家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

素人施主施工における伝統的工法志向症候群

 八回目を終えた。使った漆喰は15kg程。他、珪砂もスサも糊も結構使った。金額にして凡そ一万円は行っただろう。一回目から八回目までの人工数は不明ながら、開始してから三週間程経過。

 

 さらに、省略してきたが漆喰をこそぐ事に限界が出てきた。

 下地の中塗土に砂漆喰は良く引っ付いている。それは良いのだが、その分こそぎにくい。よって、甲乙丙面程度の面積でも所要時間は一時間強を要する。体力的にだけではなく、前進の為とは思い難い破壊は精神的にしんどい。

 問題はもう一つ、下地土もこそいでしまう事。凸凹させてしまっているのだ。下地が悪くなる事はよろしくない。凸凹させるとその分、引き糊材である砂漆喰の塗厚がまばらになる。引き糊材がまばらになれば、より一層乾き斑になるかと思われる。

 

 もう、疲れた。片や、同志と思っていた巷の施主施工の方々や一部の本職は、化学の力でどんどん進んでいる。素人のくせに伝統的工法を志向した罰なのだろうか。左官の神様は、化学的施工法等は不問とされつつも、素人には分をわきまえよとおっしゃりたいのだろうか。どうなんだろう。メダカちゃんに聞いても分からんわな。

 ふむぅぅぅん。神様や他人様の所為にしてみても一向に前進しない。そんな事は分かっとるわいな。弱音とかを吐く事で精神バランスを保っとるんや。何時でも何処でも誰にでもこんな事言わん。施主施工で鬱病になったりでもしたら洒落にならんから、メダカちゃんにだけ聞いてもらってるんや。

 

 過去最高に病んできた自覚があるのに、引き糊を知ると今更シーラーを使う気に未だなれない。本職が向こうからやって来てくれればお願いしそうな気がするが、自分で探す気力も起きない。真面目だけど疲弊して気力が無くなっているのは危険信号。しかし、教えを請う気になったのでまだ救いがあるぞ、俺。

 

 素人左官の先輩、探検さんは左官教室に行かれた事は賢明だ。以前もだったが、今の方が遥かにそう思う。この行動の真似ぐらいならお父さんにも出来るぞ、と検索。

 しかし、見付から無い。常時開設している教室は漆喰販売業者主催によるもので、自社製品の顧客向けとの事。そりゃそうだろうな。販促活動であり自社取扱製品以外だと物が違うかもしれんし。そもそも土下地の教室は皆無だ。古民家改修ワークショップというようなものだとこれに適うものがあったが、時期限定でとっくの昔に終了。そりゃそうだろうな。左官の神様に好かれていないから運も無いし。

 

 そんな血眼になっている中で、一つの記事と動画に触れる。左官施工会社の方により、左官技術の伝承を目的として記録映像を作成。これを若手育成に使おうという試み。素人門外漢のお父さんでさえ、左官は宮大工のような限定的かつ伝統的工種になるのではないかと思うのだ。業界当事者である、熟練職人の方やら経営者やら建材業者やらの中には、危機感をお持ちの方が多いのかもしれない。

 それにしてもその記録映像、お父さんも欲しい。欲しい、欲しい、欲しい、あぁ欲しい。