家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

施主設計:小便器は男の本能保持装置

■トイレ

 「男のロマン」「男としての本能」「男の本懐」、それは立ちション。と言うのは冗談としても、男は自前ホースを使って用を足す方が、割愛はするが何かと良いのだ。


 と言っても大便器にそれをするのではない。大便器廻りの床が汚れる。それはお父さん自体が嫌だ。自分の飛び散ったものを、自分で拭き掃除をする。それを一年で何百回と。絶対嫌だ。

 「じゃぁ、座ってやれば?」と女どもは言うらしい。言われずともやっている。しかし、それは苦肉の策であり、先述通り本来は立ってする方が男どもは何かと良いのだ。


 世の旦那さん方が家を建てる際に要望したとしても、真っ先に却下されるのは小便器じゃなかろうか。予算とスペースの問題で、奥さん方に理解されないだろう。しかし、我が家のお母さんは却下しない。それどころか快諾だ。今まで汚していたから、ではなくお父さんは汚さずにやってきたのにだ。何故、お母さんは快諾したかは未だに謎だが、掘り下げる事はやめておいた。


 そんなわけで、すんなり小便器導入は決定された。そもそも無駄に広いトイレを考えていたので、スペースは問題にならないだろうと思われた。小便器があったからと言って、はねないわけではないので床材や壁材は特別に検討を要するだろうが、それは後の事だ。


 さて、浴室同様、既存のトイレは別棟にある。これを新たに入れる事になる。母屋内に既存汲取り便所はあるにはあるのだが、実質新規導入だ。これも複数案あったが、結論だけ言うと奥玄関辺りにした。

 他に確保できそうなスペースがなかった。それに、浄化槽への配管敷設の問題がある。浄化槽との距離をあまり取りたくないのだ。母屋と浄化槽の最短距離は、この奥玄関になる。2階にもトイレを設ける計画でその配管との兼合いもある。

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 ただ、ここは奥玄関勝手口の引戸がある。その引戸をトイレ室に取り込む格好になる。また、小便器までを設置するには出来ない事もないが狭くなる。奥玄関廻りは動線が交差した廊下や玄関上がり口になるのだが、これらを犠牲にはしたくない。

 となると北側にあたる半畳の収納スペースを、トイレに取り込む事しか思い付かない。ここは、現状は北側縁側からの収納だ。奥玄関との間には土壁がある。それ以上に、奥玄関側から見ると目線に差鴨居が入っている。この差鴨居をちょん切れば可能だ。しかし、土壁撤去は妥協したとしても、差鴨居をちょん切るのはあり得ない。


 予想外にスペースで悩む事、数十日。差鴨居温存、土壁撤去の上、床を下げる事を思い付く。トイレ室内に段差を設けて、小便器へはそこを下って差鴨居の下を通ってアクセス。

決して最良案だとは思っていないが、他に出せなかった。しかし、小便器を妥協するなどクソくらえだ。これで挑もうと思う。お父さんの為だけではなく、先輩男性としてりょうすけの為にもだ。