家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

黒船

<道具:本職の鏝>

 良い道具というのは、良い仕事をさせてくれる。お父さんは別に職人とかではないが、それが分かるぐらいの大人にはなった。造り手が、使い手の事を考えて作った道具というのは、施工道具であれ自動車であれ感動を与えてくれる。

 鏝も間違いなくそういう道具のはず。「ただの金属板に木の柄が付いた物」というわけではないはず。このような家での双璧工種の左官の道具。大工道具に気を使うなら、左官道具にも気を使って良いはず。

 

 はずはず思ったりしたものの鏝は避けていた。考えない様にまでしていた。これ以上あまり道具に予算を掛けたくない、というただただケチ根性。仕上の漆喰塗りにだけ気を付けて、下地の中塗り迄は「ただの金属板と木の柄が付いた物」でいいかな、という具合。そこで当初使用していたのは、この家の物置に放置されていたホームセンター級の鉄製中塗り鏝。これで荒壁は勿論、大斑直し塗りも何枚か行っていた。

 

 しかし、途中でおかしいと思い始める。鏝が反り曲がってしまう事に気が付いてからだ。果たして本職は、反り曲がる鏝を使うのだろうか。反り曲がるような使い方をしているのだろうか。錆があって材が引っ掛かる事もついでに気になった。

 そこで、錆びづらいし鉄より硬いはずのステンレス製の鏝を検討。塗る壁も矩形ばかりではなく、矩形であっても大小ある。結果、中塗り鏝大小三種と柳刃鏝一種を購入。各数百円台という事が購入後押しになった。

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 またしても、しかし、だ。やはり反り曲がるのだ、ステンレスでも。この事により、あまり鏝圧を掛けないような我流が生まれる。それでも反り曲がるので、時折チェックして、反り曲がっていると手で直すという具合。手で直ってしまう程の鏝ってどうなの。絶対おかしい。おかしいおかしいおかしい。

 

 長らく不審がっていたそんな折、来航したのが探検さんの黒船、いや、鏝だ。

 探検さんはご自分の左官道具一式を持って来てくれた。その中の鏝はご自分で揃えられたらしいが、一つだけ本職先生から貰ったという物があった。すぐさま飛びついて拝見。一目で分かった、お父さんの鏝とは違うのだと。

 何が違うか、鏝の背が、鏝の通りが膨らんでいるのだ。こりゃ、少々の鏝圧を掛けても反らんわ。他に、幅が広くて重量もある。試させてもらうとほらやっぱり、使い易くていい感じ。

 一方で探検さんは不思議な事をおっしゃる。使いづらくて使っていないと。これに驚き引っ掛かり、探検流が「板材用仕上げ薄塗り法」じゃないかと疑問に思った理由の一つになっていく。

 

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