家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

「住みながら施工」の危険性

 ゼネコンや一部の工務店の建築現場では、入場者への安全教育が施される。その中で「ヒヤリハッと」「千三つ」というものがあったと記憶している。ケガ等の事故が起きるのは、その前段階で「ヒヤリ」としたり「ハッと」する事が積み重なった結果。その「ヒヤリハッと」が千回あれば事故が三件起きる。確率論としてよりも、そういう心構えで日頃から気を付けようという事だと理解している。

 

 車やバイクの運転を除くと、お父さんの最大の「ヒヤリ」は、ユニック車のアウトリガーの出し忘れだ。その次は、里山保全活動で会長が大木伐倒された際の倒木の跳ね上がり。それ以下は数え切れない。千は行かないが百単位には達していると思う。

 最大の事故は、手を5針程切った事で済んでいる。それ以下の、玄翁で指を叩いたり身体をぶつけてアザが出来る等のレベルの負傷だと、とてもじゃないが数え切れない。

 

 ほとんどの要因は油断じゃなかろうか。慣れが怖い。最大の事故発生数の建築業界、最大の発生割合の林業業界。事故事例集を見ると、意外にベテランや高齢者が多い。身体能力の問題ではなく安全対策や意識が低そう。もちろん現役世代でも身だしなみや所作がだらしない人間は、事故を誘発するらしい。

 この家の施主施工では、お父さんが基本的に単独で作業している。危険作業をしている時は、「倒れていても何時間も気づかれずに…」等という不安を頭に過らせている事が多い。年齢は上がり筋力は下がり、であまり無理をしないように意識している。

 

 そんな工事中にとうとう事故が起きた。

 二階作業が一旦終わり、一階に降りてきて木埋め作業を嫌々再開。その木埋め用の木片作りを丸鋸で行っていた。小さな木片。落脱時に丸鋸に変に絡まり前方に木片が飛んで行った。この瞬時の出来事が全く分からなかった。ガシャンとガラスの割れる音を聞いてもすぐには状況が分からず周りを見渡した。すると、5m弱離れた既存キッチンのガラス戸が割れていた。木片はさらに奥に落ちていた。合計飛距離8m程。

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 これにはゾッとした。ガラス破損という物的事故だったからまだ良い。お母さんが居て当たっても太もも辺り。しかし、きょうこやりょうすけの場合は胸部や頭部ではなかろうか。もしガラス戸の向こうに居た場合は、ガラスまで飛んでくるので洒落にならない。

 

 住みながらの施主施工。経済面ではメリット有りだが、まだ小さな二人がいる状態では利便性は限定、危険性はつきまとう。お父さんは口を酸っぱくして危険性を唱え、きょうこは理解できる年頃でまだ安心できる。だが、りょうすけにとっては無理難題。なので、すぐ目を離してしまうお母さんに訴えるがイマイチ伝わらない。

 しかし、今回の事故はお母さん達には防ぎようがない。施工中は母屋に入るな、とは現実的には出来ない。丸鋸に慣れてしまっていた。それに、「住みながらの施工」という事についてを改めて考えさせられた出来事だった。

 

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