家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

背割りの謎

 荷下ろしした原木は天然乾燥させる。この時期に買ったもう一つの理由だ。その為に背割りを入れる。しかし、この背割りというものもよく分からない。

 背割り自体は分かる。木というのは乾燥収縮によりひび割れが自然に入る。これが結構な割れになる。その為、予め切り込みを入れておく。そこに収縮力を逃がす事でその他の面の割れを無くす、若しくは少なくする。その程度の認識がある。ただ、どう入れるのかが分からないのだ。

 

 木材の収縮乾燥により割れは年輪を中心として起こるようだ。森林組合にて貰って来た廃材は恐らく中温人工乾燥材。表面に割れが出てないものの、断面で見ると幾つもの割れが年輪中心に向かうように入っている。

f:id:kaokudensyou:20160117155958j:plain←大いに人工乾燥したと思われる材

 

 しかし、製材所から購入した材に入っている背割りは、ただ単に切り込みを入れただけのように思える。製材品の中心と年輪の中心が同一であれば背割りはそこにも入る。そうでなければ、年輪の中心から大いに外れた背割りとなっている。なので、全く年輪を無視しているように見える。四寸角程度の材ならそれで問題無いのかもしれない。

 

 余談だが、背割りによる材強度についても見解が分かれるようだ。

 背割りを不要とした乾燥方法を売りにしている製材企業は、背割りは強度を低下させると言う。だからこそ、当社は長年の研究による新しい乾燥方法を、と謳っている。

 一方で、どこかの県が背割りによる強度低下は非常に微々たるものだ、と試験結果を公表しているようだ。木材は圧縮方向の強度はそもそも非常に強い。そこに背割りが入ったからと言って、強度が下がったと言える程の影響があるとは確かに思えない、お父さんは。

 今回のような大径木だと強度面は尚更無視しても良いだろう。問題は、表面に割れが極力出ないように出来るか否か。ならば、是が非でも背割りは入れる。そして、理屈で考えて年輪中心に向かって背割りをする、という方法で行く事にした。

 

 それにしても、本当にこの方法が正解かはやはり甚だ分からない。特に階段踊り場束用の材は、正面になる側を選定した上でその反対側に背割りを入れる。見た目重視からの年輪中心背割り入れ。

 すると、何だか歪な感じがする。年輪が偏った材を購入した為それが顕著。年輪中心を跨って背割りをもっと入れると、運が悪いとパッカリ真っ二つにならないか。と言って、年輪巾が狭い方に背割りを入れても、対極の広い方の乾燥収縮割れに寄与しないのではなかろうか。広い方はリビングからガッツリ見えてくる面だ。

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 短尺材で推定100kg、長尺材は同200kg。これらテコを使って不動地回転させてチェンソーで背割りを入れる事凡そ3時間。無駄な足掻きだったような気がしないでもないんだな。背割り位置を見た目重視にし過ぎたかもしれない。

 

 ちなみに、この3時間にソーチェンの目立て時間を含んでいる。目立て毎にソーチェンのバーは天地返しした方が良いよ。バーの片減りを防ぐ為らしいので。数百年後でもまだ全自動機械やロボットとか出ておらず、現在と大して変わらない機械ならば頭の片隅に入れておいて頂戴。

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