家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

亜麻仁油古色は万能では無い

 燃え尽きた。トイレ小窓施工で燃え尽きた。凄く面倒だったり技術を要する様な施工、例えば左官の様な施工はする気が起きない。よって、現場をブラブラしてみて日を過ごすも、誰も施工してくれないので進捗せず変化無し。当たり前だ。難しく無くて、変化が分かり易い施工はないものか。

 あった。という事で行ったのは、長らく無地のままだったトイレの五本柱の古色塗装。トイレ内壁は漆喰仕上げ、早々に塗っておいた方が良い。

 

 はい、塗りました。見違えました。だけで終わるのもなんなんで、古色の事で付加しておこうと思っていた事を書いておく。

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 古色を柿渋から亜麻仁油にグレードアップしたのは以前にも書いた通り。

 一つ、柿渋だとマット感が強く亜麻仁油等の艶出しの追加作業を要してしまう事。

 これに関しては、確かにマット感が無くなって正解だったと思っている。だが、亜麻仁油古色も塗ってから少し置いて馴染んでから拭き直しを要する。手間暇で言うとあまり変わらない。

 

 一つ、柿渋だとカビやゲル化が生じて長期作り置きが出来ない事。

 これに関しても正解だった。塗料保存に然程気を使わなくて済んでいる。しかし、亜麻仁油はカビらないとは断言が出来ない事象がある。それは、塗布後部位に白いカビらしき物が発生している箇所があるのだ。

 

 箇所がある、と言うのは全部が全部じゃないからだ。多いのは、今まで天井懐に隠れていたような材。塗布前に土埃を拭いた上で塗布しているが、そもそも整形された角材と違う材が多く綺麗に拭けていないと思われ、カビ胞子か何か残存してたのか。はたまた、整形材じゃないから浮遊胞子が付着しやすいのか。キッカケは何か分からないが、油が栄養素か苗床かになりカビが発生しているのかな、と考えている。

 一回拭けば発生しない所とそうでない所、という違いもある。薄めた酢では効果無しで、追々ちゃんと対策を考えてみようかと思っている。ちなみに、柿渋古色だとどうかは不明。柿渋古色は亜麻仁油コーティングしてあるからだ。

 

 そして最後に一つ、漆喰に古色が滲まないようにする事。

 以前に度々書いた、棕櫚刷毛を紹介してくれた専門学校に通われた上で施主施工をされた方による。その方は、確か購入品古色が塗った漆喰に滲んでしまい、全ての古色部に油か何かのコーティングをし直す破目になった事も紹介してくれていた。

 

 これも大きな要因として亜麻仁油に切り替えたのだが、これに関しては効果を感じられない。探せばチリ部に古色が入ってしまっている箇所がある。その事からも分かるだろう。 

 固形の顔料が科学を超越し液化、油と同化して硬化する。というわけではないんだから、油表面に顔料が乗っている状態の箇所も無数にあるはず。件の施主施工の方同様、別途上から油等を塗らないと意味が無いんではないか、と今は思ったりする。

 

 しかし、そもそも滲んでしまう箇所は特定的なのだ。マステによって隠されず露出している古色部だ。隠れた古色までも漆喰の強アルカリ性によって滲み出している、というわけではなさそうだ。

 となると、単純に鏝の縁が古色に当たって削ってしまっているのではないか、とも考えている。ならば、漆喰仕上げ面より深くなるようにマステを貼れば良い。施工直後のマステ剥がしの際に漆喰が掘り起こされてしまうが、それは大した問題ではない。大ベテランのDVD師匠も同様の手直しをされていた。そういうもんだ、きっと。

 

 そう思うに至ったのは、薪ストーブ周辺漆喰施工終盤期。まだまだ漆喰施工はあるので後の祭りとまでは言わないが、既に施工した所はどうしようも無し。今後の要注意点として心掛ける次第。