家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

平成28年のお母さん

 一番変化していないお父さん自身は除くとして、二番目に変化していない一番身近な家族のお母さん。

 

 と言っても、お母さんそのものは変化していないが、お母さんの廻りは大きく変化して行っている。日本の産業界において最後の楽園と思われていたお母さんが働く業種。それも今は昔で、国の政策の影響をもろに受け末端のお母さんその煽りは相当なもので厳しいらしい。会社は人減らしに躍起、能力が低いと見なされた人への肩たたきの嵐。そんな中、お母さんには昇進話がまとわりついているらしい。

 お母さんは自身の事には脚色したり話を盛り気味な人。それでもどうやら本当らしい。お母さんが勤める会社は所謂、東証一部の大手企業で従業員数は万単位。しかしながら、お母さんの職種での管理職は一人か二人か。いや、もしかしたらいないのだったかな。

 

 フェミニストと言われているが、その実体は単なる男性差別主義で理路整然としていない感情論者の独身おばあさん識者が日本に生存している。彼女は日本社会は未だに男尊女卑だと吠えている。専業主婦は男の奴隷で可哀そうな存在らしい。

 専業主婦云々はさて置き、お父さんが思うにそれは確かに事実である。一方で視野狭窄で一面的な見方だ。アラブ地域は特にだが日本でも歴史的に、女性は守られる存在であるという考え方はある。西洋のレディファーストもだな。これを無視して黒人奴隷制度と同様に捉えた感にて吠える事もあって、その識者はあまり共感を得られていないっぽい。少なくともお父さんは彼女に反吐が出る。

 

 そもそも女性側も皆が皆、社会進出を望んでいるわけでもなかった。しかし、時代は変わる。世間体や結婚相手探しや結婚までの為の腰掛就職ではなく、本格的に社会で働き続けたいとする女性は増えていく。その声なき声や条約や何やらで、昭和61年に男女雇用機会均等法が制定される。この法律は、当時の労働省事務次官によって抜擢された女性官僚を中心とした女性多数のチームによるものだそうで、当時としては異例中の異例だったそうだ。この女性官僚は、後に女性初の事務次官に就任されたと記憶している。流石は均等法を作った労働省。先進的な同省程ではなくとも、法制定後は女性の社会進出は進む。

 

 その法は女性の働く権利を守る事で、生き方の選択肢を担保すると見る事が出来るかと思う。そこから時はまた遷り平成28年、安倍晋三政権下にて女性が活躍し易い社会構築が謳われている。女性は、守られる存在から選択する事が出来るようになって来て、現在は求められる存在になった。女性の選択権の充実の為とか言うよりは、国力の維持向上の為かな。業種にも選るが現代日本は人手不足、能力不足なのだ。そういう時流もあって男ばかりのお母さんの会社にあっても、お母さんの昇進話が出てきているようだ。

 

 時流だけでなくお母さんの年齢も要因にあるかもしれん。閉経したら出世した、というテレビドラマのセリフがあった。女性の進出が長らく遅滞しているのは、女性は結婚だけでなく出産に伴い戦線離脱をせざるを得ない事を容認しない社会が、昔も今もある事が大きいと思う。

 お母さんが結婚する前後である20代の時に栄転話があり、その為に部署の事前準備異動があった。しかし、その話は上層部の派閥争いで立ち消え、現在と同じである元の部署に戻る事になった。だが、その事情を知らない一部の周囲からは、お母さんが結婚に伴い自分勝手な異動を望んだと見られたらしい。もし仮に自分勝手な異動願いだとしても、それを会社に呑ませられるお母さんは凄いと思うがな。

 その後、出産に伴い二度の長期戦線離脱。笑顔で祝福しても内心は嫌な顔をしていた男性社員はいただろうな。もしかしたら女性社員でもいたかもしれないな。お母さんが抜けた穴は皆で埋めないといけず負担増になるからだ。それが出来ない場合、産休を認めず実質解雇をする企業は数多あるそうだ。

 そんなお母さん本人はもう出産しようとは考えていないようだし、年齢的に会社も思っていないだろう。お母さんを管理職にしても離脱しない、と。

 

 お母さん自身、出世欲は特段無いようだ。評価される事は誰よりも欲する。そういう意味で喜ばしいみたいだが。しかし、お父さんは少々心配だ。あのお母さんが管理職なんて務められるのか、精神的物理的負担の増大により心身が疲弊しないか、と。お父さんよりは余程管理職向きだと思うが。

 

 もう一つ、利己的な考え方は承知ながら、施主施工がどうなるかの心配も出てきそうだ。昇進するという事は、お母さんは転勤の辞令が出る可能性が出てくる。平社員でも遠方地への転勤する事例は山ほどあるそうだが、何故かお母さんは近郊転勤が何回かあっただけ。女性だから優遇してくれているとお母さんは見ている。しかし、席が限られている管理職となるとそうはいかないかもしれない。

 遠方転勤が無いとしても管理職として諸々の負担増により、休日に施主施工が出来るものだろうか。そもそも今だって感心する時がある。

 

 お母さんの作業品質は、相変わらず雑で粗暴で抜けていたりする。その尻ぬぐいをする度に、何の為にしてもらったか分からんと思う事数多。それでも、仕事をして家事をして育児をして施工をする。

 他に居ないのでよく引き合いに出させてもらう古民家先輩。彼は良し悪しは置いておいて定時終業に努めているらしい。料理好きとの事で調理家事を結構担っているらしい。文章を書くのも好きな方らしくブログは毎日更新。その上で休日を施主施工に当ててきた、お父さんより一回り下の彼。

 当時のお父さんは、月労働時間が400時間を余裕で超える寝るだけ生活で余地が全く無しで有り得ない。上司や同僚が残業する事を蔑みながら退社し、妻の料理に不満があるから仕方なく料理をし、金儲けを視野にアクセス数を気にしたブログを書き、古民家施主施工を指南してやはり金儲けを目論む。仮にそんな立派な腹黒さを持てたとしても、彼のように出来るかは甚だ疑問。よって、彼の事は変態だと見ている。伝統構法家屋を施主施工する自身も変態気味だと思っているが、彼はそれを上回る。施主施工は現役引退者の方が行う事例を数多見受けるが、金銭面以上に時間面でそうなるのはよく分かる。

 

 一方、中年真っ只中の今のお母さんはスーツを纏ってヒールを履きながら、定時退社など別世界の夢物語で拘束時間月200時間代半ばの労働基準法違反前科企業に勤め、全く好きではない家事をこなし、読書はしたいと思いつつほぼ出来ない中、休日半日は主体者としてではないが施主施工を行っている。時には筋肉痛になりながら、時には腰に鈍痛を感じながら、時には砂埃が堆積し白髪頭のようになりながらもやっている。やはりお父さんなら出来るのか疑わしい。もしかしたらお母さんは、古民家先輩をも上回る変態だ。

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 これで老若男性社員十数人の部下を持つような管理職にでもなっちゃったら、流石のお母さんも無理ではなかろうか。その時は、お母さんの雑さ等にある程度は目を瞑ったり、増加分の給料で家政婦さんを雇ったりしないといけないかもしれん。