家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

蜘蛛の巣と設計

 現在の施工目的は、左官に備えた亜麻仁油塗装。南側縁側は達成。次はトイレ周辺に戻るが、ここで迷い発生。塗装を要する箇所である化粧木工事が全て終わっていない。それは、トイレ小窓の木枠部。

 

 かなり以前に書いたと思うが。

 窓があるトイレを所望していたのはお母さん。そこらの普通の家は嫌だと言いつつ、ではどんな家が良いのか問うても答えられないお母さん。しかし、「玄関広し」と「トイレ窓」だけは言っていた。この二点にしたって深い想いがあったりするわけではない。だが、二点だけが故に無視しづらく、お父さん自身も窓有りに越したことがないと思っていた事もあり、無理矢理計画したトイレ小窓。

 

 無理矢理感は、小窓への動線もそうだがそれ以上に、既存漆喰仕上土壁を部分撤去しないといけない点、これが最大。今の流れで塗装を先行しても、土埃で周囲の塗装が台無し、再美装作業となりかねない。なので避けられない、今考える。

 この小窓開口については後述するが、相当前から相当億劫に思っていた。こんな箇所は多々あるものの、その中でもかなり上位の億劫箇所。どうしようか、やるかやらないか、やらないで済まないかな、とか脳内で思考が長きに渡りウロウロしていた時。ふと見上げる。小窓前であり小便器設置位置であり、元収納で天井解体中にお金を発見し、今や勾配天井化している上方。そこに蜘蛛の巣発見。

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 なるほど、蜘蛛の巣が出来るか。出来るだろうな。無駄に高くて、かつ狭小空間だもんな。ここに照明が点くと尚更出来るか。その時に蜘蛛の巣撤去はどうすんだ。脚立は立て難いよ、小便器があるんだから。箒で落とすのも照明等でやり難そう。箒みたいな長い物をここで振り回すと、周りの漆喰壁を傷つけるんじゃないか。そもそも高頻度でそれをやるんか。おいおい、こりゃ良くないぞ。

 

 解体撤去した所に、天井を再造作する事にした心情は分かるだろうか。それはそれは大きく嘆いたさ。けど、箒の柄で漆喰を削ってしまった際の阿鼻叫喚具合を想像すると致し方なし。やりたくない窓設置工事は後回しにし、やはりやりたくない天井再施工をする事に。

 

 漆喰仕上げにする為に中塗りまでしマステを施していた「元」天井懐の「元」が取れる事になった為、まずはマステ剥がしから開始。天井廻縁撤去後の柱部にした埋め木も撤去。その廻縁材や桟材は今はもう見当たらず、再製材再加工して設置。あぁ、楽しくない。

 天井再設置に伴い、検討していた照明設置場所は自ずと決定。支持材として床捨て板を天井板裏に取付の上、電線管を敷設。

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 天井板は解体時に割れたりしたので、他居室の天井板材をこれまた再加工。木の焼けと言うのか、桟の跡が付いている。この跡に当天井の桟に合わせるとなると、天井板を大いに無駄にしてしまう。そういう事もあり、また周囲との兼ね合いもありで、天井は亜麻仁油古色塗装仕上げとした。あぁ、勿体ない。手前部の天井板は固定せず、裏に石を載せた状態にして完成。

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 これら「元」を外す為の人工数は、確か2人工前後だったと思う。その前の、天井懐部を「元」にする為の処置を合せると3人工は超えているんではないか。設計段階で蜘蛛の巣を予見出来ていれば、天井再施工をせずに電線管と塗装だけで済み、2時間ぐらいの内容だろうか。材料も時間も無駄にした。改めて、物事は「実行」よりも「計画」が最も大事と痛感するお父さん。