家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

柱五本の理由

 思い立ってから半月程、ようやく柱材使用の段階に辿り着いた。ミッションは奥玄関のトイレ新壁を設けるために四寸角の柱五本。

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 元々、床だけで何もなかった空間。さらに上階から加重を支持する為のものではない。なので、既存壁との取り合いと角の三ヶ所に柱があれば事は足りる。

 壁内にはさすがに間柱を入れるとしても、四寸角の見える柱は必要無い。トイレ出入り口にしても、開口部両側に見える柱が必須では無い。土壁の開口部廻りに見切り材を付けず、左官仕事だけで修めるスマートな施工法もある。

 

 だけど、五本も柱を建てる理由。

 一つは意匠的な事。既存との調和。既存壁は半間巾の壁ばかりだからだ。しかし、玄関という事で意匠的に敢えて大きな壁にする事は面白い。

 

 それをしなかったのはもう一つの理由の為。壁の仕上げが土や漆喰だからだ。大きな壁を平面に塗る事は難しい。柱で区切られている方が、塗り壁としては施工がしやすいはずなのだ。

 横方向だけでない。ここの床から天井までは3.2m。これに対しては、「付鴨居」という名称だと思われる見切り材を入れる。和室だと通常必ずある部材。建具の鴨居と同じ高さ位置に同じ見付巾の材が壁に施されている。ビニールクロスの和室壁だと、鴨居との連続性による意匠面が理由だけだと思う。しかし、本来の土壁においては、壁を上下にも区切る事による左官仕事のやりやすさを得る、という合理的な意味ある部材。

 

 トイレ内は漆喰仕上げでこれはお父さんがやる。トイレ外である奥玄関側は、色調合の中塗り仕上げ予定の為に本職にお願いする。本職施工ならば奥玄関側だけは大壁でも、とはならなかった。

 それは三つ目の理由。大壁による土壁の保持性に疑問があったから。ヒビ割れや剥離等のリスクだ。

 

 例えば、コンクリートの土間やら壁には目地をわざわざ入れる。入れなくとも施工出来るのに入れるのは、ヒビ割れを目地に集中させる為と理解をしている。コンクリートのような一体化するものだけではなく、サイディング等のバラバラの部材の施工時には遊びを取る、又は部材そのものが遊びを取れる作り方をされている。

 要は、建物は動く、揺れるという前提で造られているのだ。一面が大きな土壁にヒビや剥離が起きると、当然小さい壁より補修が大変。それ以前に、小さい壁だと補修の必要性自体が低下する。

 

 そんなわけで、無駄に四寸角柱を五本も建てるわけではなく、お父さんなりに考えての設計なのだ。

 

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