家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

家屋伝承:この家の賃貸力

 平成時代、大卒新入社員の初任給は20万円強程度。手取りだと16~7万円程度だろうか。そんなご時世、この家を賃貸出しすると賃料は15万円/月は有り得る、とお父さんは見ている。施主施工をする事で愛着が湧いての視野狭窄、希望的観測で夢物語の戯言。そう思うだろうか。しかし、相場を鑑みての数字だ。

 

 勿論、20代前半の給与所得者の方には無理。だが、そもそもこのような家を特別に評価する主な方は、住居費に15万円を出せるような年齢層の方々。心配無用だ。

 そのような年齢層の方が列を成すようにして買付申し込みをしたらしいこの家は、一般の銀行では住宅ローンが付かず。住宅ローンと言えば口座を持っている銀行だ、というような真面目な方々だったのだろうか、全員落伍されていった。欲しいのに買えない。返済能力があるのに買えない。このような方々が複数人おられたと聞いている。

 この家に限らずに、郊外の大きな古民家で広い敷地、なのに大都市圏通勤可能立地、となると需要は想像以上にあるのだ。

 

 それでも、大卒新入社員初任給手取額並みだなんて俄かに信じられない、と思うなら10万円で考えても構わんよ。不動産サイトを検索してこの程度の額で借りられる駐車スペースがある戸建ての内容を見れば、お父さんが無茶を言っていないと分かってもらえるのではないか。

 そもそも賃貸戸建ては需要を満たしていないし、少なくとも今後数十年は満たせないと思う。現在、日本の空き家率は上昇傾向。二人が大人になっている頃にはかなり変化しているかもしれず、数だけは満たすか。

 しかし、空き家になるような日本の在来工法家屋は、数十年後はタダの古ボロ屋が結構多いと思われる。安さだけが売り、みたいな質の需要を満たせない物件はこの家の競争相手にはならない。

 

 一方で、今から数十年後でも住みたくなるような古民家は、立地がこの家より悪い所が多いと思われる。立地が悪いと空き家期間が長い可能性があり、そういう家だとやはり傷みはある程度甘受しないといけないか。そんなこんなでこの家は、戸建て又は古民家の賃貸需要に優位的に応えられると見ている。