家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

この家のこと:門屋

 次は、門屋。

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 門屋とは何か。お父さんも詳しくは知らないが、この家の門屋には当時の使用人が住んでいたようで、前所有者の子供部屋にもなっていたようだ。確かに居室化されていて、水道に電気、それに汲取り式便所や洗面台もある。

■概要

 こちらも登記簿等はあてにならないが、棟札から昭和10年代築のようでこれは正確だろう。
 この土地とは違う家系のご長老などから教えてもらった話で、この家の建築主は戦後の引き上げ後に商売を始めたが、復興の波に乗って地域一番の大金持ちになった、と。近くに幹線道路沿いに工場があるがその土地も所有し、市内中心部にも土地があったり、お華やお茶の会を催して近隣の奥さま方が来られていたとか。この地域には、元お手伝いさんが今も住んでおられるのだが、もしかしてこの門屋に住んでおられたのかもしれない。

 そんな裕福になってから母屋を今のものに建替えたらしいが、当時まだ築浅だった門屋はそのまま残したのだろう。この門屋からして、建替え前の母屋もそれなりの規模だったんじゃないかな。

■不具合等

 ここは母屋以上にメンテナンスはされていないようだ。されているとすれば、屋根瓦の漆喰を上塗り、銅製軒樋の穴あき箇所にへったクソなコーキング処理、というぐらいか。
 何枚かの瓦は割れたまま、ほとんどの軒樋が穴が開いたまま、そこからの滴がはねて木部がボロボロ、物置側の壁の割れ、等々細かく挙げればまだまだある。

 と言ってこれを壊すのは全体のバランスが著しく悪くなりそうで、と言って用途がないのに無駄に残すのはもったいない、という事で当分悩む事になる。