家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

品質確保、凡そ数十分

■実験及び練習一回目:甲面

〇主目的

・まずは漆喰というものを塗ってみる

〇施工方法

・水道直結噴霧器による水打ち三回

・砂漆喰の上、追っかけによる仕上漆喰(共に厚寸適当)

・部分部分塗り法の上、「押さえ」実施

〇所要時間

・砂漆喰、上塗漆喰、各々凡そ一時間。

 

 とにかくやってみよう、という心持ちでの施工。実施面は、既存のねずみ色の漆喰仕上げをこそいだ甲面。

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 それまでの泥土左官での水打ちは二回。水が引いてから再度水を打つ、としてきた。しかし、新建材壁下地への漆喰施工経験者の探検さんによる、土下地の水引き警鐘はここに来て過去最大の音量で鳴り響く。よって多めに、さらに一回増やして水を打つ。下地土に既存と新規との水引き差はあるものの、これにて土下地の水浸透寸は凡そ5㎜強。

 

 下塗りとなる砂漆喰は、その物の塗り厚よりもマステ基準を念頭に、不陸調整を意識しながら置いてくるように塗る。全面塗り終えた時点で、塗り始め箇所の水気は見えず、触ってもほんのり湿っているかという程度。

 よって、砂漆喰に軽く水を打った上で、かつ道具についた砂漆喰を洗い落とした上で、上塗りの漆喰塗りを実施。砂漆喰と同じく、上方から綺麗さと平準さを心掛けた仕上げをしながら段々に降りてくる、部分部分塗り法による。炭化コルク下地に施した石灰モルタルにて同様の方法で塗った際、先に塗った箇所と後から塗った箇所の材の重なり部は馴染まずに盛り上がったりした。砂漆喰でもそのような事が起こったが、漆喰ではこれが特段起こらず。

 塗り終わった直後、残った鏝跡を消しつつ全体を鏝で「押さえ」てみて終了。

 

 ところで、素人と玄人の差は何だと思うだろうか。業種等により違いがあるかと思うが、ここで言う所だと建設施工の玄人ではどうだろう。素人の判断基準だと見た目が最たるものではなかろうか。竣工後のクレームで最も多いのは汚れや傷のようだ。普通の建築ド素人の判断能力は、それぐらいしかないから仕方が無い。しかし、それは一面に過ぎずで他にもっと大事がある。例えば使い勝手、例えば強度、例えば寿命等々。ここまで読み進めた二人ならば、想像は付くだろう。

 

 竣工後十年以内は不具合等が起きないように、という法律が少し前に出来た。工種にもよるが、尊敬に値する真の玄人はたかだか十年ぽっちの視野で施工をされてはいない。

 なのに、そのような法律が出来た一因は、もっと短期間で問題が出る不良施工があるからだ。竣工直後は綺麗に仕上げてさえおれば、代金決済を経て引き渡してしまえる。その後暫くして出た不具合等に対する施主の訴えがあっても、のらりくらりで逃げ回る輩がいる。大手零細関わらずだな。物が物だけに個人にとって被害規模が大きい場合がある。よって、見た目で欺かず、ほんの十年ぐらいは諸々ちゃんとせえよ、それ以降は知らんけど。と、そんなお上のお達し。

 

 素人のお父さんの初漆喰施工は、事前に思ったよりはまあまあ綺麗に出来た。少し漆喰をこぼして木部に付けてしまったり、ちゃんと塗られていない箇所が出来てしまったり。それら含めても、漆喰あれこれの不安等は何だったんだ、拍子抜けだぜ。

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 と思い耽った一時間後。いや、数十分後だったか。漆喰面にヒビ発生。時間と共にその数は増加、かつ全体的。

 綺麗さが維持出来たのは、十年間どころで無く数十分間。引き渡すも何も、その日の仕事が終わる前にもう不具合。目の前の壁以上に頭の中が真っ白い。

f:id:kaokudensyou:20170528104521j:plain←こんなのが無数

 

 素人でもそこそこ綺麗には塗れるだろうが、不具合や強度等に対しては素人では手に負えないぞ、と玄人らしき人の言。中年から若手の玄人複数人に比較的見受けられた、未熟な人間や一般素人に対する嘲笑。誰ともしないながらその顔が浮かび、何だか洗礼を早速受けた感じがする。

 

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