家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

トップダウンの強権発動

 思考の散乱が止まらない。施工者思考はいつもの大工職ではなく指物師、いや、木工職。そして漆塗師が初登場。ただ、木工職は日曜大工レベル、塗師に至っては未経験者。それならそもそも塗師じゃないやんか、という奴まで大きく口を出すのだから始末が悪い。現実にもこんな人間がいるが、そういう場は大抵が混乱するばかり。

 

 お父さんは準備の方が大事とする性質だ。しかし、特に施主施工でしかも改修工事において、全てを事前に計画やら段取りやらを整える事は不可能、とは前述の通り。得意ではないものの走りながら考えるという事をやってきた。天板設計絡みもあって工程は大幅遅延で焦る。本施工以外にも勿論考える事は色々ある。ひっちゃかめっちゃか。もうイカン。施主でも設計者でも施工者でもない、本来のお父さんを引っ張り出す。

 

 キッチン天板への漆塗りは、天板加工を完全終了させてから行うのだ。L字接合もしていれば、コンロ等の開口加工も終えている。さすれば、大移動も出来なければ一人でひっくり返す事も出来ない。故に塗師はどう足掻いても、キッチン室内にて天板の下に潜って作業する事は避けられない。よって、塗師は退席させる。

 その事による漆塗りの仕上がり具合の低下があるとしてもそれは不可避。よって、施主と設計者も退席させてしまう。

 

 一見、非常に絡まっているような悩み事でもちょっとした整理で解ける事はままある。本事案もちょっとの整理で一気に思考が進む。目下の最重要課題はL字接合が上手くできるか否かとする。こうなると作業場所はキッチン室内にて行う方が、接合後の不良懸念を抱え込まない。

 これによる新たな懸案。裏を塗る為に天板を持ち上げた状態にしないといけない。この対応は次に考えるとする。

 

 作業場所がキッチンとなると床が要る。貰い物のコンパネでも仮敷くか。

 いや、待てよ。天板がある状態だとその後のフローリング施工が非常にやりにくくなる。出来れば反り不安の低減の為にも天板は固定設置させておきたい。天板が固定設置されると天板巾木の施工が可能となり、天板との漆一体塗布が可能となりキッチンにおける水養生に具合が良い。それに、巾木と取り合う壁の漆喰施工も可能になってくる。

 

 では、どうする。フローリングの先行施工をするか。いや、現時点で到底出来ない。

 待てよ。捨て板床でいいんじゃないか。キッチン台下の床はどうせ見えない。フローリング材の節約と捨て板の有効活用だ。床材が固定されると、水道や電気工事も可能になってくる。

 

 よし、これだ。と、まずは床板貼施工。

 折角剥がしてやったのに、等の探検さんから苦情等は来ないはず。床板とフローリングの境目は、キッチン台の寸法によるものとなる。これに応じた根太が位置に無いので既設根太を移設。これは、捨て床板を既に剥がしてもらっているからこそやり易い施工なのだ。

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 L字短尺側突端部にも新たな根太が必要となる。しかし、既設根太の移設対応は根太間寸法がおかしくなるので断念。そこで、薪ストーブ東側床の異常に根太が多い所から融通。

 一体何のために多いのか。単に根太材が余っただけじゃないかと踏んでいたが、それが正解のように思う。端部二ヶ所のみが大引に留められていただけであり、何の問題も無く移動が出来た。本格的なフローリング施工前にこの過剰根太材は撤去流用をしてやろう。

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 キッチン台に応じた箇所への捨て床を釘貼。天板作業場所として、その他箇所はコンパネ等を仮置きして完成。現場が動き出した。

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