家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

「城かべ漆喰」という材の考察

 九回目の砂漆喰調合をとちってしまい、水引きを抑えられなかった。こうなると、翌日の指触乾燥後にはヒビ割れが乱れ散っているだろうな。と思いきやヒビが見当たらない。初のヒビ非発生という事だけでなく驚いた。

 という事で、無理矢理仕上げた具合は綺麗ではないものの、こそがずに行く事にする。甲乙壁も、ヒビがあるけどまず見る事は無いだろうからとそのまま。もう甲乙丙壁から脱したくて仕方が無かったのだ。どれほどの仕上がり具合か気になるなら実物を見て頂戴。だけど、出来れば見ないで頂戴。

 

 甲乙丙の練習壁からの脱出、と言っても練習や検証は続く。次は、丙壁の西隣であり、薪ストーブ直上垂れ壁。面積は甲乙丙壁よりも大きい。

 砂漆喰の上、上塗り二回にて塗付。砂漆喰の糊量はとちっていないにも関わらず、やはり水引きが早く感じる。使用している糊が弱い物かもしれない。押さえに四苦八苦しながらそんな疑いが新たに生じたが、出来上がりにはヒビが見当たらない。一体何故なんだ。

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 これら二壁に使用したベンチマーク漆喰。商品名「城かべ漆喰」という既調合品を選定した。大量購入済漆喰のように自分で混ぜるのではなく、紙袋の中に既に全部が混ざって入っている。  種類は幾つかあるが、お父さんが使用したのは普通等級品。

 

 同品に対して、日が浅いお父さんでも思ったのが塗り易さ。正確に言うと、購入済漆喰に入れた糊の粘着力による塗りづらさより塗り易い。遥かにサラサラしている。練ってみた時に思ったのがその白さ。砂漆喰や購入済漆喰上塗り分は、材は勿論で上澄みの水さえ糊の色が出ている。同品は糊が少なそう。

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 という事はスサが多いんだな。だから初期ヒビが起こっていないんだな。元々、同品をベンチマークとしたのは、そのスサ量を把握して購入済品に反映させようと目論んだのだ。そこで、粉末状態で軽量した上で篩いに掛けると、そのスサ配合割合は予想に反した低さ。

 

 何故だ。糊もスサも少ないのに初期ヒビが起こっていないのは、何故なんだ。お父さんのそれまでの参考配合比、それに先生や他サイト記載のそれらと比べてスサがかなり少ない。

 糊が多いと材の鏝離れが悪くて塗りづらい。その為にはスサが要る。そのスサはヒビ防止にも大いに寄与する。よって、優劣や先後ではなく糊とスサは両輪のはず。下地段階で水引きを理想的に抑えられると、糊は少なくて済み、スサも少なくて済む。

 だから解決、とはならない。下地壁が土、同程度配合の砂漆喰による下塗りというほぼ同じ条件下で、先生の配合よりもかなり少ない状態での購入済品だとヒビが入った。そのスサ量よりも少ないからだ。

 

 そこで、読み流していた単語がふと気になる。城かべ漆喰の販売サイトにての、含有品目の記載種目だ。相変わらずメーカーの公表内容は未発見。各種販売サイトでは、主成分としての水酸化カルシウムの記載はあった。しかし、件のサイトにはそれ以外に「炭酸カルシウム」とあった。

 水酸化カルシウム、所謂消石灰は、二酸化炭素を吸収して炭酸カルシウムという、石灰石となって安定するらしい。そう、炭酸カルシウムは石灰石という鉱石。それが粉末化されて含有しているという事は、これが骨材となっているはず。調べてみると、これはどうも普通に行われている現代製造法らしい。

 

 化学変化が全粉末に及ばない、というだけでヒビ要因が低減されているんじゃないか。先生の材料作りは消石灰100%。購入済品も、販売業者の性格からして同じ可能性がある。なので、購入済品とベンチマークとした「城かべ漆喰」の糊スサは比較できないのではないか。あぁ、なんだよ、ベンチマークにならないじゃないかよ。

 

 さて、「城かべ漆喰」をどう考えるか。

 「本漆喰」の定義をしている記述に、消石灰と植物繊維、それと海藻を炊いての糊だけだとするものがあった。それが強固な漆喰になるのだと。粉末海藻糊を用いる購入済品も城かべ漆喰も、この定義だと「本漆喰」とはならん。

 ただ、ちゃんとした「漆喰」である事には違いない。メーカーと販社と左官職による協会の「漆喰」の定義には入る。現時点で城かべ漆喰メーカーが協会会長だから、とはやっかまない。硬化後、スサと糊残骸分以外は全て石灰石になるのだから疑問を持たない。

 そして、同品は高くない。そして、施工性が良い。何より、ヒビが起こりにくい。じゃぁ、使いたい。とっても使いたい。

 

 本施主施工の大きな指針である建材耐久性。これについて同品は如何様か分からない。本漆喰は強いとする文言は、強度試験等の実施をした上での事かもしれない。しかし、強度と耐久性をイコールとしないなら、こればっかりはまだ誰も分からないんじゃないか。本漆喰以外の漆喰の歴史が浅いからだ。一方、強度があれば良いか、ともならんのではないか。硬い物が壊れやすいのは世の常で、柔軟性がある方が良い場合は多い。

 また、これを読むだろう子孫でも分からないのではないか。既存漆喰は竣工期からして本漆喰だろう。本施主施工にてそれは幾らか残る。それと既調合漆喰を比べてもだ。何故なら、不具合が生じても施工者がお父さんであるからだ。条件が違い過ぎた比較を当てにしてはならん。

 

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