家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

左官鳥との根競べ

 ところで、春真っ盛りのこの頃、今年もやって来た。ツバメが。糞害に憤慨した事により、転居時にあった巣は撤去済。これで来ないかも、という期待は大いに外れ。

 

 巣を作り始めた時点で壊してやる事にした。人間が恐ろしそうなだけでなく、実際に危害を加える生き物だと解れば寄ってこないだろう。そう思ったが、翌日にはまた作り始めている。

 ああ、そうかい。ならば根競べだ。と毎日毎日、日に何回も破壊神として熊手を振り回すお父さん。

 

 門屋は糞まみれにはならないものの、泥と藁だらけ。手間も掛かる。それに、流石に心苦しくなってくる。産卵期を逃さないのだろうか。一度決定すると、別の場所に変える事はしない生き物なのだろうか。

 という事で、ご近所さんの真似をして短冊状の紙片を垂らし付ける事にした。これは効果があった。ツバメの巣作りが止まったのだ。相当戸惑っていたし、これで諦めるだろうと安堵。

f:id:kaokudensyou:20170528124239j:plain

 

 がしかし、数日後には再開。短冊を無視してその上に泥藁を付け始めた。破壊と構築の争いを再開するが、ある日、巣作り予定地直下の地面に割れた卵を発見する。巣が全く出来そうにもなっていない段階で、我慢し切れずに産卵してしまったのではないか。

f:id:kaokudensyou:20170528124250j:plain

 

 この卵事件前から葛藤が生じていた。

 ツバメは、泥と藁と唾液を用いて、自己の能力で巣を造ろうとしている。そして、そこで子育てをしようとしている。片やお父さんも、泥や藁や漆喰や砂や糊やスサを用いて、自己の能力で家を造ろうとしている。そして、そこで子育てをしようとしている。同じだよな。左官で苦労するお父さんは、頑張って左官をしているツバメ夫婦との闘いに焦燥し始めていた。

 

 そこに来て、ツバメ夫婦は卵一つを失ってしまった。これはアカン。ツバメのように行動が一直線ではホモサピエンスの名が廃る。思考の因数分解だ。

 お父さんが嫌なのは糞害。それ以外の鳴き声や泥藁や飛来行動は構わない。お母さん等は、飛来して来るのを怖がったりしているが、平日昼間に居ないから土日だけ我慢すれば良しだ。という事で、糞害さえなければ巣作り子育ては良しだな。

 

 そういう事で、予定地に糞落下防止板を設置した。

 りょうすけに尋ねられたのでトイレだと答えると、ツバメはトイレが家なのかと言う。それも良しだ。ツバメが糞を落とせない事で諦めれば良し、板がカラスの足場になる事を恐れるのも良し。後はツバメ次第とする。

 ちなみに、後日暫くしてこの板の上の、しかもわざわざ端に巣作りを開始。端だけに糞を落としてくるかもしれない。だが、今年はこれで諦めよう。この根競べはお父さんの負け。

f:id:kaokudensyou:20170528124259j:plain

 

広告を非表示にする