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家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

漆の工程問題

建材:塗料 設計・施工・伝統構法

 貼ってから塗る方法を採る気にならない理由はまだある。「塗り工程」の問題だ。

 

 漆の硬化条件は温度が25℃以上、湿度に至っては90%以上にもなるとの事。これは各記述によって差はあるようだが、大体が中温多湿環境が必要そうだ。以前にも少し触れたが、日光東照宮の改修工事にて漆が多用されたらしいが、その漆施工方法や硬化方法についての記述は見つけられなかった。こうなると、硬化を実現する方法は梅雨期に頼らざるを得ない。

 

 二人も知る通り、板間が広すぎるのだ。6畳間とかが複数ある、とかなら区切った施工で何とかなると思うがそうではない。さらに、この家の場合は土壁がある。後述もするが、土壁等の吸湿材があると強制加温加湿をする事は容易ではないのだ。よって、折角床板施工は終わっても、居室の使用する為には梅雨期を通ってからじゃないとならなくなってしまう。その他施工への影響は甚大。

 貼ってから塗る施工法を取りたくないのは、こういう工程問題が発生するからだ。

 

 しかし、いずれにしても工程問題は発生する。先に書いた通り、硬化条件は梅雨期というのは変わらない為。何故ならば、対象材が100枚以上ある4m級だからだ。

 漆参考書籍を見て貰えれば分かるが、小物の漆硬化設備として「漆風呂」というものがあるらしい。簡単に言えば、閉じられた箱の中で加温加湿してしまうんだな。玄人の方の中には、これが小さめのユニットバス程のものを備えておられたりするようで、もっと大きなものもあるかもしれない。

 

 しかしのしかし、だ。4mが100枚以上だ。4tトラックの荷台をそこそこ占める体積だ。一体、この家のどこで硬化させると言うのだ。そんなデカイ漆風呂を作ると言うのか。出来れば避けたい。そうなると、梅雨期を狙うしかないと考える。

 

 そもそも工程に縛られる事が嫌なのだ。工期や工程が無い、というのがお父さんの玄人に勝てる唯一の武器。時間よりも質、コーキングよりも無垢材、としてきたのはこれがあったからこそ。

 工程管理とは、現場管理業務の中でも大きく占めるものだ。何百万円、何十万円の価値がある大きな仕事なのだ。施主施工においてこれを排除させられる事は大きなアドヴァンテージがある。これを排除しない、出来ない施主施工者は途端に素人仕事になり易く、「所詮は素人のお遊び」と玄人から蔑まれ馬鹿にされる大きな要因の一つ、とお父さんは今も考えている。

 そのお父さんにとって、時期限定で何十人工も取られる事は非常に負担。数だけでなく質の面でも精神的にも、鉋再生とは比にならない事なのだ。

 

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