家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

我流への大後悔

■同四回目:練習漆喰面をこそがした乙面

〇主目的

・部分部分塗り法から本式に

・糊スサの追加調合による検証

・本職用中塗り鏝、及び仕上鏝の使い処検証

〇施工方法

・見様見真似の全面塗り

・砂漆喰による下塗り(本職用中塗鏝)、及び漆喰による二度塗り(仕上鏝)

・下地の接ぎ部への寒冷紗張り

〇所要時間

・各塗り毎に凡そ12分強

 

 本職動画を踏まえた事、まずは寒冷紗。砂漆喰による下塗りをする前に、下地土の接ぎ部に砂漆喰により埋め込んでおく。下地によるヒビ割れ防止効果を狙ってみた。本職はガラス繊維を使っていたりするそうだが、そこは強アルカリ性に強く無い綿の寒冷紗で手を打つ。

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 材の調合に関しては、練習の都度に増えていき、スサと糊共に購入時の倍となった。

 

 そして施工。何故か温存していた本職用中塗鏝をここに来て投入。

 水打ちに関して見つけた唯一の本職動画では、噴霧器でチョロチョロと一回だけっぽかった。その本職の方は、施工後にもう少し水をやっておけばよかったかも、との感想。水引き対策には、やはり過剰な水打ちではないという事は確認出来た。今回から二回に戻す。

 塗り方は、部分部分の小さな鏝動きから縦横無尽に変更。かなり久しぶりの動かし方。兎に角速さを意識したら汗がじんわり。部分部分塗りをしている時とは消費エネルギーが違う。そして結果は凡そ12分強が最速。最後の漆喰上付で15分弱。平地のやり易い所だともう少し早かっただろうか。

 

 部分部分塗り法のお父さんと本職との時間差、そして四回目の高速化の事を聞かされたお母さんはそれぞれに驚いていた。前者の驚きはお父さんもそうだったので確かに分かる。だが、後者の高速化は、お父さんが上達したとかではない。ただ、遣り方を変えただけ。誰でもそうなる。

 と言うのも、この練習施工直後、たまたま素人の方の動画も拝見した。その素人施工者の方は恐らく左官は初めて。そして、石膏ボード下地への漆喰塗りに要していた時間は、同面積換算で恐らく12分~14分程。

 

 これ、正直言うと非常にガッカリした。お父さんより鏝の動きはぎこちなさを感じ、チリや鏝の汚れ方も悪いかもしれない。しかし、お父さんは今まで何十平米と左官をしてきた経験差に対して同じ様な所要時間。この事実の前ではそんな未熟さは誤差だ。

 マラソン選手を真似ると救急車確実、だけど初挑戦で好タイムを狙うとして編み出したのは、100m毎ダッシュ法。100m12秒で走り10秒休憩。これを422回繰り返す。まぁ、多少は余裕を見ても、フルマラソンを2時間台で走られる。初心者としてはとんでもなく好タイムにて完走だぞ。

 みたいな机上の頓珍漢な自己流の方法でしてきた事等により、左官経験値を上げられていなかった事がハッキリした。左官経験値は本職歴にすると六か月ぐらいであり、昨日今日親方に弟子入りしたばかりの子よりは上手いかも、と思いきやそうでは全く無い事と、そう思っていた恥ずかしい自分にガッカリしたのだ。

 

 しかし他方では、練習四回目施工の塗り面の結果には非常に歓喜した。ヒビが大いに改善されていたのだ。

 施工当日はヒビが見当たらなかった。翌日にも見当たらず。この間、お父さんは口や態度に出していないつもりだが、内心は安堵感と共に胸が湧き立っていた。本施主施工で何回か近い事はあったが、この時は五馬身以上の差で圧勝。翌々日の写真判定でその差は縮む。ヒビが出たからだ。

 しかし、前回までの無数と違って数える程にまでなった。今までの暗闇に出口らしき光を感じられたようであり、紛れもなく万馬券的気分。

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