家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

うねった精神を施工で矯正

 上水管が設置出来るまでには造る。そうなると、食洗機設置棚周辺の他施工も必要となる。すぐさま本命に取り掛かられない。なので、非常に億劫だったのだがもうヤルと決めた。

 

 まずヤル事は、食品庫の壁の造作。食洗機をやるのに食品庫。そうでないと、重量物の食洗機を支持する事が出来ない設計なのだ。

 最初に入れるのは間柱。解体材の使用だが、これがまたうねっている。反っているのではない、うねっている。これを矯正しながら入れる面倒臭さと言ったらもう。方法としては、まずは上を仮固定し、比較的真っすぐな胴縁材を取付、それに間柱をクランプ圧着させてビス固定。この方法を思い浮かぶまでの試行錯誤に1時間強、作業に3時間強。

 その前に、間柱位置が決まらなかった。鴨居と敷居の出の差が大きいから。鴨居に合わせて間柱を付けると敷居からはみ出す。逆にすると鴨居から引っ込み過ぎる。散々右往左往してようやく、雑巾摺を入れるから敷居からのはみ出しは隠れるじゃないか、と思い至るまでに1時間。

f:id:kaokudensyou:20180412202631j:plain←敷居ギリギリにしても

f:id:kaokudensyou:20180412202623j:plain←鴨居から引っ込み過ぎ

 

 さらにその前に、食洗機棚の造作方法の検討や、材の選定、及び加工等々もある。このちょっとした壁の骨組みだけでそれなりの時間を要す。

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 棚を直接支持する材であり、上下水管設置に必要な本命箇所の施工は早い。イモ接ぎビス留めで呆気なし。

 次、棚上方の作業である電線管施工も、この勢いでやっておく。キッチン前面部照明用並びに同中央部照明用の固定、及び食品庫照明用新設。

 前者二管は左官施工前に敷設していた管を固定もするのだが、前面部用は床下に誘導固定するだけ。中央部は、天井裏で垂れ下がっていただけの状態をサドルバンドで梁に固定。その上で、床下誘導固定。大した作業では無い。

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 後者の食品庫用は、天井板に通線して天井裏を通って床下誘導。

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 文章で書けば簡単。いや、作業難易度も全然高くない。ただ、面倒なだけ。天井板を補強する為の裏板として、捨て床張り板を加工と微調整をして固定。これに1時間弱。外していた当該天井板を嵌め直すわけだが、既存状態でハナから寸法不足。天井裏が少し見える状態だった。何とか誤魔化そうともがくも不格好のまま。

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 よって、ちょっとだけ天井板を製作。こんな地味で達成感の無い作業で2時間弱。だからやっぱり面倒なのよ。

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 気乗りがしない点でもう一つ書くなら、各所のちゃんとした仕様が未定というのもあるかな。特に電線管が思いっきり露出。食品庫内と言えどもこれはどうか、と宿題。

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 兎に角これらにより、前出のトラップ付き下水管と共に上水管の敷設が完了。上下水管の床板貫通位置が何だかイマイチに見えるかもしれないが、それは根太を避けた結果の精一杯状態。総じた人工数はもう分かんない。

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施主施工ロボット求む。

 突然ながら、お父さんの幼き時に思っていた未来の話。

 今から8年前か17年前かには、人類は有人宇宙船で木星とかの惑星探査に出掛けていたはず。2018年の現在、数十年前と変わらず未だ最遠記録は月面とされている。空中に透明チューブの高速道路があって、その中を反重力か何かで空飛ぶ車が行き交っているはず。しかし、数十年前と変わらずコンクリートと鋼鉄製の連続した橋脚の上表面を、ゴム製タイヤが接地して車が走っている。眼中に無かった腕時計型の通信機器は、近年ようやく実現した状態。

 

 科学技術の発展速度は遅いのか。未来が分からない時は過去を見る。

 ギザギザが付いた板とタライでゴシゴシしていた洗濯作業が、スイッチポンで乾燥まで終わるようになった。最近、衣類を畳む事も出来る機械も登場。固定された機器の前に赴き、穴が複数開いた丸い板を廻していた電信通話が、小さな機器さえ近くにあれば発声しただけで通話可能。何なら照明点消灯や情報取得等々も出来るらしい。千切って濡らした新聞紙を床にバラまいて箒で掃いていた床上チリ掃除は、帰宅したら勝手に終わらせている機械があったり。

 うん、発展している。人間の想像力がそれを上回っていただけだ。さて、お父さんの想像力はと言うと、多分、平凡。数十年後の住生活はどうなっているのだろう。分からないから考えない、というのは人間として平凡以下。

 

 という事でその思考の一環、食器洗浄機を据置型にした。この型、国内メーカーは撤退が続き、どうやら今では一社だけのようだ。

 確かに分かる。この機械は大きい。日本の台所は小さい。置き場所に制約があるんだな。メーカーもそれを踏まえたのだろう。洗浄容量能力も制約。茶碗やコップは問題無いが、ちょっとした調理器具は困難になってしまう。

 恐らくそういう事からも、食洗機の主流はシステムキッチン内蔵型。引き出しを開ければ食洗機。使い勝手も良さそうだが、容量もかなり大きい物がある。調理器具もどんと来いだろうか。それを知るだけに据置型は物足りなさがある。

 

 では、何故に据置型にしたのか。それは主として電化製品=買い替えを踏まえたから。

 具体的に言うと、内蔵型はシステムキッチンとのセット販売のように思われて、再導入の際は選択肢が限定されそう。さらに、仕様が変わって取り換え出来ません、とかを我らが日本メーカーならやり兼ねない。諦めてそこにガラクタを入れたままにするのか、システムキッチン全体をやり換えるのか。最悪の場合はそんな感じか。

 

 楽観的に考えれば、食洗機普及率が高まると、取り換え容易な後付け内蔵型を造る他社メーカーが現れたりするんじゃないか、と。どんなシステムキッチンにでも対応可、みたいな。

 でも、そうなるかは分からない。よって、間違いない据置型としたんだな。そもそも、この様な家にシステムキッチンはそぐわないから内蔵型は一切検討も調査もしていない。もしかしたら全て解決するような物があったのかもしれんけど。実際、天板の下に入れる外国製の後付型があるらしい。食洗機の価値を知らなかった当時、価格をチラ見して即座に検討中止。国内メーカー製による価値は知った今も、同様の事をしそうな程に高価。

 

 そういう訳で、据置型用に設置棚を造作する計画となった。ただ、これも将来は不要な物になるかもしれない。今年中に調理ロボットが登場予定。数十年後には、軽自動車並み価格の家事ロボットが食器を洗ってくれるかもしれない。その時は、少し改造すれば普通の棚として使えるように踏まえておく。その改造も家事ロボットがやってくれるかも。早く誕生して欲しいなぁ。

 

急ブレーキでスリップ

 一階小便器設置部の浮かし壁とEPS。これらの造作と並行させながら上下水管施工を完了とし、次に電線管施工を行っていた。ただ、上下水管と電線管との間にて気付いた事がある。ある箇所の造作を行わないと漏水試験が出来ない事に気が付き、電線管施工をしながら迷っていた。でも、覚悟を決めた。

 

 どこの施工でもどうせやらないといけない、なのに覚悟とは何ぞや。そう思うかもしれない。全くその通り。だけど、やらないといけないと分かっていても腰が重い、って事あるだろ。「やろうと思っていたのに、言われたらヤル気なくした」という弱い心情、お父さんは今でも共感する。だが、親になったのでそれでもヤレとは言うが。ヤレヤレ。

  しかし、やらないでおこうと思っていた事をやる、というのは腰どころか全身重くなる。今回の場合は食器洗浄機、略して食洗機の設置棚の造作工事。この施工は、下手すれば二期工事か三期工事でしようかと思っていたりもした。食洗機設置棚とその周囲となる食品庫は、通常生活を送るのに必須とまでは言えない。だからいっその事、思いっきり後回し、四期工事にでもしてしまおうか、そう思ったのだ。実際、下水管は食洗機手前で中断させていた。

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 お父さんは何を考えていたのだろう。いや、うっかりしていた。ここの上水管もちゃんとやらんと、いつまで経っても水道が使えないじゃないの。我ながら驚く程に抜けていた。後回しに出来ない事を理解した。気持ちがつんのめった。急ブレーキでスピンさせて操舵不能な感じ。

 嫌だなぁ、嫌だなぁ、嫌だなぁ。途中までの上水管にキャップで閉じたら後回しに出来るようなぁ。でも、わざわざそれもアホらしいなぁ。あぁぁぁ、すっごい面倒だなぁ。けど、やるかぁ。

 

羽目板 嵌めまくり

 この写真は何の部材か。これまでの話の流れを踏まえて分かるようだと、お父さんより施工か設計センスがあるんじゃないか。

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 電気設備設置用ニッチを造作した事で、必然的に覚悟が出来た造作工事がEPS。腰が重い施工の一つだったが、勢いが止まらない内に進めるべし。しかし、これの何に躊躇していたのか。

 当該箇所の壁は相じゃくり接ぎによる羽目板とは決めていた。西側と南側の取合壁には羽目板の一方を受ける材は取付済。しかし、もう一方を受ける部材は、現況は空中である箇所に設置され、直角二方から来る羽目板を受ける必要がある。用途と場所と意匠からして柱ぐらい太い材では無く、強度は持ちながら細目の材でこれを造りたい。だが、それをどう造るかまとまらなかった事、それに木材の購入が伴う事が停滞していた要因。

f:id:kaokudensyou:20180415175601j:plain←底板だけ付けた状態

 

 3DCADの前でああでもないこうでもない、と悩む事数日でようやく決定。他の発注分がない時期の為、この細い材一本の為だけに製材所に発注する。気使いお父さんはそんな事が出来ない件は、元天井廻縁の解体材から出来る案が創れたのでクリア。停滞要因が払拭出来たので、後はいつも通りの施工自体への腰の重さ問題だけ。だが、これも先述通りに然程重くなく、出来上がったのが前出の写真の部材。

 当該支持の材加工、そして設置と調整までに半人工程要す。何も無かった懸案箇所に材が付くと、施工が進んだ実感を得られて精神衛生に良い。

 

 続いて羽目板加工。

 材は当然ながらの床捨て板。この板、今まで度々使ってきた。しかし、今回のようなガッツリ化粧材として使うのは初めて。出来るだけ綺麗に外して欲しいとお願いしたら、予想を上回る綺麗さで実施してくれた探検さんにこれで面目が立つと思う。

 まず材を水洗いの上、薪ストーブにて乾燥。まだ寒さある日でもすぐ乾いちゃうな。

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 そして、延々加工。自動カンナで多少の綺麗さと多少の均等厚に揃えた上、ソーテーブルにトリマを付けてその刃を通して行く。これに思いの外時間を要して、この加工だけで3人工弱程。機械等の不快な高音に対してイヤーマフを付け、漏水試験までの遠さを感じる長時間。

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 仕込みに時間が掛かるのは毎度の事ながらこの加工では、ついでにキッチンカウンター下の背板も造ったのでこの人工数。この背板を入れる事で、キッチン給水の元水栓取付が出来る事からだ。

 ちなみにこの背板は、カウンター支持材かつ仕切板と同様に古色塗装をするつもりだった。だが、全く見えなくなるし塗装保護も必要なさそう、と省略して1人工弱で取付。

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 話を戻してEPSの羽目板。仮並べしてみる。受け材加工を行いながら仮嵌めしてみる。

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 いける、となって古色塗装の上で嵌めて終わり、とは行かず。微調整やら再加工やらを含めて1人工。地味な造作箇所だが重要設備箇所。電気工事が終われば羽目板を全部入れるぞい。

 これを経て前出の、トイレ内の手洗台水栓の元栓、並びに件のゴムパッキン等の排水部材取付が完了。

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土壁仕上げにニッチ

 施工に話を戻すと電気管工事は落ち着いた。この次にしたい事、先の上水管施工にての漏水試験。ちゃんとしてれば上水管施工は簡単、と言えどもミスはある。お父さん、自信は有っても過信は無い。施工、だけではないがミスなんて山ほどある。接着剤がちゃんと塗れていなくて、何てことは大いにあり得る。保温材を巻いてから漏水していた、なんて面倒で嫌だ。という事で保温材は仮巻状態。

 

 だが、こうなると別の面倒がある。上水管を完成させないといけない。完成させるというのは、給水先と給水元を全て接続させるという事。

 なので、トイレ小便器を設置する浮かし壁の骨組造作、並びに東側の土壁の腰見切板の取付は行っていた。これをしないと、下水の本管位置が確定出来なかった。そもそも土壁と取り合う壁なので、春の左官祭りの為にはやらんといけない。これはハナから覚悟済。塗装まで入れて1.5人工程だったかな。

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 さらに、同じく行っていたのは、小便器周辺よりそこそこ大変だった電気&パイプスペースの造作。さらにさらに、その前作業として行っていたのはEPSの裏側に当たる箇所のニッチの造作。

 二階への途中までの上下水配管施工において、このニッチがどう絡むか判然としていない。また、先に配管施工を行うとこの造作がやりづらそう。そんなわけで水道屋さんから遠い仕事を引き続き実施。

 

 ニッチとは隙間とか窪みとかの意味だったかな。壁の仕様として日本語で言うならなんだろうなぁ。伝統的建造物であったような気がするんだよなぁ。分からないので、そぐわない感じだけどこのままニッチと称しておこう。

 当箇所は、別に飾り物を置いたりする場所と想定していない。そういう西洋チックなお洒落壁ではない。最たる理由はインターフォン設置の為。

 

 平成時代における主流の当該品は、厚さ数cmレベル。この代物が、LDK及び二階と水回りとを渡る廊下という、この家の太い動線となりそうな箇所に設置されていたらどうか。廊下巾は2m程なので人が当たる事に神経質になる必要はないと思うが、物がガツンと当たる光景は思い浮かぶ。それに見た目はどうか。平面土壁にぽっこり長方形で白いプラスチックが出っ張っている。うん、イマイチ。

 その他にも、同位置付近にスイッチ設置も予定している。ちょっと鍵を置いたり掛けたりするとかもアリかもしれない。これら無粋な物を包み込んでくれる事を期待しニッチを造作する設計。ちなみに、固定電話も置く予定だったが平成時代にもういいんじゃないか、となった。

 

 場所柄も用途柄も完全に意匠造作。そんなわけで解体材から意匠材を採掘。だがしかし、思いの外無い。残っていて確実に使えるのはもうデカ物ぐらい。後々の事を考えると、この時点で切除使用はまだ怖い。

 背板とする天井板は良い。枠板には、節が無く傷は少ないが、嫌なシミが付いている元床板で手を打つ。設計時、これはいつもの古色塗装仕上。まぁ、古色塗布ならシミは分からんようになるだろうとの判断。

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 しかし、設置予定箇所に先行して貼った石膏ボードを眺めていると、どうしても引っ掛かってしまう。石膏ボードの表面色は土壁と同系で想像し易いからだな。

 枠である柱や付鴨居や雑巾摺は何ら問題無い。ただ、面の中に暗濃色の古色ってどうなんだろう。しかも、そこに例の白系インターフォンが入ると浮きそうな予感。何か違う気がする。雑巾拭きしても取れないそのシミ。鉋で少々削っても同じ。と悩んだ挙句、薬品使用をして、それでも取れない場合は見えづらいような造作をしようと。

 

 薬品とは、階段踊り場束用の原木に使用しただけで大量に余っている木材漂白剤。説明書での濃い目濃度にて塗布。すると泡が出る。期待も出る。だが残念、薄まったもののちゃんと分かるシミ。時間が経てばさらに白くなると書いていたが、期待はもう無い。再び少し迷うも、決定通りこのまま白木にて造る。

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 白木はやはり緊張するわぁ。古色頼りの気楽さを再認識。よって、角をイモにする逃げ腰具合。お父さんの身長からパッと見るとシミが分からない。屈めば分かるけどもうこれでいいです。

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 設置後に亜麻仁油を塗って完成。材料採掘や薬品塗布も含んで半人工程かな。

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