家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

1.85m精密射撃

 床板施工前にすべき事をやってみよう。まずは、奥玄関上框廻りの穴塞ぎ。見えない所は塞がれていない。

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 もしかして通気の為なのかもしれないが、大玄関の同様の箇所にゴキが逃げ込む事度々。逃げて行って二度と戻って来ないなら開けておいて良い。だが、決してそんな事は無く、きっと襲撃路にもなっているはず。よって、問答無用で塞いでおく。

 さらに、問題の奥玄関上框の取り外しに再挑戦してみる。

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 当該箇所の床板施工においての肝の一つに、この上框に床板を隙間無く嵌め込む事だと思っている。隙間があると不細工だからだ。西側から貼って来て、ゴールの東側のこの上框にピタッと付かせる。あぁ、とても気が重い。なので、この上框が取れさえすれば諸々難易度が下がる。

 数年前にこの作業を試みた。踏石移動と奥玄関解体の際だ。その時よりは知見と経験は多少増えた。改めて現況を把握し、取り外す可能性を探ってみるのだ。

 で、結果は空振り。当時には行わなかった事を含め、あれやこれやしてみるが外せそうにない。もう根本的な周辺解体を要するのかもしれない。それは流石にやってられない。いっその事、柱から切断してやろうか。そんな事も過ったが、後悔しそうな雰囲気満々だったので断念。

 

 薄っすら埃が被った当該箇所用の漆杉板を、きょうこに手伝ってもらって下ろしてくる。そして、仮並べ。あぁ、やだなぁ。嫌なんだなぁ。

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 最初の一枚を馬に乗せる。養生をする。ケガく。漆仕上げの為、先行して材選定と寸法切りをしている。失敗すると材が使用不可になる可能性が非常に高くなり、無地材への漆塗りが発生するかもしれない。最悪の場合は埋め木から、もっと最悪の場合は刻苧埋めからやり直し。それらが刃入れを躊躇わせるが、意を決して鋸を一引きすると手が動き出す。

 

 ここまで来るともうやるだけ。工夫が必要な箇所等がありつつも、次々と張り進める。途中途中に基準線による位置寸法を確認しながら、時にはきょうこに板上から手伝ってもらって板下に潜りながらも、思いの外順調。そして、当該箇所の一番最後、奥玄関上框との取合い板近辺に到達。

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 考える。まず、この最後の板を加工した上、南側敷居、東側上框、北側トイレ柱に差し込む。奥玄関から見て手前三枚目と二枚目を後入れとして、それらと手前四枚目と最後一枚目板との間に押し嵌める。その後、南側敷居下に床下から叩き入れる。真上からそのまま入れる事になるので、既存寸法から北側雑巾摺に隠れる程度の隙間となる程度に少し短く切断する。

 

 この作戦の為、手前三枚目と二枚目の裏側に、叩き入れる際のバールを引っ掻ける溝を掘っておく。無塗装床板残短材にて仮嵌め実験も行う。この加減から、1㎜の余裕を持って最後の一枚を加工。当然の勿論の当たり前、採寸しまくった。

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 いざ本番。最後の一枚と奥玄関上框とは隙間なく、角度も良し。大成功の予感。そこから、手前三枚目と二枚目を押し嵌める。

 すると、何かがおかしい。これらの板同士、そして取り合う四枚目と最後の一枚との隙間が何故か大きい。板張り開始位置から最後まで凡そ1.85m。精密射撃とは言えこんな近距離なのに見事に外した。あぁ、愕然、そして脱力。