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家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

「二本両端逆地獄ホゾ挟み吊束」

 作業中断から凡そ二人工。ようやく解を出す。名付けて「二本両端逆地獄ホゾ挟み吊束」方式。略して「地獄挟み吊束」としておこう。

 

 吊柱と曲がり梁にそれぞれに応じた貫通穴を開ける。その穴それぞれに角材を入れる。これを引っ掛かりとして、そこに束材を嵌める事で上下の梁と柱を繋げるのだ。これだけだと地震等で束がズレ動いてくるかもしれない。そこで、角材両端に地獄ホゾの細工を施してズレささない上、束と梁や柱それぞれに密着させるのだ。

 

 「地獄ホゾ」というのは仕口の一種。ホゾ先に割れ目を入れてクサビを仮差しし、逆勾配を施したホゾ穴に打ち込む。そうする事によりホゾが入る程にホゾ穴内で先が広がり抜けなくなるというもの。地獄挟み吊束での地獄ホゾはこの変異版。一端入ると抜けられない、という事から「地獄」と付いたのではなかろうか。今と違って昔の人は粋だね。

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 論より証拠、やってみる。

 柱を両面から挟む束は吊り構造の要。そこで購入柱である太い端材を加工。これに合せた平面出しの為、曲がり梁を鑿で削る。これが何とも地道な作業。こういう時の為の道具を作る予定だったが間に合わず。それは今後の課題。

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 穴に入れる角材。これも吊りの為の要。なのでカシを使用。ただ、良い形状の物が無かった。表面に現れる為に悩んだが、高所なのでと妥協。地獄ホゾとしての割れ目を入れておく。

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 出来上がったけどどう組むか。まずは挟み吊束一本とカシ角材を差し込んでおいて、その状態で梁と柱に打ち込もう。

 そう考えて角材を叩き入れると、キツく加工し過ぎて束に割れが入る。ショック。考え足らず。穴を少し広げた上、割れを締める目的で隠しビスを打つ。金物使わず、と言いながら早速使う愚行。泣けてくる。

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 何はともあれ、梁と柱に開けておいた穴に挟み吊束を打ち入れた上、地獄ホゾへのクサビも打ち込む。反対側も同様。はみ出た箇所のクサビや角材を切り落とし、また削り落とす。欠けているカシ角材は元より、他の加工精度、それにこの落とし作業がイマイチで綺麗な仕上げとはとても言えない具合。大工道も険しい。

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 この施工では確か二人工程度を要しただろうか。この他の検討時間、不要になった大引製材、手戻りなど含めると全部で五人工程だろうか。しかし、これら以前の構想期間が長かったせいなのか、何だかそれ以上に掛かったような気がしてならない施工だ。