家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

石工作業

 花崗岩が全く無いわけではない。目ぼしい物が2つ、あるにはある。形状が束石に最適。と言うか、恐らく新築時に余った束石じゃないかと思う。ただ、この扱いには迷っていた。理由は至って簡単、とても重たいから。

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 計算上、それぞれ100kg強。転がす事は出来る。だが、当然持ち上げられない。母屋玄関戸の敷居を跨ぎ、玄関から床に一度上げ、横移動をさせて薪ストーブ予定地に投げ入れる。はい無理。

 新たに購入するか。と調べてみると、束石に向いてそうな石は一つで1万円弱程するようだ、運賃抜きで。と言うか、そもそも新たに購入しても重たい事は何ら解決しないし。

 チェンブロックを出すのは面倒だけども仕方がないか。いや、待てよ。割るのはどうか。束石が今後も不足するんだし。あぁ、でも、割るだなんてもう石工じゃないか。大工に左官に屋根に板金に建具にタイルに鉄工に電気に水道に設備に家具。どこまで俺はやるんだよ。これ以上工種を増やしたくないなぁ。あ、造園もするんだから石処理作業が待っているんだな。どっちにしろ石工は避けられないのか…

 

 とウダウダ考えた末、割り切って割る事に決定。その為の道具、「セリ矢」を購入。石に穴を開けてこれを叩き入れて割ってしまうのだ。色々探した最安値が一本で千円強。

土牛 セリ矢 16mm

土牛 セリ矢 16mm

 

 

 構造の単純さからすると何だか高く感じる。ピラミッドが造られていた頃からある道具で昔々は木製だったらしい。木製なら自作も考えてみたが面倒。でも高く感じる。という事で、六本あると理想的な所を二本だけの購入とした。四角い石を割るのなら三面に各二本を打ち込む。だけども、一面に二本だけでもちゃんと割れるだろう、という算段。

 

 でやってみたら算段大外れ。そして後悔。門屋や造園施工でとんでもなく大きな石の処理を予定している。その時の事を考えれば、別に六本ぐらい買っていても良かったんだ。てやんでぃ、ちくしょぉ。  

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 肩を落とすが石は揚げないといけない。想定より小さくなったとは言え、やはり各障害物を乗り越えて移動させないといけない。とても手掴みでは揚げられない重量。途中で落とすと通院確実でかなり矢場い。そこで、石にスリングベルトを巻いて持ちやすいようにして段差をクリア。台車で横移動させ使用予定地にドン。

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 結構な必死さを要してくたびれる。結果的には想定より石が小さくなって良かったかもしれない。この日は年内最終作業日。腰痛で年越しにならないか不安を抱きつつ、年末だけど穴を掘ってモルタルを作って束石を設置。少々バテ気味で土まみれ作業服を着て未だ施工現場の我が家を見ると、全く正月気分が湧いて来ず。そんな気分のままで平成27年が終わっていく。