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家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

土蔵の傾き補正工事検討

施工:土蔵 建築士・施工者

 2階の解体を進めながら、土蔵の沈下補正を行う業者さんを呼んでいた。

f:id:kaokudensyou:20150815222702j:plain←よく見ると写真でも判る傾き

 逃亡社長が逃亡する前の頃、おじいちゃん建築士含めて相談してみた。二人共、直下の土壌に薬液を注入して固めるのはどうか、と。その工法は、これ以上沈下しないようにというもので補正ではない。しかも、沈下しているのなら地下
1m程度を固めたとしてどうなるのか。引き続き沈下する土壌かもしれないと言うのであれば、その固まった土と共に沈下するんでないかい?

門外漢の人に相談してしまった自分が悪い、と思い直して自分で探ってみる事にした。そもそも、本改修工事で本職施工してもらうにしても、傾き補正工事の施工管理は不要だ。ましてや設計監理も。下手にこの方たちに絡んでもらって、その分の費用を上乗せさせられても困る。

 土蔵のような小規模で傾きを補正しつつ、さらなる沈下の可能性があるのならそれを防ぎつつ、となると「アンダーピニング工法」なるものだと施主認定。

これは、建物基礎下に鋼管杭を打ち込んでいき岩盤に当てて、さらに打込む事による反作用を利用して建物を揚げるという工法。意味が伝わるかな? 何にせよ、傾きは補正できるわ、さらなる沈下は起きにくいわ、小規模建物でもできるわ、の工法。

 ターゲットは二社。さらに、お父さんから聞いたおじいちゃん建築士も検索してくれた一社。計三社に打診。

 三社の担当者の方々全員、遠方地からのご来訪。「西日本担当」や「全国」とかの規模。需要が多くはないから商圏がそれほどの広範囲なんだろうなぁ。一方で、経費をペイできる上に利益もちゃんと確保できる程の根強い需要に、ニッチな業種で、ビジネスとして成り立っているんだろうかね。

 さて、三社共、土蔵は初めてとの事。お父さんが直接コンタクトを取った二社については、事前に補正工事中の揺れで蔵の土壁に亀裂が入ったり、剥落する恐れがあるかもしれない、との事。ではしないのか、というと「取りあえず現場に」と。時間も経費もかかるのにご苦労な事。有難くお招きする。

 一社の
A氏は、石積み擁壁側は擁壁外側に足場を立てて、蔵の外側から起こすという。

蔵の二辺は石積み擁壁際に建っている。際側の土蔵二辺の礎石は、石積みのほぼ真上。単純に礎石下に杭を打つ事は不可能。これは事前に伝えておいた内容。いや、おじいちゃん建築士が声をかけた業者さんだから、伝えてもらっていない可能性があるなぁ。足場設置による蔵の外側から作業者が施工するとは、大掛かりな予感。

後日の見積額は、おじいちゃん建築士を通して200万円台だったと記憶している。はい、無理。

 もう一社の
B氏。蔵床を撤去の上、内から揚げると言う。

この会社は、アンダーというよりサイド工法、基礎の側面に専用鋼板を留めて一体化し、その鋼板に取り付けられている出っ張った加工部分に杭をあてがって持ち上げる事を行っている。蔵の内側から礎石側面に鋼板を留める。礎石は一本物ではなく一辺に二本だ。鋼板による連結一体化をされた方が不同補正になりにくいと思われる。そもそも、石積み擁壁が礎石の真下にある事は大きな支障とならない。

後日の見積額も90万円台と現実味がある。

 最後の一社の
C氏。施工不可な雰囲気一杯だ。

こういう時は、かえってお父さんは攻めてみる。こうしたらどうですか、これなら大丈夫では、と「是非お宅でやってくださいよ」と言わんばかりに。否定的な人は、また違った見方や考え方を持っているかもしれない、と思うからだ。

しかし、この氏は「石はコンクリートより柔らかいので…」と言う。驚いた。パン屋さんとかが言うのなら聞き流せるが、どちらかと言うと土木系な感じの業種の人間からのまさかの発言。「そんな事は無いと思いますが」と言っても、「いや、確かにそうですよ」と返してくる。

ダメだこりゃ。せっかく来てもらったのに得られるものは無いな。この氏もお父さんも、別の意味ながらお互い施工不可の結論を得た。

 一応、天下の「プロ」様でいらっしゃる方からのご発言なので確認してみたが、やはり石の方が硬度が高かった。これだからお父さんは、「プロ」への無条件な信頼等持てないんだよなぁ。いや、待てよ。硬いからこそ割れやすい、という意味だったのかも。樹脂系やプラスチック系の板よりも、硬いガラス板の方が割れやすいもんなぁ。ま、別に彼の真意はどっちでもいいや。