家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

接着剤使用方針

 自然素材で建てる家の仕様を見習った改修工事施主施工の検討期、二つの接着剤の存在を知った。

 

 一つは、膠(にかわ)だ。

 お父さんも詳しい方では無いが、二人は全く知らないまま大人になっているかもしれないので記しておく。漢字がある事からも分かると思うが昔からある接着剤なのだ。動物の骨や皮由来のコラーゲンが加熱されて成るゼラチンが主成分らしい。木との相性が非常に良く、強烈な接着力を得られるらしい。しかもすぐに。現在で言う所の瞬間接着剤のようだ。

 

 もう一つは、米糊。

 読んで字のごとく、米による接着剤だ。米だけにデンプンによる接着力なのだろう。お父さんも子供の頃に、米粒をそのまま紙に潰し塗って普通に使っていた。木に使った事は無いがなかなかの接着力らしい。現在で言う所の木工用のボンドだろう。

 自然素材の家で使われているのは、ある分量の水に溶いてそこにある分量の塩を入れたものらしい。塩を入れる理由はカビ防止か腐敗防止かだったと思う。

 

 結論としては、今回の薄板には木工用のボンドを使用する事にした。

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 膠は、使用前に湯煎が要る手間。使った事がない不安。そこらには売っていない不便さ。割高。今回については強烈な接着力が不要。米糊も、手間と不安から採用しなかった。

 これら消極的理由を挙げるのは、そもそもお父さんが自然素材主義者じゃないからなのだろうと思う。また、ハウスシック症候群などで必要に迫られていないからだろう。それらの理由があれば、手間や割高や等は大した問題にならないはずだ。

 

 お父さんなりに拘っているのは、伝統構法に沿うのかどうかかと思っている。長寿命の家屋を求めて伝統構法であるこの家を購入し、ソフト面(使い勝手等)の長寿命も得る為に改修工事をしている。目先の手間や費用の為に短寿命化させる。そんな施主施工だからとかで流されてしまっては本末転倒、これまでと今後の多大な労力と金銭を目減りさせ兼ねない。そういう意味では拘る以前の問題である。ちなみにこの代償として工期は度外視している。

 

 今回のような化粧材である板を貼り付けておくだけなら、木工用ボンドで構わないと判断した。この木工用ボンドというのは、お父さんが幼少期の頃には既に身近にあったものだ。それに子供が使うだけではない。もしかして市販品とは成分が違うのかもしれないが、日本の熟練職人さんが造る数十年や百年以上も使用価値を求められるような木工品にも使われていたりする。

 歴史も実績もあり、よほどこれを超える物が生まれない限りは、今後もそれらを積み重ねて行くと思われる接着剤ではなかろうか。造作家具には特段意識せず使用する予定だ。

 

 一方で、柱等構造に関するような箇所や、床材等の常に力が加わるような箇所には使わない。接着力をそこまで期待出来ない。母屋二階の安普請居室の造作柱足元に使用されていた。ホゾで嵌められていたものの深さが浅く、補助的に使用されたのだろう。解体時にいとも簡単に外せられた。

 と言っても、強力過ぎると伝統構法のような柔構造には向かないと考えている。なので、木工用ボンドに限らず工業製品接着剤は使用しない方針。

 

 使うとするならば今回の薄板化粧材のような、外力が加わらない、加わって外れても家屋や住人に支障がない、外れても簡単に直せる箇所限定にしたい。と今の所そう考えている。

 

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