家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

足場資材が欲しい

 もういい加減に高所作業は嫌だ。お母さんならずとしても高所作業が続くとそう思う。今から考えると、足場材を幾つか購入していても良かったかもしれない。施工が進む程、使用箇所が減ってコストパフォーマンスが減っていく。どうしよう、現段階で真剣に検討してみようかなぁ。

 

 と思う高所作業がまだ続く。美装作業の後半、塗装工程。清掃以上に面倒。

 先に触れたが、基本的に既存塗装部は柿渋古色。さらに、昨今の配合色とは違う初期色。日が当たりにくい天井部を基にした色は、元々のこの家にある色よりも濃くなっている。イマイチだな。

 この柿渋古色部に煮亜麻仁油を上塗りする。柿渋古色を止めた理由であるマット感を抑える為だ。それにだ。今回の清掃で改めて思ったが、柿渋古色に水拭きはイカン。古色が取れてしまいムラが出兼ねない。既存古色は柿渋古色では無いのではないか、として亜麻仁油古色を試みたわけだが、やはり推理は正解だったと自信を深めた。

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 一応、木材自身の油により柿渋古色でも油膜が出来たのかも、という可能性はまだ持っている。しかしだ。やはり柿渋古色を乗り越えて表に木油が綺麗に一面に出てきたとは思い難い。普通に考えれば、既存木部は古色塗布時にか後にか油分を施されたと思う状態である。

 一体何故、柿渋古色が唯一解のようにインターネット上で謳われているのだろうか。謎でしかない。美しさを求める所は尚更だが、絶対亜麻仁油古色が良いに決まってるじゃん。現代の柿渋と亜麻仁油の価格差を考えても割が良い。お父さんのような費用と手間を無駄にする人が今後は減るように、柿渋販売業者のプロパガンダに亜麻仁油等販売業者の方々には負けずに励んで頂きたい。

 

 そんな亜麻仁油心棒者のお父さんは、将来の清掃に備えても油膜を施しておきたい。古色にしないのは、さらに色が濃くなる事を避ける為と単に顔料が勿体ないからだ。

 

 素の亜麻仁油だけでは無い。木素地状態である、竿縁天井撤去による埋め木、並びに長押を新たに亜麻仁油古色を塗布。また、清掃により柿渋古色が薄まった箇所や、既存部で色が合わない箇所等にも追加的塗布を施す。木素地部には二回塗りを施す。日を少し置いたその後、亜麻仁油亜麻仁油古色部をカラ拭き。ここまでで3人工程を要しただろうか。

 そして、梁束梁貫板材を設置。この仕様に変更した事で、一体何人工を追加したのだろうか。このお蔭で中塗土仕上の不具合が出ない事になれば良しだが、お陰かどうか分からないのが一番良しなんだな。

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 ところで、特に亜麻仁油ではそうだが、ちょっとした箇所の古色塗布には古靴下を用いている。ホームセンター商品だからか施工者の腕前が悪いのか、粘度が弱い亜麻仁油亜麻仁油古色は、高所を刷毛にて塗布すると他の予期せぬ所に滴り落として面倒な事になり兼ねないのだ。

 作業用靴下から出る古靴下は、安物を買っている所為なのか徐々に増えていく。それが特に塗装作業だと重宝する道具になる。雑巾だとこうはいかない。雑巾はまずデカ過ぎる。さらに、そこらに売っている購入品の雑巾は、これまた安物を買っている所為なのか、尋常じゃないぐらいすぐにボロボロになる。勝手に想像するに、漂白の為とかで繊維に良くない薬品を使っているんじゃなかろうか。雑巾と言えばやはり古タオルを縫った物が良いのだが、先述通りに塗装では意外に使い勝手が劣り、そもそも勿体ないし。

 

 こんな細かい話を書くのは、塗装作業は最も施主施工に適した工種であり、二人や子孫が行う可能性が高いと考えているからだ。又は、せざるを得ないだろうからだ。そこらの塗装業者に依頼しても対応してくれないかもしれない。若しくは、対応させる為に結局は施主が奮闘しなければいけず、それなら自分でやった方が得だと考えるかもしれない。

 

 大人を動かすのにはお金が掛かるもんだ。塗装施工者にたとえ半人工だけ仕事をしてもうとかでも通常は万円単位を要する。その人が古色に精通しているようならお値打ち感があるかもしれない。しかし、多分そんな粋な人は容易に見つからない。お父さんの手記を踏まえて大したことが無いのだと説得したとしても、知らない材量で施工をする事に後向きな施工者は多い。そういう人を説得する労力は負担で結構面倒だし、施工責任は負ってくれない可能性も心得ておく必要があるだろう。一方で、無責任な施工者が安易に引き受けて問題になる事がままある。この手の事は一様ではない。

 そんな当たり外れがあるややこしい事に悩むぐらいならば、ちょっとの材料費で休日に家族で頑張って塗る方が、経済的にも精神的にも余程健康的。一から施す状況でないからお母さんのように大変でもなく、そもそも口うるさいお父さんはいない。難易度は高くないし、材量は多少口に入っても良しな安全な物で、匂いは焼魚っぽいだけで我慢の許容範囲内でしょ。さぁ、どうよどうよ。

 と考えると、金属製かの足場を買っておいても良いような気がしてきたなぁ。