家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

腹立だしい準備不足例

 さて、左官先生のDVDを発見する直前、スサ量の疑いを晴らす策を考えてみていた。それは、本職御用達既調合漆喰を実際に使ってみる事。

 スサの不足疑念は99%の確信を持っていた。本職動画にて、鏝板や壁に塗り付けられている材の具合を何度も繰り返し観察。購入材よりどうにもスサが多そうに観えるのだ。但し、所詮はインターネット上の動画、100%とは言い切れない。

 そこで、一番確かな情報が多いと判断した漆喰を買いに走る。特段スサ等を追加せず、国宝にも使用されたりするらしい本職御用達既調合漆喰。これをベンチマークとして、手元にある漆喰添付のスサ量を検証してみようと考えた。

 

 すぐに実験したいと、思しき建材店や大きなホームセンター巡りを実施。一度見たような記憶があっての事だが見当たらない。何なら建材店が廃業してたりするし。

 致し方が無く通信販売品発注。即日発送でない上に土日を挟んだ事もあり、思い立ってから練置き期間が終わるまで7日。スピードの時代とかビジネスの世界では言われていたりするようだが、お父さんとは隔世の話だな。

 

■同第九回目:練習漆喰面をこそがした丙面

〇主目的

ベンチマーク漆喰の具合調査

・今後の必要材の算出

左官先生動画の実践

〇施工方法

・同漆喰による砂漆喰とそのまま上塗材として使用

左官先生動画準拠

 

 結局は先生により配合問題は解決したものの、まだ未実践。先生の言う通り、漆喰施工は材作りが最も大事という言をお父さんレベルに落とし込むと、配合によりヒビが起こらないかを体感したい。

 

 今回も新たな左官道具を追加。泥土の時は何とか誤魔化せていたが、漆喰になると不便を痛感した物に柄杓とブラシがある。

 それと、チリに付いた余材を取る棕櫚箒。お父さんが見た左官職が使っている箒はススキ製。今は春。ススキは無いだろう。としても棕櫚からまた自作する元気は流石に無い。千円以下だったので棕櫚箒を購入。ただ、そのままではススキ製に比べて使いづらそうな見た目。よって、自分なりの加工と仕込みだけはしてみた。

 さらに、笹葉鏝という物を購入。DVDを観る事が出来たなら分かるだろうが、チリ際に使っていた小さな鏝だ。後は、バケツやら雑巾やら、出来得る限りで先生の施工状態に近づけてみる。チリ用にはさらに後日、小さなステンレスの仕上用っぽい鏝を追加購入したけども。

 

 この練習実験にて、今後の漆喰、そしてスサや糊の必要推量を算出もするつもり。購入済漆喰の購入当時の割引価格でさえ、kg当りはベンチマーク漆喰の1.5倍程もする。スサや糊が少ないくせに。別途それ副資材を先生の教え通りに購入すると、トータルで2倍は裕に超えそう。現在単価なら凡そ3倍以上で頭を傾げてしまう。

 ベンチマーク漆喰の存在自体は、漆喰探しの最中に知っていた。その際にスサや糊の素性が分からなかった事から、素性が分かっているが高い、それはそれはもう高い漆喰を割引があるからと大量購入してしいた。改めて検索した事で成分や素性も分かり、スサや糊が多そうだと見立てる。後述するが、同漆喰の成分は全部分かっていなかったが。

  無駄金を使ってしまった事は同品の販売業者の所為ではない。しかし、無性に何だか腹が立つ。よって、出来得る限り追加出費は抑えたい。その為の実験でもある。メモ用具と電卓も計量具も用意。

 

 準備万端、いざ実践。緊張するも、これを越えれば本施工最大の歓喜具合更新の予感。

 まずは砂漆喰調合だ。ベンチマーク漆喰にはその為の配合が販社情報から把握しているので悩まない。しかし、実際にそれを塗付けるが即座に尋常じゃない水引き。でも大丈夫。こういう強い水引きの場合の配合も把握している。水引きした砂漆喰をこそいで再塗付。

 

 しかししかし、何だか先生動画と違う感じ。いや、お父さんが作ってきた購入漆喰品での砂漆喰よりも水引きが強い感じがする。砂漆喰塗付終了時には、既に上塗りのタイミングを逸しているのが分かる。急いで塗付るが時既に遅し、すぐさま水引き。塗付時には事前の歓喜予感が外れた事を覚悟。

 その後の工程も、遥かに困難かつ上手く行かず。終始気がせって汗が滴る。おかしい。この家の土壁がスペシャルな吸水力を持っている、とかではないだろうし。

 と、施工後に確認すると砂漆喰への糊量が間違っており、3分の1程しか入れていなかった。何やってんだか。自分に一番腹が立ったわ。