家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

トラウマ施工

 まだだ、まだヤル気が高まらん。だけど、そろそろ片付けておきたいという気持ちを抱いていた箇所を思い出した。それは、キッチンタイル施工。

 

 キッチン内壁仕上げは今まで悪戦苦闘してきた通り、設計段階から基本は漆喰。但し、キッチンカウンター周囲は未定としてきた。理由は単純、汚れやすそうな箇所だから漆喰なんて如何なものかと。

 

 普通に考えれば、現代住宅でよく使われる化粧パネルという案が出てくるかと思う。合板か鉄板母材の表面にツルツル加工が施され汚れ難そうな上に、汚れても拭き取り易そうでキッチンに打ってつけ、かつ施工も容易な今時の新建材。

 だがしかし、この手のデザインに、この家のような日本家屋にそぐわない物ばかり。もし施工してしまうと、よくある「陳腐なリフォーム工事」代表箇所になる事請け合い。ゲンナリだ。ここでそんな妥協をするぐらいなら大規模単独施主施工をせず、本職に発注した予算内に収まるお手盛り「陳腐なリフォーム工事」にしていたわい。

 

 さらに、合板母材の物になると劣化が気になりそう。平成製は不明だが、昭和製のこの手の物は普通に劣化してたりする。風合いじゃない、劣化だ。無地白単色品、とかで十分なのだがそういう感じのものは見つけられず、あったとしてもこの寿命問題で躊躇する。鉄板母材のガラスコーティングされた、所謂ホーローだと寿命問題はかなり低減、又は払拭されると思われる。が、今度は個人で仕入れる術が見付からず。それをクリア出来ても現場加工が厳しいかもしれない。そもそもデザイン問題は解決するのか。

 

 という事で化粧パネルは断念。次に考えたのはガラス板。一番不安なのはシンク前壁への水撥ね。漆喰仕上げにした上で、その上にガラスを設置すればどうか。そんな事も考えてみたが収まりをどうするか、漆喰とガラスの間の空間は綺麗に保たれるのか、そもそも意匠的にどうなのか、等々名案とは思えず。

 その次、いっその事、油混入の漆喰仕上げはどうか。屋外の漆喰に油を入れる施工法がある。汚れを付きにくくし水浸透も抑えるらしい。この案は相当残っていたのだが、屋外と違った汚れが降りかかる当該壁でどこまで効果があるのか疑問。

 

 そんなこんなであれこれ悩んで行き着いたのが、何の事は無い、王道のタイル。

 王道なのに躊躇っていた理由は、綺麗な施工が出来なかった経験にある。以前行った施主施工にてやはりキッチン廻りの壁に採用したのだが、全く納得いかない出来栄えだった。墨を打ったり水糸を張ったり思い付いた事はやったので、写真程度だと分からない。しかし、実物は誰が見ても下手な代物。タイル角のラインが歪。さらには面も均一でなく。

f:id:kaokudensyou:20180105162501j:plain

 

 以前の施工では、下手なモルタル左官で歪で面が出ていない下地壁。それを、下手なお父さんがタイル接着剤で面を出そうと足掻いた。そんな盛り過ぎたりした接着剤に浮くが如し、タイル貼り付け時にズレる事多し。そもそもタイルは100㎜角のバラ材。打って変わって本施工では面が出ている壁、タイルはバラ材ではなく300㎜角等に纏められたシート材を採用。ならば難易度は下がるんではないか。と考えて採用した次第。