ここで悩んだのは基準となる所がない事。 現代の建築と現場しか知らないお父さんにとって、この家は悩ましい。在来工法と伝統構法の違いだけでない。3D-CADによる作図を行うに至った理由で述べた通り、基準線が見当たら…

ベルトサンダー仕上げ作業

「鉋道」はやはり険しそうだ、という感想だけを得た。鉋なんて必要ねぇよ、とベルトサンダーにて仕上げ作業を開始。 鉋と比べてベルトサンダーはストレスが少ない。 研削力が強くて、油断していると段差が出来てしまう。そうでなくとも重量バランスが悪いよ…

現し材の仕上げの初期方針

この家を施主施工するにあたって、幾つも「難関」と想定している作業や施工がある。その一つが、柱等の木材仕上げ作業。 本来は鉋だ。建築業界や現場に無知な人は「大工さん=鉋」と連想すると思う。それぐらい、大工仕事では最も代表的な手道具だと思う、昔…

新材を嬉しく思う

思いの外、埋め木施工が心情的に捗らない。なので、残っている二階捨て床兼一階天井板施工に変更。 しかし、二階のうねり梁の下に入れる柱がなかなか来ない。製材所にはとっくの昔に発注済。良かれと思って「出来次第納品」をとお願いしていた。が、どうも後…

資材保管場所改良

梅雨によるストレスが三つ。一つは、先述の柱材や床貼石の濡れや結露。 もう一つは、荒土プールにかけているブルーシートに溜まる水への対応。 以前にも少し書いたが、解体物置小屋の梁3本を支持材として細長い木をこれに渡し、ブルーシートを覆いかぶせてい…

我が家の深井戸の経済性と実用性

古色塗布作業ではそれなりに水を使う。塗布道具や雑巾、それに手を洗う。一日の作業でそれら数回、これが数日続く。ふと横に目をやると井戸がある。 井戸の復活をするならば、溜まっている水を一度は抜かないといけない。そのむざむざ捨てる水を使えば一石二…

キッチン勾配天井計画

引き続き、キッチン高所作業を実施。天井工事だ。 キッチン上部には二階外壁が据わっている。二階屋内側にあたる箇所は、リビング天井と同じく二階床捨て板の古色塗り仕上げ。これはよい。問題なのは、同壁屋外側であり下屋下部となる箇所だ。 ←キッチン断面…

施工しながら設計する事は性に合わず結構負担だし効率悪いんじゃっ

さて、解体を進めながら迷っていた事がこの時期に本決まりをした。それは、元仏間で薪ストーブスペースとなる箇所の土壁温存。 既存は、土壁に仕切られた半畳程度の物置二つに挟まれた一畳程度の仏壇設置場所となっていた。これまでの設計案では、この間仕切…

そして釘の使用方針

翻って釘。これはこの家で大いに使用されている。当然だ。和釘を含めると歴史が長い。この家では、見せる釘なのだろう、門屋の外壁板は和釘が用いられている。隠れる箇所は洋釘が数え切れない程使われている。五寸釘から小釘まで、一体何本抜いた事か。そし…

ビスとネジ

材木を接着させる話からもう一歩派生させて、緊結させる話。具体的には釘とビスについて。 建築現場の機械化により現在は、圧縮空気で釘やビスが、又は電動のドライバーでビスが打たれる。前者は以前に少し触れた「釘打ち機」「鉄砲」、後者は度々出てくる「…

木質系建材使用方針

接着剤の話になったので派生して、無垢材では無い木質系建材、具体的にはベニヤ板(合板)と集成材の方針についても記したいと思う。 新築検討中期以降、家の寿命というものを考え出してからはベニヤ板使用の選択肢は排除していた。長寿命を望むなら、ベニヤ…

接着剤使用方針

自然素材で建てる家の仕様を見習った改修工事施主施工の検討期、二つの接着剤の存在を知った。 一つは、膠(にかわ)だ。 お父さんも詳しい方では無いが、二人は全く知らないまま大人になっているかもしれないので記しておく。漢字がある事からも分かると思…

高身長の子孫に先送り

一階床レベル変更工事の施主施工が確定した時点で、さてどうしたものかとずっと気に揉んでいた。何かをしていてもちょっとでも思考容量が空けば、がんじがらめで答えが出そうにない事を感じながらも悩んでいた。 床組を改める作業は勿論、その他関連作業がな…

段差解消工事案再考

さて、自分の現場でツバメと戯れながら思い悩んでいた事。それは、一階の既存居室四部屋の床高さ変更工事について。 おじいちゃん建築士から一階をほぼ全て段差を無くしましょう、と初期に提案されていた。 既存は、既存居室四部屋が一番高く、その次に高い…

門屋へ引っ越し

門屋の発見済雨漏りは止まった。野地板が湿らなくなった。よし、引っ越し準備実行。 施工現場となる母屋に置けない引っ越し荷物。住みながらなので一気に出来ない。という事で、この置き場確保から着手。 母屋1階の通路となっていた畳部屋1室を犠牲にし、畳…

工期について考えよう

時は平成27年の初春。改修工事に向けて霞んで見えなかったもの、不透明で見ようにも見えなかったもの。これが見えるようになったものが増えて来ていた。プランに費用、大まかな工程や必要道具に建材、施工見込業者に建築士処遇。その他まだまだ見えないもの…

施主見積作成

逃亡社長が逃亡した数日後。本工事の費用見立てを作る事にした。 おじいちゃん建築士の「条件次第で予算内で可能」という見立ては間違っているのではないか。実際の所、どこまで本職に施工をお願い出来るものなのか。どこまで施主施工をしないといけないのか…

石風呂による在来浴室案

浴室のような水回りには、凝灰岩の大谷石がよく採用されているように見受けられる。その根拠は割愛するが適材だとは思う。視察旅館の一棟はこれだった。が、凝灰岩の砂砂した表情よりも粘板岩で検討しようと思っている。これは好みの問題。粘板岩は、天然ス…

「家づくり」の為の視察旅行

お父さんは昔から、お母さんはどうも年齢を重ねる毎にと思われるが、旅行はあまり好きではない。お父さんの場合、疲れる為に金を使っている感を抱いてしまう事がある。ただ、目的があれば、時間や費用をかけて遠方地に行く事は厭わない。 家さがしを始めて間…

開眼

曲がり階段に続いて、浴室を考えてみる。 おじいちゃん建築士は、相も変わらずユニットバスではなく在来浴室を奨めてくる。もう「希望」の域かな。薪ストーブもしかり、その後には井戸小屋屋根の屋上緑化、井戸の復活、ソーラーパネルによる電気のオフグリッ…

ぼんやり直線階段案から曲がり鉄骨桁階段案へ

二人に伝えておきたい事は大方書いてしまった。しかし、引き続き設計過程や作業内容等は記録として書いていこうと思っている。 この改修工事では、3DCAD以外に仕様書に近いと言えば近い書類や資料はある。紙ベースでの平面図や立面図は描いておくかもしれな…

土葺工法は類まれなる優れたフレキシブルなシステム

お父さんが特筆したいのは土葺の断熱性(蓄熱性)ではない。現代はこれに取って代わるような色々な断熱建材がある。それよりも、他の屋根建材が土葺瓦屋根に取って代わられない事、それは土葺により瓦が容易に外せる事。胸を鷲掴みされた。交換等のメンテナ…

土葺工法の衰退

さて、「重たい屋根はとにかく悪い」と思っていた一人のお父さん。この家についても、瓦をやめるのは意匠的に否なので、せめて土葺はやめて空葺の瓦屋根にして軽量化した方が良いかも、という程度の認識。 関東大震災以降、東の方では土葺が廃れていったらし…

重たい屋根の常識、非常識

ようやく屋根について語られる段階に来た。この時を待っていた。お父さんがこの記録を二人に文章で残したいと直接的に強く想ったのは、樋も含めた屋根についての事柄からだ。そういう事もあり、この話は非常に長くなる事を覚悟して欲しい。 大別するならまず…