家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

転進決定

 さて、伝統的な漆喰施工については悩む日々はまだまだ続く。新建材下地を味わってしまうと、ただの苦行にしか思えない。

 

 半間壁一枚を施工し終えるのに凡そ4時間強を要している。塗付所要時間は、相変わらず10分強。時間が掛かっても20分程か。砂漆喰と上塗り二回で凡そ40分強から1時間弱だろうか。なのに、何故に4時間強なのかと言うと、塗付だけじゃないからだ。

 まずは壁のチリ掃除から始まり、水湿し、「砂漆喰塗付」、面直し、チリ掃除、水引きを見計らって「上塗一回目」、「二回目」、チリ掃除、水引きを見計らってこなし、チリ掃除、水引きを見計らって押さえ一回目、二回目、養生テープ撤去。場合によっては、チリ掃除の増減があったりするし、押さえ後の水引きが遅い箇所の追加押さえを要したりもする。水引きを見計らっている間、道具を洗ったりもする。脚立作業や足場の悪さも地味に影響する。

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 当初、水引きを見計らう待ち時間があった事から、二面同時施工を目論んだ。道具の制約がある為、上塗材を扱う前に砂漆喰が付いた道具を洗わないといけないが、この手間が減るからだ。結果はイマイチ。お父さんの技量では、二面目の砂漆喰塗付が終わる頃には、一面目の砂漆喰の水引きは結構進んでしまっている。それを横目で見ながら焦りまくって気持ちがしんどい。施工も荒くなる。

 よって、もっと時間がある上塗り塗付後に二面目の砂漆喰施工に入る事にする。これだと水引き問題には当たらなかったが、手間の節約にはならず、常に動きっぱなし。昼食時間を失う。りょうすけの幼稚園の送迎タイミングもネックになる。

 

 そう、りょうすけの幼稚園送迎係と漆喰左官係との兼任のお父さんにとって、これは頭をもたげる問題。行きは世間からしても遅く、帰りはやはり世間からしても遅く、漆喰施工の合間になってしまうタイミング。ただでさえ漆喰施工は気が張る上、常に時計と睨めっこ。これを二面同時施工しようものなら、その日はヘロヘロ。その割に出来はイマイチ。

 一人親方左官本職は一体どうされているんだろう。応援を必ず呼ぶのだろうか。若しくは、自身の技量でスイスイ施工を進められるのだろうか。

 

 試行錯誤が続く中、梅雨突入と気象庁は言っているが、雨が降らないどころか過乾燥の日々到来。塗っている傍から水引きに追われるようになってくる。狭い壁以外での二面同時施工が不可能となる。

 七月。未だ梅雨だと言い張る気象庁を、気象予報士は弁護しつつも実質梅雨明けしていると吐露する気候。室内温度20度台半ば、湿度は50%辺り。狭い壁でさえ二面同時施工が厳しくなってくる。ちょっと用事が入ると、その日は漆喰施工は中止。気が漆喰にどっぷり向いているので、合間に他作業をする気が起らず、施工自体を休みとしてしまう。

 

 そして、30℃近くになる頃、一面施工でも施工難易度が急上昇。具体的には、水引きが早い所と遅い所の差がより激しくなり、これを上手く調整出来ないお父さんにとっては四苦八苦。5分後程度には材の様子は変化していたりもする。気が抜けない。りょうすけを送り出し、遅い朝食と言えるぐらいの時間帯に昼食摂取。その後、ぶっ通しで漆喰施工。押さえ工程で落ち着いた頃にりょうすけを迎えに行くように時間調整。休日施工であっても、家族の昼食等のタイミングによりやはり慌ただしい。

 

 最終施工品質に決定的に関わる気候要因から、ようやく中断する腹が決った。

 そもそも漆喰工程をここに持ってきたのは、薪ストーブを五月頃の設置を目指した為だった。それが叶わなかった事で今更優先する必要性が無く、中断したくないだけで継続してきた。だが、このまま薪ストーブ背面の漆喰塗りはマズい。新建材下地と言えども最大面積壁であり、かつリビングの顔になりそうな壁。これがイマイチな出来だと格好が悪すぎる。

 四月下旬に着手して七月中旬まで掛かっても、キッチンは完了ながらも今回の漆喰施工自体は未完が口惜しい。

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