家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

お父さん、えせボランティア活動を始める

 今現在以上に薪調達に悩む当時のお父さんにとっては、この会の高い平均年齢は「これは、もしやイケるんじゃないか?」と思ったのが正直なところだった。新参の若輩者のお父さんでも、受け入れてもらえるかもしれないぞ、という意味でだ。

「家に薪ストーブを入れたいので、薪が必要」「薪作りを通して、里山保全に貢献できるのではないか」「里山は、人の営みを通して自然を活用する事で成り立ってきたと考えている」「ここで活動させてもらえれば、自宅の周辺環境保全にもなる」

 ニワカではなく、短期ではなく中長期的であり、そして薪調達だけでないですよ、と脳内会議の内容を意を決して主張してみたのだ。

 すると、「薪にするから木だけをくれ、という人が以前にいたが断った。それだけ、というのはいかがなものかと。」「そういう事でないのであれば構わないよ」とのご返答。お父さんは小躍りしそうになったが、その後すぐに「ただ、持ち主の人にも了承を得ないといけないだろう。」と、至極まっとうなご発言ながら、保険をかけているというか、もしかしてまだ内々定であり本採用ではなく面接は続くのかも、と受け取れた。

 そりゃそうだ、口だけなら何とでもだ。これから活動を通して理解を得ればよい。そんなわけで、一定量の薪調達ルートに見通しがついたという事で一安心。
 ここまで来たら後戻りできず、もう薪ストーブ導入が決定してしまった。

 この話の流れで大木、しかもコナラを近々伐倒作業へのお誘いを頂いた。もうこうなったら問答無用、ということで参加挙手。こりゃ幸先が良い。


 作業当日の参加者は、やはりコアメンバー
60歳オーバーの方のみ、お父さんの参加でも60歳を下回らない感じだ。しかし、不安はない。皆さん、保全活動を通して幾度も大木伐倒をされているはずだからだ。

 初体験のお父さんはサポート役として、先輩方の見様見真似で作業を行った。チェンソーを操るのは限定者のみにされていた。扱いを誤れば非常に危険な道具で、いざそうなれば大事故必至。ベテランのプロ林務者だろうが毎年事故が起きているのは、後から知った話だ。

 大変便利ながらもそういう道具なので、保険の問題もあり限定使用となっている。その時は、最高齢と思われる会長御自らが伐倒者。頼もしい。

 倒したい方向と樹木の傾き加減、それぞれ検討し刃の入れ先は決まった。チョークで記し、いざ刃が入る。何の問題も見当たらない(というか分からない)。お父さんは、伐倒方向の反対側、樹木から
1m弱程度の位置に陣取った。
 会長が「受け口」という、伐倒方向へ倒れるような切欠きをチェンソーで作った。次は「追い口」。受け口の反対方向から刃を入れ、株と幹との繋ぎを減らしていくのだ。この繋がった部分は「ツル」と言う。これはわざと残す。完全に株と幹が離れた伐木は、どこへ飛んでいくか分からない。何も難しくはない、初心者お父さんでも理解できる理屈だ。このツルが支点となり緩やかに倒れる、これは安全作業の為には必須の方法だ。この時までは、ワクワク感一杯だった…