家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

徒労感がヒドイ

 城かべ漆喰を本格採用する為には、既に大量購入済である漆喰をどうするかに依る。まだ未定という事もあり、この漆喰の初期ヒビ実験は継続。実験と言っても、今までみたいに壁一枚にての施工の実験と兼ねず、配合だけの実験。よって、一部分だけに塗る事にした。これで材料の節約だけでなく、塗付やこそぐ時間と労力も節約、下地壁の損傷も最低限だ。

f:id:kaokudensyou:20170719191208j:plain

 

 この配合実験にて、やはり先生のスサ配合に準じないと無理だと確定。糊については、お父さんの左官技量次第で多少の余地はありそうだが、あまり少ないとこれまた無理。

 という事で、スサと糊が大量に要する事も確定。よって尚更、化学製品は入っていない本式の既調合漆喰品の採用を是が非でも、と思うに至る。

 

 考えて考えて。悩んで悩んで。で、ある日思いつく。使い分けをしようと。

 面積当りの実質使用量は大体判明した。そこから計算すると大量購入済漆喰は、大量購入だけど全くの不足。購入時にはちょっと余る計算だったが、この誤算は、参考使用量の前提は新建材下地であった事、それにお父さんの技量に依る事も大きいのだろう。

 

 そこで、見積時に算出している土下地と新建材下地の壁面積から必要量を再計算。

 水引き力が弱いであろう新建材下地には、砂漆喰を用いず上塗りだけとする。石膏ボードに水引きがありそうな下塗りを施した上で、砂漆喰をまず塗付る先生の施工法とは違う。理由は後述。で、購入済漆喰は新建材用と確信してその通りにすると、同漆喰は新建材下地壁だけで消費されてしまう。ならば、土下地壁には、砂漆喰として使うとヒビ要因になっていない購入済漆喰を用い、上塗り材には既調合漆喰を使えば良いのだ。

 よし、いける。スサ糊の大量追加購入は嫌なのに、材不足による漆喰自体の大量追加購入は良しとするのはこれ如何に。

 

 非常に長々と書いて来た。この後、引き続き配合追加変更等は模索するも、取り敢えず以上が漆喰塗りの材料編の大まかながらの答え。

 材料の配合割合や、製品による違い、そして下地壁による使い分け。他にも、配合実験には全面では無く部分塗り方法の優位性。これら、答えを知っているのと知らないのでは大きく違う。知っていれば諸々相当相応の節約が出来たのに、かなり遠回りになってしまった。

 この事で得られた物は、今後のお父さんにとってどう役立つのかは全く見えない。年齢的にも本施工が施主施工最後の予定であり、どなたか奇特な素人の方の施主施工を指導したり教授してあげる予定もないし、あったとしても本職に比べれば中途半端で役不足だろう。責任が持てないので勧められないし。

 そんな諸々から、達成感よりも徒労感が上回る。これぞ、自然素材を主とした伝統構法家屋における単独施主施工、と虚無な称号を冠して開き直るだけで今は精一杯だ。

 

 それにしても、初期ヒビ抑制は勿論ゴールでは無い。ようやく漆喰施工のスタートに立ったに過ぎない。

 それに、材料編だけでなく施工編に関しても遠回りをしてきたもんだ。部分塗り法から全面塗り法へ。漆喰用道具の追加もあった。また、大きな事は乾き斑に対応する「こなし」工程なるもの。この「こなし」という単語は、以前に目に入っていたものの脳で受け止めていなかった。関係するとは知らなかったのだ。先生により、「押さえ」の前に「こなし」が重要である事を初めて認識した。ま、実際にすると、これがまた悩ましいんだなぁ。