家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

土壁仕上げにニッチ

 施工に話を戻すと電気管工事は落ち着いた。この次にしたい事、先の上水管施工にての漏水試験。ちゃんとしてれば上水管施工は簡単、と言えどもミスはある。お父さん、自信は有っても過信は無い。施工、だけではないがミスなんて山ほどある。接着剤がちゃんと塗れていなくて、何てことは大いにあり得る。保温材を巻いてから漏水していた、なんて面倒で嫌だ。という事で保温材は仮巻状態。

 

 だが、こうなると別の面倒がある。上水管を完成させないといけない。完成させるというのは、給水先と給水元を全て接続させるという事。

 なので、トイレ小便器を設置する浮かし壁の骨組造作、並びに東側の土壁の腰見切板の取付は行っていた。これをしないと、下水の本管位置が確定出来なかった。そもそも土壁と取り合う壁なので、春の左官祭りの為にはやらんといけない。これはハナから覚悟済。塗装まで入れて1.5人工程だったかな。

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 さらに、同じく行っていたのは、小便器周辺よりそこそこ大変だった電気&パイプスペースの造作。さらにさらに、その前作業として行っていたのはEPSの裏側に当たる箇所のニッチの造作。

 二階への途中までの上下水配管施工において、このニッチがどう絡むか判然としていない。また、先に配管施工を行うとこの造作がやりづらそう。そんなわけで水道屋さんから遠い仕事を引き続き実施。

 

 ニッチとは隙間とか窪みとかの意味だったかな。壁の仕様として日本語で言うならなんだろうなぁ。伝統的建造物であったような気がするんだよなぁ。分からないので、そぐわない感じだけどこのままニッチと称しておこう。

 当箇所は、別に飾り物を置いたりする場所と想定していない。そういう西洋チックなお洒落壁ではない。最たる理由はインターフォン設置の為。

 

 平成時代における主流の当該品は、厚さ数cmレベル。この代物が、LDK及び二階と水回りとを渡る廊下という、この家の太い動線となりそうな箇所に設置されていたらどうか。廊下巾は2m程なので人が当たる事に神経質になる必要はないと思うが、物がガツンと当たる光景は思い浮かぶ。それに見た目はどうか。平面土壁にぽっこり長方形で白いプラスチックが出っ張っている。うん、イマイチ。

 その他にも、同位置付近にスイッチ設置も予定している。ちょっと鍵を置いたり掛けたりするとかもアリかもしれない。これら無粋な物を包み込んでくれる事を期待しニッチを造作する設計。ちなみに、固定電話も置く予定だったが平成時代にもういいんじゃないか、となった。

 

 場所柄も用途柄も完全に意匠造作。そんなわけで解体材から意匠材を採掘。だがしかし、思いの外無い。残っていて確実に使えるのはもうデカ物ぐらい。後々の事を考えると、この時点で切除使用はまだ怖い。

 背板とする天井板は良い。枠板には、節が無く傷は少ないが、嫌なシミが付いている元床板で手を打つ。設計時、これはいつもの古色塗装仕上。まぁ、古色塗布ならシミは分からんようになるだろうとの判断。

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 しかし、設置予定箇所に先行して貼った石膏ボードを眺めていると、どうしても引っ掛かってしまう。石膏ボードの表面色は土壁と同系で想像し易いからだな。

 枠である柱や付鴨居や雑巾摺は何ら問題無い。ただ、面の中に暗濃色の古色ってどうなんだろう。しかも、そこに例の白系インターフォンが入ると浮きそうな予感。何か違う気がする。雑巾拭きしても取れないそのシミ。鉋で少々削っても同じ。と悩んだ挙句、薬品使用をして、それでも取れない場合は見えづらいような造作をしようと。

 

 薬品とは、階段踊り場束用の原木に使用しただけで大量に余っている木材漂白剤。説明書での濃い目濃度にて塗布。すると泡が出る。期待も出る。だが残念、薄まったもののちゃんと分かるシミ。時間が経てばさらに白くなると書いていたが、期待はもう無い。再び少し迷うも、決定通りこのまま白木にて造る。

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 白木はやはり緊張するわぁ。古色頼りの気楽さを再認識。よって、角をイモにする逃げ腰具合。お父さんの身長からパッと見るとシミが分からない。屈めば分かるけどもうこれでいいです。

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 設置後に亜麻仁油を塗って完成。材料採掘や薬品塗布も含んで半人工程かな。

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