家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

伝統構法古民家の寸法基準

 炉壁施工の本格開始。炉床より炉壁を先行させるのは、炉壁を基準として炉床の形状を決める為。炉床と炉壁の施工は順繰り順繰り。

 

 炉壁を設ける為の基準を探す。

 土壁は勿論、柱からも基準線が取れない。柱以外からも同じく。こういう家だから2Dではなく3Dで設計した。久しぶりに確認しても変わっていない。当たり前。炉台や炉壁が多少矩形じゃない仕上がりになっても仕方なし。これらと周辺材との取合い箇所の調整が後々面倒になるだけ、と変な納得の仕方をしている。

 

 ただ、あまりに適当には出来ない。何も基準が無い所に基準を設ける。そこで登場するのが「水糸」。本工事では初めて使うかもしれない。購入したのは一体何年前だろうか。覚えていない。しかし、ビニール素材っぽいこれは朽ちずに現役。

 この水糸を張る基準は、薪ストーブ背面に当たる柱二本からそれぞれ25㎜とする。炉壁により守りたいのはこの柱二本だけ。この最低限を満たす。

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 問題なのが、むくり壁。壁の中央部が緩やかに凹んでいる。こうする事で壁が平らに見えるようにしている。人間の目の錯覚作用。ただ、こうなっていない壁もあるので、わざとなのかどうかは不明。

 炉壁高さは1.6m程にする。土壁高さ方向からすると中間より少し低い位置となる。そして、炉壁天端には見切り材が入る。その見切り予定材をあてがってみる。材は大体真っすぐ。それはそれは土壁の歪さがハッキリ分かる事この上ない。

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 これに対応する為に、既存土壁に凹んでいる箇所に薄く上塗りして調整。これが上手く行きそうには思えない。単純に泥を薄く塗っても剥離しそう。仕上の漆喰の塗り厚を変えるながら調整、というのも良策とは思えない。本来薄塗りの漆喰を、箇所箇所によって薄くしたり厚くしたりすると仕上がりが良くなさそうだから。土壁歪問題はしばし先送り。