家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

床、埋まる。

 最上部の塗装を行う前に、書院跡の好きではない木埋め作業をしておく事にした。ただ、好きではないだけでなく、当該箇所はより面倒な所がある。それは、書院跡下部に床板を新たに入れる必要がある事。

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 あぁぁぁ、すごく面倒だ。改修工事ならではの面倒臭さ。

 まず、既存の周囲の床板には手を付けたくない、面倒だから。周囲の柱等にも極力手を入れたくない、面倒だから。適材を購入する事はしない、面倒だから。しかし、出来るだけ綺麗に仕上げたい、面倒だけど。

 

 お父さんが考えたこれらを解決する方策は、相(あい)じゃくり加工と実(さね)加工の併用。

 既存縁甲板が雇実加工が成されている為、そこの取り合いは実加工。新規縁甲板同士は相じゃくり。既存縁甲板を外すのなら相じゃくりではなく実加工でも板を嵌められるが、外さない、というか外せない、というか外すのが大変なので、固定されたまま。柱側足元は、刻んで新規縁甲板を嵌め込みたいから、やはり固定されてしまう。新規縁甲板と取り合う材の両方が固定された状態が故、新規縁甲板同士はただ置くだけの相じゃくりとした。

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 材料の制約もあるし。あれ程解体材が出たのに、化粧材として流用出来る物が意外と少ない。当材は、元仏間床板でヒノキ材。ご丁寧に、裏にヒノキと書いてあった。

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 いざ、微調整を繰り返し板を嵌め込む。しかし、このままだと相じゃくりの上側に来る柱側縁甲板は、隣の縁甲板に乗っているだけ。大丈夫、ちゃんと考えている。床下からビスを斜め打ちして留めてしまうのだ。

 そのビス打ち写真は特段どうこうした物じゃないので無いんだが、既存の板を留めている釘の写真を撮っておいた。別箇所の同釘を以前掲載した記憶があるが、本来はこの釘で留める。しかし、写真のような錆びた状態で弱くなっている釘しかなく、それを再利用する気は起こらない。床鳴り等の面からも今回はビス。ちなみに、既存縁甲板を外すのが大変だとしたのも、この釘の所為。

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 さらに、隙間を埋めておく。板と大引の間は基より、取り合い柱の背割りによる隙間も。

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 目的は隙間風とかではなく、ゴキ。奴らのあの跳弾しそうな平らな体形だと、これらの隙間なんて玄関かの如しだろう。本施工にて徹底的に隙間を埋めていくつもりだ。お父さんはモスキートハンターだが、ゴキハンターではないのでそもそも侵入させない事に努める義務がある。

 また、ゴキだけではない、ハチもだ。この箇所は、書院内の空洞空間にスズメバチの物ような巣が作られていた。周囲の敷居と大引の間のほんとにちょっとした空間にも、何かしらのハチの巣があった。これらの事も踏まえるのだ。

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 その他、周囲の既存縁甲板との兼ね合いを調整。

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 元仏間による釘孔を埋める。そして完成。そう言えば、本施主施工で初めての床板施工だな。

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 この板は、無垢のままで行く事にした。既存との色が全く違うのだが、亜麻仁油古色を塗っても靴下が汚れそう。既存板は、書院内に隠れていた箇所も色が付いているので、経年使用によるのではなく何かしらの塗装がされているように思うが、何かが分からない。そんなわけで、下手に塗るよりも、という判断。塗りたくなれば後日に塗れば良いしな。

 

 この板はたった二枚ながら、1人工以上を要したように思う。では、二十枚なら10人工以上かと言うと、絶対そんなに掛からない。道具の散乱ぶりを見て貰えば分かるかと思うが、少量小面積の施工は効率はよろしくない。新築とは違う改修工事の方が大変、とはこういう事じゃないかと再認識。

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