家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

原木自己調達の検討

 直径50cm~60cm、長さ1m、丸太のままで出来れば木元部、節有可。この見積に対して製材所社長は渋る。長さだ。原木1mだけだと、残り分を商品にしづらいと言う。お父さんはその主張をよく理解出来ず。4m材を使えば残り3m程。3m程の太い材なら商品になるではないか、何を勿体付けているのか、と。

 しかし、直径50cm以上で4m材、となるとなかなかの物だ。想像に過ぎないが、こういう材を在庫で持っておくという事はしないのかもしれない。お父さんの部分的発注の為に新たに仕入れて残りを在庫で持つ。又は、太くて2mや3m程度の短い材を仕入れると、尚更残材が不良在庫になるかもしれない。いずれにしろ、新たな仕入れはしないといけないかもしれない。

 

 製材所事情をそこまで考えられなかったお父さんは、出てきた見積額1.7万円(税抜)を「高い」と判断。その判断材料は、不良在庫の可能性に考えが及ばなかった事だけではない。

 個人が杉の原木一本を木材市から直接買い付けをした、という事を知っていた。長さは忘れたが直径30cm程度だっただろうか。これが確か1万円台だったはず。購入された方は、林業の衰退で寂れてしまった地域の村おこし活動をされている女性だったと思う。その活動の一環で購入されたらしい。が、購入された原木に名前を付けられて、「かわいい」と愛でられて原木を抱擁されていた。

 

 名付けたり抱擁する事はさて置きこの行動の狙い通り、一般消費者のお父さん程度にまで知らしめる事に至ったわけだ。木自体は思ったより高い物ではない、と。製材所従業員の方は見積額を見て渋い反応を見せるお父さんに対し、価格交渉出来ると思うと助言を下さる。しかし、お父さんの中では値切り交渉よりも、いっその事、自分で伐倒調達するか直接買い付けをしようかと思うに至る。

 

 ちなみに自己伐倒。伐倒地には当てがある。直径50cm程度ならば道具もある。真っすぐ伸びる針葉樹ならば伐倒する自信もある。一方で不安や問題もある。

 「かかり木」になると大変だ。「かかり木」とは、倒れ始めた立木が他の立木に引っ掛かってしまい倒せない事。かかり木がいつどのように倒れてくるか分からないので、その状態で放置する事は禁物。ちゃんと倒し切らないといけない。直径50cm以上となると樹高は10m超と見てよいだろう。これ程の大木がかかり木になってしまったら、手道具だけのお父さんのみで適正対処が出来る自信は無い。かかり木にしないように狙い通りに伐倒させられる、という絶対的自信も無い。

 さらに問題なのは搬出だ。林業、山林保有が商売として成り立つか否かに大きく関わる要素の一つだ。本職は複数の設備や重機で行っている。何ならヘリコプターも使ったりするらしい。大径木と言ってもどうせ一部分、都合よく林道沿いにあれば軽トラクレーンで何とかなる。しかし、そうでなければまず持って搬出不可。

 

 1.7万円と自己伐倒。数日考えてみたが、1.7万円の方が割りが良さそうな気がする。さすれば、この金額を基に直接買い付けを検討する。