家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

キッチン天板発注:材種検討

 「猫に小判」「豚に真珠」「馬の耳に念仏」。”単純な”肉体労働を探検さんにしてもらうと、これらと「お父さんに最強の助っ人」が同義語になってしまう。そうはあってはならぬ、と十数日に渡り悩み続けて苦し紛れに出たのは重量物の搬入。お母さんとでは心許ない、そもそも二人だけでは出来ないかもしれない、という懸念がある物が二つある。これを探検さんが来られる前に前倒し発注する事に決定。

 

 その一つはキッチン天板。この天板の種類、お父さんとお母さんの中ではなかなか答えが出ず、ほぼ一年間宙ぶらりんだった。

 

 お父さんは、この家の購入時期から天然石案を温めていた。この家の荘厳さから適している、と意匠的な理由。それに対してお母さんは、硬い天板はよろしくないと言う。食器や調理器具を置くのに気を遣う、と実用的な理由。確かにそうだ。納得。これで天然石案は消滅。

 

 平成27年現在、主流の天板は「ステンレス」と「人工大理石」だ。

 ステンレスは申し分無い。水が掛かっても問題無い。食器等を置く際にも気を遣う事も無い。傷が少々ついてもあまり気にならない。だけども最有力候補で無かったのは、この家にギンギラギンのステンレスは消極的だった。

 そういう意匠面以外に、ステンだと普通だなという想いも湧いていた。住宅設備に普通さは良い面が多いと考えている。なのに何故か、もう少しいちびりたい想いが払拭出来ない。

 それでもここは大人しく、石がダメなら無難かつ最強のこれかもなぁ、と価格を調べてみる。すると、設計案通りだと天板だけでどうも30万円は余裕で超えそう。これ程掛かるのであれば、他に選択肢があるかもしれない、と継続審議になった。

 

 ちなみに、人工大理石とは詐欺的な名称であって、本当はアクリルやらポリエステルかの樹脂。その樹脂板に大理石風な模様が入っているだけ。初めて聞いた時は、人工ダイヤモンドの大理石版のようなものであって、ちゃんと石っぽいものだと思っていた。大理石風樹脂、大理石模様樹脂、と称しなさいよ。アメリカの警備員は警察官と一見区別が付かないが、日本の警備員に「私は民営警察官です。」とか似て非なる事を言われたら通報するぞ。

 この樹脂板は、以前の施主施工のやはりキッチン天板で初めて使用した。高級品じゃなかったからなのか、やっぱりどう見ても樹脂。使っていくうちにその樹脂感が徐々に強まっていった。実用面ではキッチン天板に適した材と思うが、その安っぽい表情が嫌。そのくせ結構な値段になる。という事で最下位候補

 

 この他に出した案は「コンクリート」。「それはいい。そのアイデア貰います!」とおじいちゃん建築士がおっしゃっていた。お父さんも我ながら良い案ではないか、と思った。大正やら昭和初期やらの台所では、素地のままかタイル仕上げのコンクリ製は一般的だったはず。突拍子がある案ではなく実績がある。施主施工でも何とかいけるかもしれない。

 しかし、お母さんからは「石と同じでは?」と。確かにそうか。そうかもしれない。という事で名案から一転廃案。「タイル」案も同様の理由で不採用。