家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

Electrical wire & Pipe Space

 ここで2階のトイレを考える。1階のトイレ周囲を施工中なのに2階トイレ。その理由は「EPS」があるからだ。2階への「E」lectrical wireと「P」ipeの「S」paceを1階トイレ内に造作する為、2階トイレの大便器等の凡その設置位置を決めておく。その上で、1階天井板を貫通させておく。塗装工程という目的地になかなか着かないじれったさとの闘い。

 

 そうは言っても一応、設計段階で粗方決定させていた。余裕空間を造ったりして、ある程度の寸法で施工出来るようにしていた。しかし、だ。配管しようと思っていた床下箇所に、思いもよらない床組があった。

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 中途半端に根太を支持する材。束石までちゃんある。当該箇所の根太の端部は相欠きにて、差框と言うのか差敷居と言うかの材に嵌め込まれているので、重力方向への強度に不安があったからではないか。確かに、この補助的な大引材が無いと割れてしまっても不思議ではなさそうだ。という事で温存。そうなると、微妙に配管と干渉しそうだんだよな。そうなるとEPSにも影響する。

 

 あれやこれやで何とかいけそう、という寸法算出。いざ施工。

 ここの面倒臭さは、先の小便器横の床梁と同じレベル。2階トイレ内に窓を確保する為、大便器位置が歪な位置の設計となっている。それがトイレ内壁にも影響し、下に梁が無い位置となってしまう。そこで、2階トイレ大便器周辺内壁の直下に位置するように梁を新設する。

 またもや材は解体材からの流用。しかし、梁材に出来る材は然程無い。限られた材から考えた結果、既存大梁間に1本小梁を掛けて、その新設小梁と既存胴差間にも1本小梁を新設する。上から見ると丁字型になる。

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 丁字型にすると、2階トイレ内壁の一部新設壁は勿論、新設柱が乗らなくなってしまう。一部新設壁は問題無いとしても、柱が乗らない事には不安がある。その為には、新設小梁と胴差間の小梁を新設柱直下まで延長させ、上から見ると十字型にすべきである。

 そのような施工法、と言うか見た目は寺社仏閣とかで見受けられる。上部からの荷重を分散させながら下部の柱に支持させる施工法だったかで、ちょっと目的は違うけど。一時期、それを真似た施工法を考えていたけどもお父さんには荷が重い上に、十字型に出来る長い材が無かった事が手伝って諦めた。当該柱を建てる際に、荷重を支持する方策を行う事で手打ち。

 文字で説明する能力不足の為、よく分からんかもしれんけど気にしないで。3DCADには描いている上、必要な際に現物を見たら分かるだろうから。ここでは一応説明してみているだけだ。

 

 施工方針は決定。小梁の製材、及び加工実施。これらを取付る為、当該部の歩き天井板を外す。

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 各既存部材にホゾを掘り小梁を嵌める。すると、一ヶ所に大いに隙間が空いている。新設小梁の加工を下手こいたわけではない。既存大梁が傾いているのでもない。既存大梁が矩形ではなかった。上辺と下辺の寸法が違って断面が台形状のようだ。またもやこれに気が付かなかった、という点ではお父さんが下手こいた事に違いが無いな。ここは後に埋木をしておいた。

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 小梁を設けた後、剥がした天井板を一部切断。貼り直しを含めて凡そ2人工弱で終了。当施工はどうしようか、かなり長い間気掛かりになりつつも左官等々で宙ぶらりん。いざ目の前になっても諸々億劫で気が進まない一つだった。2階というまだまだ先の工区の事だからだろうか。だけど、終えられてとてもスッキリ。

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行き当たりばったり工程

 引き続き塗装工程を進めたい。左官壁との取り合いから、出来得る限り亜麻仁油が硬化している状態が良い。滲んでしまったりするから。そこで、長らく手付かずで素地状態のトイレ周囲五本柱の塗装を行っておきたい。

f:id:kaokudensyou:20170919200409j:plain←建てた頃のトイレ五本柱

 

 しかしながら、綺麗に塗った後で、胴縁間柱やら付鴨居等の周辺施工をする事は憚られる。さらに、胴縁間柱材は既に納品済。中塗土や漆喰の練置き等で手持無沙汰の際、この施工をしようと発注。だけどもその機が無く今に至る。こんなちょっとした材を早々にわざわざ届けてくれたのに未だ放置とは、製材業者氏にバツが悪い。よって、やってしまおう。

 

 そんなこんなで始まった、いつ以来かの久方ぶり大工工程。

 胴縁と間柱の交点、仕口の加工は以前と同じく「相欠き」。仕口と書くのが恥ずかしいぐらいかなりシンプルな加工。だけども勿論、イモ留めよりは手間を要す。高さ4m弱、巾1尺弱を2面分と、高さ2m弱、巾1尺弱を1面分だけで1.5人工程だったかと思う。

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 次。元押入で、小便器スペースになる箇所への施工。ここはちと面倒臭い。まずは、ダイニングの床梁を造らんといかん。それが、小便器壁の一部となるのだわ。一本の短い梁材を入れるだけ。一見、大した事がない作業。確かに難度は高くない。しかし、面倒臭い。

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 何が面倒かと言えば、まずは本施主施工にずっと付きまとっている姿勢、製材から始めるという事。形状が適していそうな材を発掘しては、節や傷や既存加工等の不具合部分と完成形とを脳内で見比べて取捨選択。と言ってもほぼ捨てる方を選択。そんな事をしていると施工が進まないので、その中から色々妥協して採用。そこからようやく製材。

 この次に面倒なのが道具の段取り。ちょっと違う施工をするだけで、内容によってはありとあらゆる道具を引っ張り出してくる事になる。一工程をずっと行うような段取りを心掛けてはいるものの、中々そう容易には行かず、又は出来ず。作業によっては予見出来なかったりして、一つの道具だけを取りに行ったりする事もしばしば。結果、道具を段取りして片付けて、とかだけで何十往復をする事もしばしば。

 

 製材やら道具段取りやらは自業自得な事だけど、素人大規模施主施工では有りがちじゃなかろうか、そして、チリも積もって馬鹿に出来ない山となっているように思ったりする。

 という事で、引き続き当該箇所の施工をしてしまおう。内容は、北側縁側撤去部の床組。

 

 以前にも触れた何故か異様に多い根太。これを外して流用する。同じ流用でも、床梁のように製材しないだけ気が楽だ。と、捨て床板を外したら根太長さが半分。なんでやねん。全くこの根太は不思議でならん。既納入分のサニタリー部の新床用大引材を半割りして流用。簡単ながらも、結局は製材を要す。

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 新設した床梁にホゾ穴を掘って、根太を仮置きして床レベル出し。そこから大引、束へと逆施工。お父さんの場合は、部分的床組施工の場合はこの方がやり易い。

 で、散々散らかした道具を片付けて、床梁から締めて凡そ2.5人工。道具を段取り等してくれる手元がいたり、購入新材があれば製材作業も捨て床板外しも不要で、ならば1人工は切っていたかもな、と無い物ねだり的思考をしてみたり。

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 ちなみに、この床組は水平ではない。西側から東側方向へ下がっている。もしかしたら逆だったかもしれないが、何にせよ水平ではない。当施工箇所周辺の床材との兼ね合いからだ。既存が水平ではないのでおかしくなってしまうのだ。歩行に問題ない傾き具合なので既存共々修正しないし、お父さんの瑕疵工事ではないのであしからず。

 

 新設床梁の設置により、小便器スペース床のレベル出しと壁下地施工が可能となり実施。これらに1人工。トイレ廻りの古色塗装を行おう、と始まった作業は凡そ5人工に至るが、まだまだ前段階は終わらない。

 

謎の木紛

 改めて古色塗り直しをした数週間後。ある部位の孔から木粉が垂れ落ちている事を発見。場所は、リビングと薪ストーブスペースとの間、欄間垂れ壁上部にある曲り梁の中央上部付近。

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 この梁の樹種は、用途と形状からマツじゃないかと思っている。以前に書いた、工務店の逃亡社長が連れて来た棟梁が、二階床板が雇い実加工かを考慮せず剥がしてしまい部分破壊した話。この時に、奥の間の竿縁天井内に隠れていた当該梁を目視確認。複数の虫孔と、それに伴う零れ落ちていた木紛を見ている。

 

 他材でもキクイムシか何かの虫孔を確認している。刻苧で埋めたキッチンシンク前の柱然り、他の柱にも一ヶ所発見している。後述するが、南側縁側と居室間の差鴨居にも複数の孔がある。

 柱材に関しては、製材時点では出来ていなかった孔かと思われる。表面を薄く残して孔道が出来ているからだ。曲り梁や差鴨居については、何故視認出来る孔があるのか、お父さんには見当が付かない。共にマツと思われ、虫の種類や虫の喰い方が柱材のものとは違うかもしれない。竣工時には視認出来る孔が無かったかもしれない。

 

 ま、いずれにしても、大した問題にしていなかった。

 と言うのは、まずキクイムシ等がいた事は仕方が無いと思う。それに対処する一環でもある人工乾燥法が主になるのは後年の事で、戦後間もない建築当時は天然乾燥が主じゃないか、そうなると熱殺という方法自体が無い。伐倒時期等により虫を減らす等の方策はあるらしいが、それは減らすのであって皆無には出来ないかもしれない。ましてや戦後間もない木材枯渇期。伐倒時期の調整等は困難だっただろう。現代の細い柱の家屋にて虫孔があったら、人工乾燥費用を施主が負担しているという事も合わさってクレーム必至。

 そして、そもそも伐倒から何十年経っているんだ、という話。

 乾燥方法が何であろうが、材はとうに十分乾燥している。白蟻の場合、水を運ぶ能力がある種がいる。この種の白蟻は非常に厄介だそうだが、キクイムシでそのような事が出来る種はいないだろう。となると、子孫を残し続けて生存なんて出来ないだろう。とっくに絶えているはずだ。

 

 と思っていた。その考えが揺らいだのが、つい先日に拭きとった箇所にある木粉零れ跡の所為。間違いなく拭き取った、古色を塗るから。間違いなく新たな零れ跡、古色の上に乗っているから。

 

 これをどう捉えたらよいのか。

 孔に溜まっていた木紛が何かのキッカケで、自然に零れただけ。そうは見えなかった。人為的にも見えない。虫のような小動物が外部に出したような跡。じゃぁ、まさにキクイムシ等じゃないのか。だとすると、何故70年強掛かっても曲り梁を食い尽くせないのか。

 改めて調べてみると、家具等にも付いていたりするらしい。という事は、乾燥材等の水分云々は安心材料ではないかもしれない。周囲のその他の部材にもいて、当該曲り梁のような、つい最近まで天井裏という暗い空間にあり、製材等の加工がされていない無垢材だから、虫は気軽に外部から容易に見える孔を開けた。うむ、無理が無い推察のように思える。

 

 もしそうだとすると、完全治癒は材の取り換えか。それは手の付けようが無い。という事で対処療法で行く。まずは要観察。引き続き木紛が出て来ないか気にしておくのだ。もし粉が出ていたら、孔へ殺虫剤噴霧だ。今回、一応噴霧してみた。  

アース製薬 虫コロリアース(エアゾール) 300mL

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 ただ、当該曲り梁は露出材かつ古色塗装にて、虫が居ても今後は表に出て来ないかもしれない。そして、知らない間に材の強度が落ちていく、という事態になるのかもしれない。

 という事で、特に二階の壁にも留意しておこう。心配すんな、当該梁や周囲の材が弱くなってもそんな簡単に倒壊等しない。その前に、二階の左官仕上壁に亀裂が入ったりサインがあるはずだ。変な亀裂が入るようになれば、水平垂直等を測ってみるとかしてはどうか。真っ当な大工職であれば、補強修繕は可能な施工内容だ。と、後世へ申し送りさせてもらう次第。

 

大規模長期施主施工の盲点

 漆喰施工の間、悶絶していたのはお父さんだけではない。並行して他の作業をしていたお母さんもだ。

 

 お母さんの主たる作業は「美装」、所謂「掃除」だ。リビングと薪ストーブ廻りの垂れ壁の中塗仕上塗り後、それらと取り合う古色が塗られた木部は泥汚れ。養生を省いたから尚更の状態。これらの泥を、棕櫚刷毛や雑巾を用いて取り除く。内容は至って難しくない作業。

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 だけども、何故かこれらをお母さんはちゃんと出来ない。

 全くの取り残し、拭き残しが多々ある。1㎜や2㎜レベルはお父さんも目を瞑られるが、壁から5㎜以上の泥となるとどう見ても目に付くが、それも残してしまう。当の本人も、指摘をされると「確かにこれは駄目」と認識する。拭き跡に至っては全般的に残してしまう。

 きょうこやりょうすけのように実際のお母さんを知っていると分かるだろう。だが、そうでない子孫にとっては、これらどういう事を書いているのかよく分からないかもしれない。これだけ読むと、単にお父さんが凄く神経質な人間ではないかと思うのではないか。もう一度書くが、指摘をすると本人も認識するレベルの出来なさ具合なのだ。

f:id:kaokudensyou:20170919195513j:plain←お母さんの平均的な掃除出来栄え

 

 お父さんは小学生の時実家では、掃除の手伝いをたまにさせられた。学校でも小中学生、高校生なりにちゃんとしていた。アルバイト先や職場での掃除でも怒られた記憶は無い。それぞれの現場で、親や教師や先輩や雇用者から指導を受け、それに基づいて掃除を普通にしていた。

 そういうお父さんから見て、お母さんの掃除の仕方はかなりイマイチ。まず、雑巾の使い方からなっていない。視野が極端に狭い。「これぐらい出来て当たり前」と本人も思っているので教えを請わない。極め付けは、教えても同じ失敗等を繰り返す。

 

 きょうこやりょうすけの年齢が高ければ高い程、「何故こんな事が出来ないのか」と思わされる人を目の当たりにした経験があるだろう。大多数の人が普通に出来る事が何故か出来ない、又はしない。その理由等は様々あれど、そんな事は世間様は斟酌してくれない。

 当のお母さんも、他者に対しては世間様と同じ。職場で出会った頃の若かりしお母さんは、明らかに仕事が出来て自信に満ち溢れた雰囲気を纏っていた。それは今も同様で、若さから来るものは失せても、確固たる実績から本人もその自覚がある。そんなお母さんは、自分より明らかにポンコツな人に対して辛口だ。

 

 お父さんは、掃除が出来ない以上にその理不尽さが問題だと捉えている。

 他人に厳しいお母さんにだからこそ、お父さんが厳しく言っても理解が出来るだろうし、そうでないと辻褄が合わん、と叱咤する。しかし、お母さんは掃除“ごとき”で失態を繰り返す。

 

 こんなお母さんの良い所は、怒られても逆ギレしない事だ。世間の同世代の奥さん方の多くは、夫に掃除の事などで指摘されようものなら、それはそれは家庭内に嵐が吹き荒れるのではなかろうか。昔のお母さんもプライドが高い自信家が故、たまに荒れる事があった。しかし、この手の長年の闘いの結果、分野によって自身にポンコツさがある事を自覚するようになり、逆ギレする事が無くなった。逆ギレしても無駄とか、いつか仕返ししてやろうとか、別の考えを持つようになっただけかもしれないが。

 

 その他諸々思う所があるが、人それぞれ得手不得手がある事は承知。しかし、如何せん掃除が出来ないのは困った。単独施工で、尚且つ工程が様々変わる等で、それなりの作業である美装作業は度々発生してしまう。それを副たる施主施工者のお母さんが戦力にならないのは、とっても口惜しい。当然に他の作業も大して出来ないし、設計方面も出来ないし、住宅設備類選定等の買物レベルもイマイチだし。

 そして何より、お母さんとのやり取りが無駄になり、その尻拭いをする事になったり、工程変更する事がやたらしんどい。

 

 当美装作業においては、古色が乾き切る前に泥が付いた事で簡単に取れない箇所が複数発生。左官工程の不具合もあった。そして、お母さんの古色木部の擦り過ぎや拭き残しによる泥固着等により、再塗装決定。

 お父さんがハナから掃除をしておけばそこまでせずとも良かったが、どうせその手間をこの時点で掛けるぐらいなら再塗装した方が結果が良い、という判断。あぁ、どっと疲れる。

 

 こんな話は、他人様には理解してもらえるとは思えないし、二人にも子孫にも同様じゃないかな。

 お母さん自身は全く、お父さんもここまでソフト面にて問題があるとは想像出来ていなかった本宅の施主施工。この事が予見出来ていれば、お父さんもお母さんも果たして大規模長期施主施工に踏み切ったかと甚だ疑問。

 

 部分施工や補修程度なら大した事がないだろう。だが、もし本施工の規模レベルで施主施工実施を検討する場合は、パートナーの性格と力量と覚悟具合も十二分に検討材料に含めないと、無駄で本末転倒的な軋轢を生み出すかもしれない。

 と、この事を言いたかったのであって、好き好んでお母さんのダメ出しなんか

を我が子に向けてしたかったのでは決して無い。

 

転進決定

 さて、伝統的な漆喰施工については悩む日々はまだまだ続く。新建材下地を味わってしまうと、ただの苦行にしか思えない。

 

 半間壁一枚を施工し終えるのに凡そ4時間強を要している。塗付所要時間は、相変わらず10分強。時間が掛かっても20分程か。砂漆喰と上塗り二回で凡そ40分強から1時間弱だろうか。なのに、何故に4時間強なのかと言うと、塗付だけじゃないからだ。

 まずは壁のチリ掃除から始まり、水湿し、「砂漆喰塗付」、面直し、チリ掃除、水引きを見計らって「上塗一回目」、「二回目」、チリ掃除、水引きを見計らってこなし、チリ掃除、水引きを見計らって押さえ一回目、二回目、養生テープ撤去。場合によっては、チリ掃除の増減があったりするし、押さえ後の水引きが遅い箇所の追加押さえを要したりもする。水引きを見計らっている間、道具を洗ったりもする。脚立作業や足場の悪さも地味に影響する。

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 当初、水引きを見計らう待ち時間があった事から、二面同時施工を目論んだ。道具の制約がある為、上塗材を扱う前に砂漆喰が付いた道具を洗わないといけないが、この手間が減るからだ。結果はイマイチ。お父さんの技量では、二面目の砂漆喰塗付が終わる頃には、一面目の砂漆喰の水引きは結構進んでしまっている。それを横目で見ながら焦りまくって気持ちがしんどい。施工も荒くなる。

 よって、もっと時間がある上塗り塗付後に二面目の砂漆喰施工に入る事にする。これだと水引き問題には当たらなかったが、手間の節約にはならず、常に動きっぱなし。昼食時間を失う。りょうすけの幼稚園の送迎タイミングもネックになる。

 

 そう、りょうすけの幼稚園送迎係と漆喰左官係との兼任のお父さんにとって、これは頭をもたげる問題。行きは世間からしても遅く、帰りはやはり世間からしても遅く、漆喰施工の合間になってしまうタイミング。ただでさえ漆喰施工は気が張る上、常に時計と睨めっこ。これを二面同時施工しようものなら、その日はヘロヘロ。その割に出来はイマイチ。

 一人親方左官本職は一体どうされているんだろう。応援を必ず呼ぶのだろうか。若しくは、自身の技量でスイスイ施工を進められるのだろうか。

 

 試行錯誤が続く中、梅雨突入と気象庁は言っているが、雨が降らないどころか過乾燥の日々到来。塗っている傍から水引きに追われるようになってくる。狭い壁以外での二面同時施工が不可能となる。

 七月。未だ梅雨だと言い張る気象庁を、気象予報士は弁護しつつも実質梅雨明けしていると吐露する気候。室内温度20度台半ば、湿度は50%辺り。狭い壁でさえ二面同時施工が厳しくなってくる。ちょっと用事が入ると、その日は漆喰施工は中止。気が漆喰にどっぷり向いているので、合間に他作業をする気が起らず、施工自体を休みとしてしまう。

 

 そして、30℃近くになる頃、一面施工でも施工難易度が急上昇。具体的には、水引きが早い所と遅い所の差がより激しくなり、これを上手く調整出来ないお父さんにとっては四苦八苦。5分後程度には材の様子は変化していたりもする。気が抜けない。りょうすけを送り出し、遅い朝食と言えるぐらいの時間帯に昼食摂取。その後、ぶっ通しで漆喰施工。押さえ工程で落ち着いた頃にりょうすけを迎えに行くように時間調整。休日施工であっても、家族の昼食等のタイミングによりやはり慌ただしい。

 

 最終施工品質に決定的に関わる気候要因から、ようやく中断する腹が決った。

 そもそも漆喰工程をここに持ってきたのは、薪ストーブを五月頃の設置を目指した為だった。それが叶わなかった事で今更優先する必要性が無く、中断したくないだけで継続してきた。だが、このまま薪ストーブ背面の漆喰塗りはマズい。新建材下地と言えども最大面積壁であり、かつリビングの顔になりそうな壁。これがイマイチな出来だと格好が悪すぎる。

 四月下旬に着手して七月中旬まで掛かっても、キッチンは完了ながらも今回の漆喰施工自体は未完が口惜しい。

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