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家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

初めて思い浮かんだ漆喰の実用性

施工:母屋土壁 建材:土壁 設計・施工・伝統構法

 漆喰の歴史的お墨付き建材として地位説明に乗じて気管に絡んだ唾を吐く内容になってしまったが、採用理由をちゃんと書いていなかったな。

 

 まず見た目。古色柱梁に囲まれた白い壁。コントラスト。これ。個人の好みの問題だ。繊維仕上げにしなかったのは同じく好みの問題もある。これにもどうとか難癖付ける人間がいるがアホちゃうか。おっと、まだ吐き足りなかったようだ。

 ただ、もっと正確に言うと色付壁から逃げた。無難さを求めたとも言う。世には白壁家屋が多い。白色ビニール壁が安いという事もあると思うが、そもそもそれが安いのは需要が多い事によると思う。単色ならば赤でも同価格になっていたかもしれない。元々、漆喰の白色に馴染みがあったから、という事もあるかもしれないが、無難さにより白色の需要が高かったのではなかろうか。安いし無難だし白、と。

 もしお父さんが赤色と古色のコントラスト壁を所望したならば、左官仕上げの施主施工は腰が引けただろう。色ムラを出さずに漆喰に着色して塗る自信は皆無だから。

 

 もう一つは土壁保護。これは大きい。

 土壁が避けられる理由。左官費用の節約だけでは無いと思う。土壁は接触すると削れた砂がこぼれ易い。お父さんが思うに、これは大きな需要低迷要因だ。事実、幼少期に住んでいた狭い家は繊維壁だったが、雑巾摺辺りに何かしら砂のような物がよく落ちていた。いや、落としてしまっていた。現代でそれを許容する方は多くないと思われる。

 商家に漆喰話は、商人の富や信用性だけではなくこれもあるんじゃないかな。農家等と違いそれなりの商家ともなると、使用人や客人が多数行き交う。壁に接触しやすい。そのままにすると見た目が良くない。常々修繕。やってられない。土壁より硬い漆喰がマシだ、とか。

 

 そう思うに至ったのは幼少期の家屋からだけでは無い。この家を観察して思った次第で、それまでは何も思わなかった。

 まず土蔵。仕上の漆喰が剥がれている所は、下地の土壁がかなり流出。別に防水材でない漆喰は必要ではなく、土蔵に必須の防火性なり調湿性なら土壁自体が機能するはず。なのに何故、全国的に土蔵は漆喰で仕上げられているのか。常識なのかは不勉強なお父さんは知らないが、この家の土蔵を見て初めて考え思いつく。壁本体である土が雨で削れていく事を防いでいるのではないか、と。土蔵外壁に限らず、瓦屋根にても家屋外壁にても同様。

 

 さらに、屋内での仕上材違いの不思議について。先述してきた母屋一階の仕上げで悩んでいる時の事。改修仕上材選定の基本となる既存の仕様の違いにまずは悩む。何か法則がありそうでなさそうで。そして出たのが動線と居室用途。

 土壁の使用箇所はまず小壁だ。日常的に人が触れない。この家の場合、傷やら鳥の糞らしきものが付いているが、それは非日常であり故意的なものではない。そして、大玄関や勝手口廻りも普通壁が土壁だが、ここは動線が限定されている通過だけの場所。これまた基本的に人は触れない。小壁は土だが下は漆喰、というのは先述通りおかしいし。

 生活居室の一つである奥の間は、建築様式として一番格上に仕上げる。それもあっての繊維仕上げとなっているかと思うが、これにより日常的に人が触れそうでも土壁は保護される。そして、その他である漆喰使用箇所は、思いっきり人や物が触れそうな居室や収納や廊下にのみ使われている。

 

 以上、使い勝手からも漆喰は良いのではないか、という話。こういう思考の工程を経て至った後に、漆喰使用者へ唾を吐きかけるような論に値せずな内容を目の当たり。だから気が悪いのだ。