家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

漆神の申し子

 漆の特徴やら特性について度々触れてきた。しかし、大きな特徴なのに書いて来なかった事がある。それは、かぶれる事。

 

 お節介さを感じる事がある日本の法令だが、漆かぶれは有名なのにこれを手当てする程の必要性を求められなかったのだろうか。厚生労働省劇物等の指定にしてもおかしくない程、漆はかぶれる。写真で見た物の中には、目も当てられない程のそれはそれは酷いかぶれ様。漆のかぶれで亡くなった方はいないようだが、亡くなるまでにはならなくとも劇物等の指定を受けている物はある。漆業界の事を想うと、このままそっとしておいて欲しいが。

 

 このかぶれの程度、人に依るらしい。中には、全くかぶれない方もおられる。一方で、長らくかぶれなかった本職の方が、ある時を境にかぶれ出した話もあるそうで。慣れてくるという言もあれば、そのように慣れとは別物という言もある。アレルギーと見るならば、ハウスシック症候群のように化学物質許容量の問題なのかもしれない。その許容量は人に依存。元々少ないが故に症状が出る方もいれば、多い方だったのにその限界値に達した事でやはり症状が出る方もいる。

 

 ちなみに、お父さんは過敏体質な方では無かったと思う。小学生の時、バスの排気ガスを何だか良い匂いと思っていた側だ。油性ペンキ、要はシンナー等もそうだな。ただ、そんなお父さんも何だか気になっている事がある。

 お隣さんから頂いたコンパネがある。ガレージに置き、一部は根太のみの場所に敷いたりとかしている。その化学物質てんこ盛りのコンパネから出る匂いが気になるのだ。以前の施主施工も住みながらの施工。その際、仕上げとして多量の油性ペンキを使った。開放はしながらも、何十時間も乾燥中の油性ペンキ空間にて過ごしていた。もしかしてお父さん、その事で許容限界量に近いか到達したのかもしれない。

 ただ、自覚症状は嗅覚以外に無い。昨年夏の目眩で倒れた事も体感温度の激変にしても、歳の所為等で体質変化をしたからかと。花粉症も未だ無し。

 

 漆に対してはどうか。

 漆実験中、内太腿に思いっきり漆を垂らしてしまっていた。それに気が付いたのは作業ズボンを脱いだ数時間後。慌てた。菜種油にすれば良いものの、お父さんは純テレを塗りたくり付いた漆をしごく。でもほぼ取れない。あぁ、これは思いっきり来るぞ。と覚悟していたが来たのはヒリヒリ感。かぶれによるようなものではない。

 どうもそれは、箇所からして純テレによるものっぽい。漆の周囲かつ純テレを塗布した箇所のみであり、漆が付いた箇所はむしろヒリヒリしなかった。このヒリヒリ感は結構なものだった。だが、痒みは一切無いし皮膚もかぶれない。皮膚は弱く無い方だと思っていたが、これ程に影響が無いものなのか。

 

 古民家先輩曰く、漆は毛穴の有る所がかぶれる。よって、掌はかぶれないのだと。事実、古民家先輩邸施工時に付けてしまった掌の漆によりお父さんはかぶれなかった。

 この時同時に言われたのは、自分は漆の神の申し子、神より選ばれし民であると。彼は漆にかぶれないという事を、笑いながらそのひょうきんな表現にておっしゃっていた。彼を「漆教信者」と表現したのはこの事による。ただ、種明かしもしてくれた。抗アレルギー薬を服用されている事、これにより反応が抑えられているのではないかと。

 

 内太腿には毛穴がある。一切の薬を服用していない。そのお父さんこそが真正な漆神の申し子ではないか。これはもう漆教の開祖になるべき宿命なのかもしれない。少なくとも神官の資格を有しているのではないか。ウレタン等を邪教としつつ、世界の漆業界と人々を導かないといけないのか。荷が重いなぁ。

 

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