家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

多分、お父さんは世界基準での中道。

 続いて、薪ストーブ廻りの炉壁仕上施工。新建材下地漆喰仕上施工だ。

 

 まずは、上方の漆喰壁廻りの養生撤去。一体何年貼っていたのだろう、マステは。剥がすと木部も一緒に剥がれる始末。他、泥土や水にも幾度も晒され、すっかり汚くなってしまっている。清掃の上、古色再塗装。

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 さらに、上部見切材の棒瓦の固定材、木切れとはみ出し接着剤の除去。さらにさらに、マステ養生やらビス孔埋めや寒冷紗貼り。総じると凡そ1人工は掛かっていないが、施工期間自体は複数日に及ぶ。下準備が相変わらず長い。

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 さて、いざ本番。新建材下地への漆喰施工は、土壁下地施工に比べ数段簡単。現在のお父さんにとって何ら問題無しだわ。と思ったのも束の間、とんでもなく水引きが強い。鏝を動かしながら動揺。脳内フル回転。余裕と思っていた所からの急転直下、あまりの高低差で耳がキーン。

 

 原因はまず間違いなく、石膏ボードではなくケイカル板だったから。

 ケイカル板の現物を見たら分かると思うが、確かに表面は石膏ボードよりは水を吸いそう。でもそれは、表面の紙の素材の違いだけ。水回りには石膏ボードよりケイカル板推奨、とどこかに書いていた記憶もある。水に強い=水引きを起こさない、若しくは石膏ボードと変わらないと高を括っていた。

 実際は、石膏ボード施工時よりも確かに水を引いている。漆喰も見る間に水引きが起こっている。取り合えず出来る事、水を打ちながら一度塗りを終える事を目指してみる。しかし、とてもそこまで行けないし、行けても仕上塗りである二度塗りの際に目も当てられない事になる事間違いなしな雰囲気。

 

 ここで思考停止して一からやり直してみる事も何度も過ったが、鏝を動かしながら混乱もしながらだが、もう少し粘って考えてみる。

 土壁下地のような砂漆喰塗りが必要ではないか、そう思わせる程、新建材にしては相当打っても弱まる気配を見せない水引き力。砂漆喰の余剰分が多く無く、改めて練らないといけないかもしれない。そうなると相当厄介。

 水打ちだけの対処を行うとすると、多分、ケイカル版全体に浸透する程になるまで打たないと止まりそうに無い。それをすると、ケイカル板自体やビスによる固定強度は大丈夫なのだろうか。これを考えるなら、砂漆喰でやり直しても不安要素を払拭出来ないのではないか。

 

 砂漆喰使用も水打ち強化も消極的な思考になった所で出てきた案。それは砂漆喰粗仕上法。

 施工直前まで思っていた事があった。漆喰仕上のこの壁に薪が当たったりすると嫌だな、と。その為、瓦製役物で防護しようとしたが施工面や掃除面から断念。その浮いた費用で鉄製薪収納具を購入してもいいじゃない。いやいや、伝統構法大規模単独施主施工者のお父さんが、そんな軟弱な事を言ってはいけない。溶接等で自作してやろうじゃないか。

 そんな事も思っていた時がありました。自作に取り掛かれる頃、お父さんは幾つだろう。かなり先そうだし、そもそも面倒だな。そんな苦労をせずに商業と経済力に頼ろうかな。皆偉そうな事を言ってたって結局、世の中お金は大事だ、利用しよう、って人は数多いるよ。他人様の材と技術と時間を買う事の何が悪いんだってばよ。狩猟肉を食べるのが可哀そう、とかいう肉食や草食や穀物食人間と同じぐらいの矛盾だよ、それ。

 

 そんな右派と左派の思考のせめぎ合ったりしていた所で、この施工状態に直面。収納具は何かしら用意するとしても、それでもコツンと当たる事はあるかもしれない。その際、綺麗な漆喰面では悲しい事になる。しかし、砂漆喰だと欠けたりしにくいかもしれない。それに、もし欠けたりしても粗仕上だと部分塗りしても目立ち難く、誰がやっても何となく補修出来るんではないか。よし、これやっ。お父さんは中道だ。

 

 という事で急遽、施工法変更。不足気味の砂漆喰に、練った漆喰と珪砂を追加。容量を増してザックリ鏝塗り。お父さんとしては、それなりに仕上がった施工になったかな、と思っている。

 バタバタで施工した事で撮影失念。実物はもう見ているし、記録としては、後日の薪ストーブの撮影で分かり難いけど写っているから良しとしておくれ。