家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

開き直り配合

 この家に引っ越してから凡そ五年。本格的に施主施工が始まって凡そ四年。そして、最初の左官施工を行ってから二年強。この間、消極的には無数にあったが自らやるぞ、と成った事極僅か。カネが有るから、道具が有るから、材料が有るから、施工箇所が有るから、よりも大事なのはヤル気。幾度もこの事を思い知らされているお父さんは、今、珍しく左官にヤル気。この機を逃すまい。

 という事で、漆喰に続いて中塗仕上施工を実施。その前の下準備は行っている。

 

 まず、荒壁段階で終わっている元書院廻り等の既存壁や新設壁への大斑直しは当然。この大斑直し土で残ったネタは保存加工しておきましたよ。

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 んで、前回は省略したマステ養生を今回は行う。塗付基準線と言うより、左官施工に伴った木部の汚れ除去に苦しみ手間が掛かった事の反省から。

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 さて今回、中塗仕上土の配合見直しを行った。目的は塗り易さ向上と、それに伴うヒビ発生の可能性の抑制。もうちょっと詳しく書いてみる。

 今までの中塗仕上施工では、塗付ながら仕上げもするという部分部分塗り法にて行っていた。無駄に時間が掛かるものの仕上がりは許容範囲に持って行ける上、ネタの水を少な目に出来る、施工部が狭小ならば。しかし今回はそのニ倍や三倍の面積部、普通に半間壁が施工対象にある。部分部分塗り法では上手くいく絵が浮かばない。

 そこで、漆喰施工にて行った通常の全面塗り法をする事に。こうなると、ネタへの加水を増加、鏝で普通に伸ばせる程度にしないとお父さんには困難。そうなると、以前に実験施工した際のようにヒビが発生する可能性が向上する、と考えられる。

 

 これに対応する為に単純に考えられるのは、砂の加増。以前にも書いたが、これを避けたのは既存配合を変える事による構造上の疑問、並びに、土壁仕上げ面の強度低下。前者は、仕上げと言えども土壁断面に対する割合はそれなりにある為、多少の構造強度の低下が気になったのだ。後者は、日常使い、例えば服がこすれただけ等ちょっとした事で、砂が零れ易くなるような事を極力避けたい、と考えていた。これは漆喰仕上げを多くした理由でもある。

 だが、中塗仕上げのヒビの前では、そして前述の非狭小施工の前では些末な問題、と都合良く思考改変した次第。

 

 この配合変更に伴う実験を実施。追加砂は、均一的に細かい珪砂を採用。他の既存中塗仕上げ部に合わせる意味合いで、ちょっと白さが強まれば良いな、という目論見もあっての事。

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 既存、目測重量比10%増、同20%増、同30%増にて実験。結果はどれもヒビ無し、既存配合も。見た目の違いも分からん。実験施工面積が小さ過ぎたのか、下地が良かったのか、実験は空振り感が否めない。

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 ま、いいか。予定外の再仕上げで必要以上に材を使うのだから、水増しの為に30%にしておこう。それまでの既存配合を頑なに守ったのは何だったのか、と我ながら思う極端変更。