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家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

お父さん、筋交に悩む

施工:母屋解体

2階の造作材(敷居など表面に見える材)、羽柄材(造作材の下地や構造材の補助材)を粛々と外していく。そして、構造材(その名の通り、建物の構造に寄与する材)と思われる筋交の順番に。そう、伝統構法であるこの家の2階には筋交が入っている。

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 筋交とは斜めに入っている材。軸組工法において、柱や梁などを斜め連結させる事で横方向の力である地震力に対抗させる構造材だ。昔から櫓や小屋などに使われていた。現代の在来工法では必須の構造材だ。

 片や同じ軸組工法でも伝統構法の建物では、使ってはいけない構造材との事。また、櫓や小屋など、建物荷重をひょろひょろ柱などで支える構築物には必要だが、柱間に土壁を設けるような構築物にはそもそも必要がない。
 筋交を使ってはいけないとは、斜め材であるが故に横揺れ力が縦の突き上げ力に変換されてしまうから。
 力学モーメントやらの物理や構造学のお話なので詳細解説は置いておくが、そういうものと理解してくれれば良い(気になるならば、割り箸で模してくれても理解が出来る)。連結部が緩やかな伝統構法に、この突き上げ力が加わると柱と梁が外れてしまうかもしれないらしい。かえって建物倒壊を促す材となるのだ。

 そもそも必要がないとは、伝統構法においては他に地震力に対応するものが三重にあるから。
 柱や束柱を礎石に乗せるだけにして設置する事で、まずは地震力を直接受けないようにする免震構造。また、揺れを太い柱と太い梁を仕口により組む事で結合部をガチガチにせず、地震の揺れに対して建物もある程度揺れ動かして抗わない事でその力を減らす減振構造。さらには、土壁の中の貫材と木舞、そして土自体を崩れさせる事によって吸収させる吸振構造。


 筋交の突き上げ力による結合部破壊については在来工法でも同じ。なので同工法では、柱と梁の連結部は金物で緊結させて突き上げ力に対抗する。在来工法は細い木材で組む為の工法が故、そもそも柱と梁の連結部に仕口による柔軟さを得る余裕がない。細い材が故にしならせられる限界値も小さい。なので、伝統構法と違い、柱と梁の連結部を金物で固める事が構造上の矛盾を産まないので、横方向の力に対抗する筋交が有効。建物をガチガチに固めて倒壊させない重要な構造材となる。その代りに家屋内の人や物は大いに揺られ、倒壊家具による圧死が結構多いそうだ。

 と、お父さんは理解している。


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