家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

伝統構法の構造材の温存方針

 在来工法を金物部材に大きく依存する工法とするならば、伝統構法は真の職人の技術に依存する構法、と言えるのではないか。そう解釈するだけに、伝統構法家屋の施主施工には躊躇、というよりもビビッてしまうのだ。

 在来工法は、非常に簡単に書くと確立したノウハウがありマニュアル化もされていて、何度も書くが施主施工の自信はある。伝統構法は、木を読み、土を読み… そんな事今から出来ない!!


 では、そういう事が出来る真の職人さんが必須となる。しかし、そのような方がおられるのか。伝統構法は
1%程度で、残り99%は在来工法らしい。伝統構法を簡略化させた在来工法が日本の新築家屋のほとんどを占める。
 伝統構法家屋のリフォームだ、古民家再生だ、と謳っておきながらやっている事は、中途半端に在来工法化にする工務店や大工。それに何の疑問も抱いていないのだろう、嬉々としてブログなどで自分達のその仕事を自慢している。そういう所が結構見受けられる。恐ろしい…
 伝統構法に携わる機会が職人さんにはほとんど無く、新たな人材が育つ余地もほぼ無しと思われる。今現在は、それでも若い時に携わっていた、親方が携わっていた、と一応直接的に、間接的に知っている職人さんや工務店と出会える事がある。ただ、今後はそのような方さえもいなくなる方向のようだ。


 自分では出来ない。下手に、職人というよりも作業者となったような巷の大工等には任せられない。今後はカネがあっても真の職人を見つけられないかもしれない。

 そんな事を踏まえると、この改修では基本的に構造材、躯体には手を付けない。後世に極力残す事を念頭に置く事にした。ここはなかなか理解されなかった。あの何でもOKのおじいちゃん建築士でさえだ。


 ここから発展(?)して、金物にも基本頼らない。ビスや釘はもちろん構わない。後でやり替えが困難そうな箇所や、重要箇所への使用は行わない。材木の寿命と金物のそれとは差異があるからだ。材木の寿命はそれが育った年月と同じだ、というのは偉い宮大工さんのお話。一方、現代の金物に数百年の信用はさすがに置けない。材木は問題なくともある日金物が破断しないよう日常気に掛ける、という事は実質不可能。ましてや、見えない場所で大きな荷重を支えさせる金物ならば、シャレにならない。


 これについても、施工者側は苦笑いしながら難色を示した。お父さんは自分では、簡単に言えば「昔ながらの造り方で」と言っているに過ぎないと思っているのだが。「こりゃ、容易には事が進まんぞ」と改めて思うお父さんであった。