家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

建材による文化圏の違い簡略論

 ところで、設計図書目的でもあるこの手記だけに、チムニー外壁仕上げ材の石灰モルタルの事について触れておこう。

 石灰モルタルとは、別名か本名かは不明だが西洋漆喰とも称されるようだ。何故かモルタルという言葉が入っているが、セメントと砂とは関係が無い。所謂、日本の漆喰と同じく消石灰の左官材との事。

                           

 では何故、石灰とモルタルの二語なのか。何故、西洋と漆喰の二語なのか。

 前者は、その用途から来ているのではなかろうか。想像してごらん、地中海沿岸の丘陵に建つ白亜の街並みを。その映像を一度はどこかで見た事があるという前提で書くが、その白亜の外壁材が石灰モルタル。庇も特に無い民家の外壁に、模様が付く程厚塗りされている。日本で同じような施工法があるが、その場合はセメントによるモルタル。絶対ではないかもしれないが、普通はモルタルの上に白塗装だな。この石灰モルタルは、セメントモルタルのような施工法のようだ。セメントが生まれるまでは、大昔からセメントのような使われ方をされていたようだし。

 後者、西洋と付くのは東洋、若しくは日本の漆喰主成分である消石灰の種類が違うとの事かな。同じ消石灰でも化学式が違うそうだ。

 

 結果、どう違うのか。石灰モルタルはセメントモルタルのような厚塗りがし易い漆喰。日本の漆喰は薄塗り。厚くしたい場合はその分塗り重ねが必要。そうお父さんは解釈した。

 

 いやぁ、面白いわ。面白い。何が面白いのかと言うと、建築様式の違いの理由が産出される消石灰の違いからも来ているのでは、と推測したからだ。

 東洋と西洋の建築様式は丸っきり違うのは周知の事。これは、生活様式や歴史、文化、宗教、美意識等々の様々な違いによると思うかもしれない。でも、お父さんはそうは思わない。それは結果論だ。民家だろうが城郭だろうが宗教施設だろうが、建造物はその土地で得られる建材からでしか出来ない。それが始まりだ。異文化遠方地産の建材なんてのは一部の権力者しか使えずだ。

 で、支那大陸や日本列島で得られるのが、西洋漆喰だったならどうなったのか。真っ平の壁の建物様式になったのだろうか。壁に質素感が無ければ、その他部位も変わっていたかもしれない。文化面や宗教面にも影響を与えたかもしれない。若しくは、何としても真っ平壁にしていたのかも。

 もっと仔細に書くと長くなるので止めておくが、まぁ、面白いと思うのだ。歴史のifというやつかな。お父さんが建築学科の材料系を専攻していたら、これで論文を書くな。いや、もう既にあるかもしれんか。

 

 そんな石灰モルタルは、用途例としてセメントモルタル的なものが挙げられていた。具体的にはブロック塀への塗布。お父さんの解釈は、雨水に打たれまくりの屋外箇所にイケるんだな、と。セメントや普通の漆喰と同じくこれも防水材では別に無い。でも、強固で雨に打たれ強いとな。という事ならばと、強風雨に襲われるチムニー外壁に使う事にしたのだ。

 実際に、普通の漆喰とはちょっと違う感じがする。硬い、硬い感じがする。漆喰よりもセメントな感じか。他にも使い処がありそうな予感がする。

 

「別にいいや」

 施主施工をしているのは、平たく言えば節約の為。それだけでは施工品質を長期に維持する事は困難。まぁ、良し悪しとかのレベルではなくそういう事なのだ。チムニー施工はその凝縮。

 

 先に掲載したチムニー内部写真。そこに映る内壁はケイカル板。煙道火災に備えての不燃材。

f:id:kaokudensyou:20170117205036j:plain

 

 だが、12㎜厚推奨の所、8㎜厚。その方が軽いわ安いわ。そもそも、お父さんの目が黒い内は煙道火災など起こさせない。薪作りに手間を掛けて煤等が付きにくい物に仕上げている。高額な国産高性能煙突を選択している。それでも煙道火災が起きるのなら、薪ストーブの運転法が悪いのか薪ストーブという代物自体が欠陥品だ。チムニー内部に人が入るわけでもなし、断熱材の役割も担っていないし。という事で「別にいいや」の8㎜厚。

 この意識は施工品質にも表れていて、ケイカル板の四方角に隙間が出来ている。ケイカル板は真っすぐ切ったつもりなので、例の適当施工の骨格に歪みがあるはず。隙間の部位に、通常なら板端部を受ける材を取り付けておくが、それも「別にいいや」で無し。直風が入るわけでも無いし。アルミテープでも貼っておくか、と思っていたが意識が低いのでそれも忘れる。気が付いたのが煙突設置後で面倒という事もあり「別にいいや」でそのまま貼らず。

 

 その骨格歪みの所為か、軟材が故に真っすぐ切りにくかった所為か、外壁下地材としての炭化コルクにも隙間がある。取付中に炭化コルクを落としてしまい、一部欠けた部位もある。だけども「別にいいや」でそのまま。

f:id:kaokudensyou:20170119182921j:plain f:id:kaokudensyou:20170119182911j:plain

 

 煙突設置の際には、先述したようにズレての設置。一部金物の取付位置が間違っていた。それに気付いても「別にいいや」でやり直さず。やり直すと、引き揚げた煙突管を降ろし直してあれやこれや、と手間を喰うから。薪ストーブやチムニートップ部材の設置に支障が無く許容範囲だと判断して続行。

 

 骨格の適当さ容認は、炭化コルクが軟材が故に取り付けられるから。その炭化コルクの隙間容認は、チムニー外壁仕上げは石灰モルタルに選定したから。板金のような硬材仕上げならこうはいかない。だが、二人は既に見ているだろうから一目瞭然だろうが、その石灰モルタルも適当さ爆発だ。

f:id:kaokudensyou:20170119182929j:plain

 

 これに関しては、流石にもっと綺麗に塗ろうとは思っていた。今後の仕上げ左官工程の練習と位置付けていた為だ。しかしだ。思いの外の材不足でおじゃんにした。

 同材販売者の施工面積目安から単純算出した量は凡そ3.5kg。下地が凸凹した炭化コルクの為に気持ち加算しての4kg。さらに、黒パーフェクチンを凡そ400g投入。

 ちなみに、パーフェクチンを入れた理由。瓦屋根色との取り合いもあるが、外壁黒漆喰部の一部補修に備えての色実験。黒パーフェクチンにて黒漆喰を実現出来るのであれば、左官職は苦労しないと思う。ただ、石灰着色剤と謳っている同品に期待を込めて、どうせ普段は見えない場所だけに実験したかったのだ。

 

 いざ作業を始めると絶対的に量不足。探検さんが同じ業者から漆喰を購入されたそうだが、掲示目安量では不足する旨をおっしゃっていた。正にその通り。それもあっての気持ち加算だったが圧倒的に不足。急遽、再準備。石灰モルタルは、馴染ませる為に練った後に2日は置けと言う。で、作業中断。

 追加材は6kg。それにプラスの黒パーフェクチン。それでも不足。炭化コルク取付材としてのプラスチック丸板の跡がくっきり残る。と言うかそれ以前の仕上がりで、左官練習にも成らず。

 残同材は10kg。さすがにこれだけあると大丈夫そうだが、ここで止める。チムニーとしての用途はもう満たしているので材量が勿体ないし、どうせ見えないから「別にいいや」、と。この日はクリスマス。クリスマスに煙突工事。この日に終わりたい気分もあった。

 

 後日、石灰モルタル部に防水目的の為に亜麻仁油塗布。これは普通にある施工法のようで、本来は塗り材に直接混入させるようだ。混入させなかったのは、石灰モルタルの硬化や含水蒸発に時間を要する事になるのではないか、と推察したから。硬化の為の雨養生が困難だった事から、そういう状態を避けたかった為。その後にテレビアンテナを設置して、屋根上作業はようやく終了。

 

 さて、「別にいいや」施工をしていて思った事。

 世には「別にいいや」で仕事等をしている人間は腐るほどいるのは承知だろう。業種も様々、営業マンだろうが施工者だろうが医者だろうが役人だろうが教職だろうが。そういう人達は「別にいいや」で一体何を得ているのか。数分の時間や数万円の金銭を節約なり獲得をしても、後々に非効率な事態や多額の出費のリスクを抱え込んだりしないのか。その内容次第では他人様に迷惑や不利益を被らせるよな。

 いやいや、分かってるよ。他人に迷惑を掛けたり不快さを与えても平気な人間も腐る程いる事を。お父さんが言いたいのは非効率さでありリスクの事だ。5分ばかし手間を惜しんだが故にクレーム対応に5日を掛ける必要が起こるかもしれない。一万円の費用を惜しんだばかりに一千万円の損害賠償が来るかもしれない。そういう事が熟練に成れば成る程予見出来ると思うが、それでも目先の楽さ等に流れる人の気が知れない。と言うかアホさ加減に怒りさえ覚える。

 

 そう書きながらも、根気低迷中のお父さん自身も手間と材料を惜しんだ。だけども、薪ストーブは問題無く稼働するかと思われる。しかし、煙突掃除と屋根目視点検の為に毎年屋根に昇る度に、汚いチムニー外壁を見て後悔をする可能性を抱え込んだ。「別にいいや」の使い処の見極めもお父さんには難しそうだ。これが出来れば賢人なんだろうなぁ。

 

 さてここで、自分の話をさせてもらう。きょうこやりょうすけは承知している内容かもしれない。なので、これはまたもや二人以降の代向け話であり、またもや一人称はおじいちゃん。

                   

 以前にも触れたが、探検さんのおじいちゃん評は多分、細かい、神経質、厳しい、といった感じだと思う。良く言えば、きっちりしていて中途半端は嫌い、となるのかもしれない。現場を見てとの事だったが、ご覧になられているとの事なのでこの手記も影響している、かもしれない。となると、この手記でのみおじいちゃんの人となりに接するかもしれない子孫も同様の感想になる、かもしれない。「かも」ではなく「そうだ」となると、打って変わって適当な施工をしだしたおじいちゃんは一体何なのだ、と思う「かも」しれない。

 

 おじいちゃんは端的に言えば、加減や調整が下手くそだ。年齢を重ねる度に自分がそういう人間だと思い始め、20代の時にそれは確定して動かず。どうだろう、そういう自覚を持つ子孫はいるだろうか。もしいているなら、おじいちゃん譲りで遺伝子レベルの宿命じゃなかろうか。

 

 世の中にはこれが長けた人がいる。姿勢や立ち振る舞いは、基本的に力まずに飄々としている。しかし、必要な事はしっかり抑えてこなせられる。他者への介入はほぼしない。だけど、一言二言しか無い発した言葉は、しっかり相手の心に届いてしまう。

 こういう人が20代の時の同世代にいた。彼はさらに爽やかで男前。将来に対して迷走中だった当時のおじいちゃんはそれも手伝ってか、もう内心では妬むわ羨むわで憤死しそうだった。ここまでとは言わないが、おばあちゃんの妹の夫、おじいちゃんからすると義弟もこういう人柄と映っている。憤死しそうにはさすがに思っていないが、純粋に羨ましいと思ったりする。

 

 そう、問題が分かっていてもどうこう出来ないおじいちゃん。よくよく見ると、おじいちゃんの親も似た匂いがする。遺伝子には容易に勝てない。自己嫌悪真っ逆さま。しかし、それで諦めるのは知恵ある人間として芸がない。そこで、自分の細かい所等を短所としていた見方を抑え、長短表裏一体だとした。細かいの裏返しはきっちりしているという事だ、と。これは以前にも書いたが、おじいちゃんの中では非常に重要な事もあり再びだ。この思考の切り返しに20代前半の数年をかけて到達、そこからは自己嫌悪は弱まった。これがなければ、間違いなくおばあちゃんと結婚には至っていない。

 

 この切り返しには副産物があった。おじいちゃんの中の怠惰さや適当さを抑えるという効能だ。おじいちゃんのこれは、工期に迫られていなくても木の隙間にコーキングを打つような類のものだ。この手記でそのような行為を愚行として挙げたが、おじいちゃんはやり兼ねない人間なのだ。しかし、細かく神経質で厳しい状態にあるとそれは自分の怠惰さ等に向き、それに枷を嵌められるのだな。

 副産物だけでなく副作用もあった。この状態を長い期間や困難な環境で維持し続けると、溢れ出して外部に漏れてしまう。他人様にもそうだしおばあちゃんにも、適当な施工品質で良しとかしているとイライラする。間違っていたり自分とは全く違うが断定している等々の理論を繰り広げたりされてもイライラする。よって、玄人だろうが素人だろうが、もう他人様の本音本性かカッコ付けか分からないような内容のブログは一切読む気が無くなった。もし読むならまだまだ無知な銃や狩猟か、ワンちゃんネコちゃん物にして癒されよう。

 

 そんな中で、張り詰めていた漆施工の結末の余波で枷が外れた。途端に巷の施主施工者平均よりも劣ると思われる適当施工を実施。憧れたような人物には一切近づかないようだし、この歳ではまだまだ悟りを開けそうに無い。ニンジンにしていた猟銃と狩猟の資格期限が見えて来て、きょうこはそろそろお年頃。屋根の上で冬風に耐えながら、早る気持ちと休む気持ちとの狭間に揺れていたおじいちゃんでした。

 

無根気の影響

 瓦屋根取り合い部の板金さえ出来てしまえば雨仕舞は簡単だ。安物防水紙を巻いてタッカー止め。チムニートップだけだとビニール養生でもそうは吹き飛ばされない。暗雲襲来の中、急いで終了。

 このアスファルトルーフィングと板金との重ね代は、全方位では無かったかもしれんが10cm未満。10cm~15cmぐらいあると安心としていたが、例のケチケチ発注で銅板立ち上がり寸法が取れず。仕事でやると不良施工。銅板材費不足を理由にしても責任を問われるわな。

f:id:kaokudensyou:20170117204941j:plain

 

 しかし、施主施工だからケチ施工とは言えない。少なくともお父さんの施主施工の場合はどちらかと言うと過剰施工。今までの感じだと15cm以上にし兼ねない。材不足を予算の理由にするのは、根気が回復し切らないからだと自覚している。別にいいや、という気持ちが起こっているのだ。チムニーに関しては一貫してこの心理状況下で施工している。そんな時はいっその事手を止めた方が良い、本来面倒臭がりで適当な所は思いっきり適当なお父さん。だが、屋根に穴を開けてしまっているのでそうもいかず。

 

 暗雲襲来の後、降雨。そこで手を動かすのは、煙突支持金物の製作。

 施工より一年前。この部材は、他の煙突部材発注時に購入するかどうかを暫く迷っていた。これに限らずだが煙突部材はとにかく高い。製品に対して高い安いを金額だけで論じるのは間違いだ。割が高いか安いかだ。そしてこの支持金物、一つ凡そ一万円。三つ必要なので三万円。高いんじゃないのか。お父さんが発注した時期の少し前に部材価格の値上げがあった、と販売業者。当初の見立てよりも見積額が高くなってしまっていた事もあり、自作する事にしたのだ。

 

 よって、材料である鉄材も一年前に2,265円にて購入済。やはり一年前に買っておいた耐熱スプレーは1,177円。それをすっかり忘れて新たに買ってしまった耐熱スプレー、807円。ハンダを買いに行ったホームセンターにて見た、耐熱じゃないスプレーが203円。支持金物はそれほど高熱にならないのではないか、高価な耐熱スプレーは勿体ない、薪ストーブ本体等で使えば良いんじゃないか。と考えてそれも購入。こう書くと思うが、一体何をやっているんだか。その他細かい部材や機材消耗の費用は除き、耐熱スプレーが無駄になる可能性を含むと総額4,452円。という事で、お父さんの日給を考えるとせめて1人工にて完成したい。

f:id:kaokudensyou:20170117204958j:plain

 

 そういう目論見は悉く外れる。軽トラクレーン架台の製作以来の久しぶりな溶接。溶接の勝手が多少分かって終えた、という事は覚えていてもそれはどうやるのかという肝要な所を忘れてしまっていた。ここで時間を喰う。分厚い鉄にドリル錐が数本へたる。ここでも時間を喰う。

 結果、2人工弱。日給1.2万円強。またもやアルバイトで稼げる程度。お父さんの仕事はアルバイト並み。これはお金の話だけではない。

 

 ちなみに、この手記はブログとして公開しているが、一番多く検索されている内容は軽トラクレーン架台なのだ。施主施工の事でも無ければ、自然素材建材でも無いし、伝統構法家屋の事でも無い。公開している理由は、それらの事で何か役立てばと思っての事なのにそちらは僅かで、派生的内容が多数。しかも、お父さんの自作クレーン架台を真似されて、知る由が無い所であっても事故を起こされると夢見が悪い、として製作方法等は意図して載せていない。なのに、それがこの手記での一番の関心事とは却って居心地悪いのだ。

 

 さて、支持金物においてもお父さんの素人溶接を信用していない。軽トラクレーン架台と同様で、そちらはボルトを副次的、もしやボルトが主で溶接が副での接合としている。支持金物でもビスを併用している。クレーンと違い、煙突総荷重は知れている事。万が一が起こっても薪ストーブに荷重が掛かるしチムニーや二階床がある事で、直ちに落下したりましてや倒れたりはして来ないはず。よって、ビス。

f:id:kaokudensyou:20170117205005j:plain

 

 しかしだ。アルバイトの給料ぽっちで本職溶接製品が買えてしまう。本職塗装製品が買えてしまう。さらに、製品の方は煙突作業がし易いように諸々加工されている。お父さん製は煙突固定位置も判明している為に、他の部材取付用の穴も固定位置に一つだけ。よって、応用が利かない。いざ煙突設置時、この穴が合わないもんだから、現場調整加工を要す。さらに、煙突位置が予定より1cmズレるというお粗末さ。根気が無くなると兎にも角にも手を抜きがち。

 結果、煙突を下から見上げると、チムニートップ部材である円筒部に対して煙突が偏っている。この隙間の大きさ具合から、これが正しく設置されていても隙間はいずれにしても出来るように見える。そういう仕様なのかな。もしそうだとしても、これは間違いなく思う。自作品はアルバイト並み品質、製品の支持金物は高額だが割安だったと。

f:id:kaokudensyou:20170117205036j:plain 拡大→f:id:kaokudensyou:20170117205028j:plain

 

ハンダを舐めたら火傷した

 さて、届いた「リン脱酸銅板0.4㎜」。略して「銅板」。開梱、まぁキレイ。10円玉にサンポールを付けたCMを思い出す、二人は知らんだろうが。

 これをチョキチョキしてカンコンカンコンしての部材作り。これで午前中一杯。時間を要し過ぎ。この時点で、予定の1人工で終わら無さそうな予感一杯。

f:id:kaokudensyou:20170112202540j:plain f:id:kaokudensyou:20170112202549j:plain

 

 午後からは、屋根上でチョキチョキしてカンコンカンコンしての取付加工作業。写真にある物は「面戸」。屋根に瓦と限らずに水下面へ取付ける、水に対して戸の役割をするような部材、と思ってもらったらよい。この面戸に限らず、銅板の固定は銅釘を使用。その後の施工中の写真は、屋内から見上げて撮った物しか無い。

 それぐらい焦り気味で施工をしていた。銅板が届くまでに準備施工を行っていた。銅板部材の納め方も相当時間を割いて検討していた。しかし、思った以上に難航。当日完成は断念。二日後の雨予報への不安が急上昇した時点でもう夜中。雨養生も断念。そしたら翌日にはもう雨が降りやがる。きぃぃぃぃ。

f:id:kaokudensyou:20170112202558j:plain f:id:kaokudensyou:20170112202609j:plain

 

 工期の見誤り要因は、瓦に対して部材を上手く納める事に難航した、だけではない。

 薪ストーブ施工予算は非常に辛くなっていた。積算時に費用の見立てがあまりに出来ず、と言って甘々にも出来ず。そんなわけでちょっと余裕を付けての予算としていた。しかし、炉台の敷瓦発注時点で予算超過。その上で高価な銅板発注。そこで、雨仕舞が可能と思われるお父さんにとってはギリギリの3枚とした。4枚ならもっと余裕がある事で、もう少し早期かつ美麗施工が出来たとは思う。

 

 辛い部材発注はもしかしたら難易度上げるか、と一応は思っていた。全く予想外だったのはハンダ作業。

 お父さん世代は、小学生時等に10円玉にサンポールだけでなくハンダを使った経験を持つ人は一定数おられるのではなかろうか。ハンダとは、主流種は鉛と錫が線状になっているもの。これを熱で溶かして金属同志を引っ付ける。電子基板とかで見るやつだな。

 使った直近はテーブルソーの丸鋸改造による配線でだが、その一つ前の直近だと中学生の時だ。これで合鍵を作った事があったり、身近な加工可能金属品だった。大人になってから、ある社屋の新築現場にて実験室の薬水槽の防水層として銅板敷設工程があり、その銅板を繋げるのに行われたハンダ作業が見た直近だ。ハンダに対してただただ広大な面積だったから大変な人力作業ながら、特殊な技術等を要するようには見えなかった。

 

 部材がギリギリ、かつ瓦という歪な形状に金属板を取り付ける。その為には銅板を複雑に加工。これが紙であっても一枚物では非切断にては出来ず。ましてや金属板。切ったり接いだりしてその箇所へのハンダは必須。

 最新施工法では違うかもしれないが、銅製樋の接ぎ部にはハンダだったようで、この家のそれにも使われている。しかし、樋と違ってこのチムニー雨仕舞でのハンダは、それがしくじっているとそのまま屋内雨漏りだ。

 

 でも所詮はハンダ、お父さんも知らない人間ではない。と思っていたが大間違い。事前の想いと全く違って、全く引っ付いてくれない。木工ボンド等の接着剤は論に値せず、引っ付かない度で言うと溶接よりも困難。これらを説明するとこれまた膨大文量なのでいつも通り省略。甘く見るなよ、とだけ書いておく。

 

 兎にも角にも、銅板が引っ付いても「イモハンダ」ばかりになる。イモハンダとは失敗ハンダの事だ。要因は熱不足と熱過剰とがあるそうで、お父さんは前者。それが分かってもなかなか打開が出来ない。ハンダは諦めてロウ付けを試みるがそれも不調。結果、銅板に乗せたハンダをバーナーであぶって定着させた。その結果、今度はきっと熱過剰。雨仕舞目的なのでもうこれで良しとした。と言うか、良しとするしか無い。失敗を繰り返し、ハンダやロウ付け材を買いに走ったり、ハンダ作業だけで1人工以上も費やしてしまった。コツが掴める前に施工終了。

f:id:kaokudensyou:20170112202617j:plain

 

 イモハンダの問題は、屋根材面として強度の劣りだろうか。よって、煙突掃除時には板金部を踏まないようにして欲しい。もし踏んだりした際は、チムニー付近とその水下側天井の雨漏り監視が必要かもしれない。いや、踏まなくても頭の片隅には置いておくように。ちなみに現在の所は異常なしで雨仕舞成功、現在の所は。