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家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

義息の心、夫の心は空回り

 鉋の手入れ工程に「裏出し」というものがある。割愛方針は変わらないので諸々は割愛するが、鉋の刃先を裏側に出すのだ。鉋刃は、違う材二枚を合せて造られている。鉋刃の裏面であり刃先となる鋼は硬い。表面であり木材を削らない側は地金という軟鉄。字の如く軟らかい鉄。この軟鉄を叩く事で押された鋼が裏側に曲げ出る。

 

 さて、この叩く為の道具。「玄翁」やら「金槌」やら色々。

 お父さんが本職の時に買ったような気がする玄翁は未だ現役。玄翁とは、片面が平らでもう片面は曲面。これは釘を打つ為に考えられた道具。平面側で釘を打っていき、最後の方は曲面側で打つ。そうすると、木材面から釘頭が出ないどころか少し凹む。だけども緩やかなので、木材などに玄翁跡も出にくい。考えた人は賢い。

 金槌の方はとにかく叩く道具を指す。釘は勿論、その他色々。なので、叩き面と反対側は尖っていたり釘抜きになっていたりとかする。

 

 「似て非なる」と言うのか「似て似てる」と言うのか。その為だろうか、玄翁で裏出しをする方がおられる。これは適した使い方とは言えない、と鉋素人ながら思う。実際、使っておられる方も叩き面の角を使って地金を叩く、という器用な使い方をされているようで。

 それで事足りるなら良いが、裏出しは下手すると鋼が割れるよ、との文言を見つけて玄翁は避ける方が無難と判断。片面が尖っている金槌が良さそう。ならばこの為にわざわざ買うか、と思いきやあるじゃないか、錆錆のボロボロの金槌。

 

 お母さんの父、二人のおじいちゃんが所有者だった金槌。おじいちゃんが亡くなる前だったか、もう使わなくなったからとくれた蛇口やら道具やらの中にあった物。そこらの金物屋かホームセンターで買われたと思われる安い物。おじいちゃんは道具にお金を掛けるような性格ではなかった。見た感じからしても間違いなく千円台とかの物だ。おじいちゃんもおばあちゃんもお母さんも、恐らく何ら想い入れが無いと思われる金槌。

 物があるにはあるが、このままじゃ使いたくない。鉋刃に錆が移りそうだからだ。やはり捨てるか、どうせ安物だし。新たに買っても費用は知れている。

 

 だけど、捨てて新たに買う、というのにはどうにも気が引けた。お父さんがこの家を通して、きょうこやりょうすけは当然、その後の子供達に対しても色々思ったりやっている事。これらを「安物だから」「買った方が手っ取り早い」と無碍にされるのは残念。おじいちゃんは草葉の陰で、何の愛着も持っていなかった物を捨てられても悲しくはない、と想っておられるだろう。しかし、お父さん自身の為にもやる。

 

 叩き面はひしゃげていたが、これを削り落とし形を整える。

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 液に浸けて錆に落とす。ここまでは良い。問題は錆防止策。熱して黒錆を表面に付ける事で、赤錆発生を防ぐ方法を採用。カセットガスバーナーでやってしまい、時間は掛かるし全体均一に赤くならないし。焼きが戻ったかもしれないが、まぁいいかで水中投下。青くはなったので良しとする。

 ついでに釘抜きも錆取りを。床置き木屑被りで高湿度時に錆ついてしまった。これは焼き戻りはマズいので、鉋刃用の黒錆液を使用。差を付けると、いくらあのおじいちゃんでも気を悪くされるかもしれない、と金槌にも液使用。これでご勘弁。

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 柄もボロくてしかも細すぎる。という事で薪用のカシ枝で新調する。元の柄と似た感じにしようと思った。やってみると、皮が残ったぐらいの方が見た目が面白く、何より握り具合がお父さんには丁度良し。

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 この再生作業、実子であるお母さんは「ふぅ~ん」ってな具合。

 おじいちゃんの運転免許証や携帯電話を後生大事に置いているおばあちゃん。そんな寂しさに嘆いているおばあちゃんなら、少しは理解してくれるはず。と思いきや、「ふぅ~ん、器用やねぇ」と作業自体の感想のみ。

 夫の心、妻知らず。義息の心、母知らず。おじいちゃんという先人と残された遺族に対するお父さんの心情伝わらず。自己満足で終了。

 

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