人生半分折り返し年代
暑い二階から降りてきたものの、調子がよろしくない。夏バテか、と思ったりしたがどうなのか。去年は炎天下にも関わらず、竹製薪棚の為に穴掘りしたりバーナーを振り回していた。暑さに弱いお父さんと言えども、これまでも、その時も夏バテは無縁。
そもそもお父さんは病気と言う病気にはなった事が無い。数年に一回か自覚症状がある風邪をひいた事はあるが、病院にも行かないし薬も飲まない。医者にかかったのは歯科か外科ぐらい。他の診療科も経験はあるけども、小学校中学年の時が最後だろうか。風邪か何かだったろうか。夜に一人で行かされる。今みたいに親が何でも付き添わない。昭和はそんなもんだ。
それはいいとして、至って歯科医以外医者いらずで育ってきた。
しかし、真夏のある夜にふと目が覚めた。瞼を開けると視界がグルグル回っていた。驚いて瞼を閉じても、意思に反して両眼球が回転している。頭も痛い。何が起こっているか分からない。恐怖感を抱く。お母さんを起こそうか? 起こしたからとしてもどうなる? 救急車を呼ぶのか? 眼球と比して頭は回らず、そうこうしている内に再び眠ってしまった。
起床時、昨夜の事はあまりにも不可解過ぎて夢だったと思った。しかし、立ち上がり歩くとフラフラしている。目まいが酷い。夢じゃなかった。
何も出来ず。足を骨折しただけの方がまだ何かしら出来るのではないか。たかが目まいと侮ることなかれ、動きも思考も制約されるのだ。まぁ、侮っていたのはお父さん本人で、目まいが無くなるまで待ってみる事にした。しかし、数日経っても収まらず、とうとう数十年ぶりの歯科と外科以外へ行く。
ただ、根本的な治療法はないと。対処療法で目まいを抑える薬を処方されるだけ。経過観察という名の放置だそうで。大体、一週間~二週間で自然治癒する病気らしい。ならば薬は飲まない。薬の効能力は高齢になるまで取っておく。
ストレスや疲れが溜まってなる事があるらしく、身に覚えはある。それにしても、とうとう病気をする年齢になったかと思わされた。
十代から二十代は食べても食べても腹筋は六つに割れたまま。二十代後半、お母さんと結婚して食生活が変わったせいもあるのか、それ以来腹筋を長らく見ていない。肥満とは無縁と思っていたがそうではないのか、と痛感したものだが病気も無縁じゃなかった。
結局、目まいは弱くなったものの二週間では収まらず。ある方向に頭を動かすと途端に目まいが襲う。そんな状態なので施工を中断する事度々。
数ヶ月経った今現在、ほぼ無くなったものの完全とまでは言えない。目まいだけでない。クシャミが異様に多くなった。気温変化や寒さに対して一気に弱くなったような気がする。暑さに弱いが寒さに強い、が売りのお父さんが平均かそれ以下になってしまった感じ。寿命を全う出来るにしても、こうやって年老いていって死ぬのだろうなぁ。