家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

「資格」より「人」

 ちなみにこの新柱の材、今までの既存や新規購入した杉材とは様相が違う。木目が違うし、表面も違う。鉋掛けの感じも違う。

 木目に関しては、もしかして「杢目」というものじゃなかろうか。他に「板目」や「柾目」と言うものがある。竿縁天井板には「杢目」材が多かったが、その他の今まで扱った既存材や新規材共に大体は「板目」か「柾目」。「杢目」は模様の様で面白い表情だ。「杢目」か否かはさて置いても、こんなのが大壁で隠れる材に使われていたとは勿体ない。

 表面に関しては、しっとりと言うのか艶っぽいと言うのか。

 鉋掛けの感じに関しては、引っかかりが多かった。仕上にと白紙鋼名匠鉋を掛けると、白身が部分的に剥がれてしまった。青紙鋼普通鉋の方が却って綺麗に削られる。油分を多い材は刃物が引っ掛かる、という記述を読んだ事がある。

 これら総合してもこの材は杉なのだろうか。この柱は勉強フリースペースに建つ。よく目につく箇所になるだろうから、良かったらまじまじ観察してみて頂戴。

 

 さぁ、柱を入れる前に梁を上げてみる。前回はこれに車のジャッキを用いて破壊。その反省を踏まえつつ、送料の問題でついで買いした豆ジャッキを使用。お蔭で梁は上がる。しかし、周囲がミシミシなったので程々に。

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 新柱は小梁がある箇所に建てる。この小梁の荷重を受ける為、新柱の直下に当たる箇所に束材を入れる。この束材を支持するのは、薪ストーブ上方に当たる梁。その梁を支持するのは、と実際に見てもらえれば分かる通り柱複数。それら柱は束石に載っている。これで屋根荷重経路は直接的に地面へ繋がった、はず。

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 柱先の曲がり梁と柱元の小梁にホゾ穴を施し、新柱もホゾを刻む。このホゾにしても、今まで、そして今後建てるの既存梁直下への追加柱のホゾは、長さが3cm~4cm。構造上、本当はもう少し長くしたい所。ホゾと穴のキツキツ優先の為、ここらが限界っぽい。新柱先を支点にして例の如く回転スライドにて入れる方法の為、という事も理由。

 ここまでで1.5人工程。予想外の大工工事に道具類大移動の手間、総じて凡そ1時間はこれに含む。あぁ、手間取った。

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 豆ジャッキを外すと梁と新柱先の隙間が縮まった。やはり梁下がりはあったんじゃなかろうか。

 この家のある施工について、古民家先輩のご友人からご意見を受けた事がある。その方は建築関係ではないものの多少は現場をご存知の方で、心配して下さっての言だった。そのような方がおられる一方、所謂「専門家」と呼ばれるような建築士は無責任な発言をするんだから、世の中何だかおかしいわ。

 資格や肩書や学歴を崇める人がいる。法令は絶対だと言う人がいる。平和が長く続き過ぎているからなのか国民性なのか分からんが、二人はそのような思考停止人間にならないようにな。