家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

水はタダじゃない

 下水管による床下空間の状況が固定しつつある段階にて、上水管施工に着手。

 下水管と違って材質の柔軟性が高い。4m一本物を根太の合間を縫って入れるのも容易。勾配も気にしない。見た目で何となく水平やら垂直っぽかったらそれで良し。後は、役物で持って行きたい所に振って行けばいい。大工や左官とかと比べて超簡単。

 

 もし二人に施工センスが少しでもあれば、「上水は圧が掛かるから、下水管よりも難しいんじゃないか」と思うかもしれない。そんなのは、接着剤をしっかり塗って、しっかり接続すれば問題無い。土管や鉛管だとどうだったかは知らんが、塩ビ管はそういう風に簡単に出来ている。そもそも、水圧が掛からないからと言って下水管だってそれはするし。接続不良を起こすのは基本的問題であって、それは上水管施工の難易度を表すものではない。簡単に出来て、しかも漏水しないように先人が創ってくれた施工法だよ。

 

 だけども、そこから更なる革命が起こった。さらに簡単なのに、しかも漏水の危険性がより低くなった施工法が出来たのだ。架橋ポリエチレン管等、水道ホースの硬い版みたいな管をパチンと金属部材に差し込むだけという代物を使うヘッダー工法とか言うやつなのだ。

クボタケミックス:保護材付架橋ポリエチレン管 型式:PE-X管 PEX-13Wx10-5B

 お父さんが初めて見たのは十数年前かと思うが、塩ビ管に取って代わって今や主流らしい。ビックリする程に凄く簡単。これに慣れ切った本職が、今でも変わらない塩ビ下水管施工にて接着剤を塗り忘れて接続して漏水した、という文言を見た。それ、本当の話じゃないかと思う。接着剤を塗り忘れるようなお茶目な本職を生み出すぐらい簡便だけに、施主施工に打ってつけ。現に以前の施主施工では採用した。

 

 だがしかし、本施工では不採用。最大にして唯一のその理由、それはお金。高いんだよ、材料費が。

 主流施工になっている大きな要因は、恐らく人工代低減効果があるからと思う。しかも、漏水等の瑕疵事案が起こりにくいとなったら、元請からしたら採用しない理由が無いのでは。それらを言われて拒絶する施主もおらんだろう。

 打って変わって施主施工。人工代低減効果皆無。また、以前に採用したのは、集合住宅、かつメンテナンスが容易ではない設計だったので、万が一にも漏水を起こすと洒落にならんから。施工規模が小さかったという事もある。本施工で漏水させても地面が濡れるだけ。その程度の危惧の為に、この家の規模に合わせた高額な器具を買い込む事は、工期が延びようがまかりならん。

 

 そんな事から塩ビ管による施工。ただ、ちょっと贅沢してみた。普通の管でなく、耐衝撃性を持った物にしてみた。伝統構法は柔構造、家が動くから。

 厳密な所はよく分からん。ここで言う所の耐衝撃性と耐震性は、力学的に違うようにも思ったり。ま、大きく費用は変わらないからいいか、と安易な選定。ただ、この耐衝撃性水道管の部材、近隣に無かったんだなぁ。普通品ではあっても本品だと置いていない部材が多い。取り寄せるか、遠方の大きな店に行くか、通信販売業者から購入。それがちょっと後悔。

 

 部材の話ついでにもう一つ。水栓部材にはお母さんの父、二人にとってのおじいちゃんがくれた物を積極採用している。生前、施主施工をするという事で貯め残っていた物を一式くれたのだ。その遺志を、という大層な物ではない。おじいちゃんも同じだろう、余っているから使えば、という感じだった。

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 だが、これは結構有難い。知らない人は知らんだろうが、水栓ってそこそこ値段がする。日本国中至る所で目にする水栓だけに意識しないが、シンプルな物でも買うと千円札一枚では買えない。なので、公立小学校でズラッと並んだ水栓も、数次第で全部買ったら一万円は行ったりか。ちょっと良いところの店舗等の水栓に至っては、一つで一万円札一枚でも買えないだろう。国が違えば盗られているかもしれん。

 でも、貰った物は余り物。そのまま旨い事使える上物は少ない。それでも、数百円の部材を追加すれば使えたりしてやはり節約になる。おじいちゃん、有難う。